■思い通りに写らない。でも、そこが少し面白い

撮影してみると、かなり気まぐれなカメラだと感じました。
ファインダーをのぞいて構図を決め、シャッターを押す。操作自体はとてもシンプルです。ただ、出てきた写真が、撮る前に思い描いていたものと同じかというと、そうとは限りません。
思ったより暗かったり、明るかったり、顔が少し飛んでいたり、ピントが合っていなかったり。デジタルカメラの感覚で見ると、失敗に見える写真も多くあります。

デジタルカメラで撮影していたら消してしまうような、そんな1枚もプリントとして実物の写真が残ります。
失敗したから消すのではなく、失敗もそのまま残る。これは、便利さとは真逆の体験です。
でも、あとで振り返ったときに本当に楽しかった時間は、案外、うまくいかなかったことを笑い合っていた瞬間だったりします。
ちゃんと撮れなかった写真を見ながら、「何これ」「全然写ってない」と笑う。そういう時間まで含めて、1枚の写真として残っていく。Polaroid Go Generation 3は、写真の完成度だけでなく、その前後のやり取りまで残してくれるカメラなのかもしれません。
■何気ないものを撮っても、記憶の断片になる
人物だけでなく、部屋の中にあるものも撮ってみました。

デジタルカメラで撮ればただの何でもない日用品にも、ポラロイドで撮ると少し違って見えます。もちろん、きれいに写っているわけではありません。

ピントは甘く、色もキレイに出ているわけではありません。被写体が何なのか分かりづらい写真もあります。それでも、ポラロイドの小さなプリントとして見ると、それは単なる記録ではなく、その日そこにあったものの断片のように見えてきます。
人の記憶も、すべてがくっきり残っているわけではありません。どこにいたのか、誰といたのか、何を話していたのか。その一部だけが、ぼんやりと残っていることがあります。
Polaroid Go Generation 3で撮った写真には、そうした記憶の曖昧さに近いものがあるように感じました。
■多重露光は失敗。でも、それもまた楽しい
Polaroid Go Generation 3には、多重露光の機能もあります。

せっかくなので試してみたのですが、正直に言うと、今回はあまり上手くいきませんでした。シャッターのタイミングがいまひとつ分からず、思っていたようには重ねられませんでした。
ただ、後から見返すとこれもまたポラロイドらしい写真なのではないかと思えました。
何が写っているのか分かるようで分からない。意図した作品というより、偶然できてしまった写真。しばらく見ていると、これはこれで少しアーティスティックにも見えてきます。

デジタルなら、その場で確認してすぐにやり直せます。でも、ポラロイドではそうはいきません。上手くいかなかった写真も、そのまま手元に残ります。
狙い通りに作り込むのではなく、何が出てくるか分からないまま遊ぶ。Polaroid Go Generation 3の多重露光は、デジタル時代に逆行する、偶然性の楽しさを感じられる機能だと思いました。
■小さな写真をアプリでスキャンする
ここまで、Polaroid Go Generation 3のアナログらしさについて書いてきました。撮った写真がすぐに確認できないこと。失敗しても消せないこと。小さなプリントとして手元に残ること。その不便さこそが、このカメラの魅力だと感じます。
一方で、撮った写真をデジタルで扱う方法も用意されています。

Polaroidアプリを使えば、撮影したポラロイド写真をスマートフォンでスキャンし、デジタルデータとして保存できます。アプリ内のガイドに合わせて写真を撮影するだけなので、操作は簡単です。斜めからスキャンすることで反射や映り込みを抑えながら取り込めるようになっていて、読み込んだ写真はそのまま共有できます。

実物の写真として手元に残る一方で、SNSにも投稿できる。このあたりは、かなり現代的です。ただ、アプリでスキャンしてみて改めて感じたのは、やはり元のプリントがあることの面白さでした。

デジタル化できるのは便利です。ただ、やはりまず実物の写真がある。その部分にポラロイドである意味や、今の時代では少し贅沢に感じられるようなアナログの写真体験の楽しさがあるのだと思います。
■きれいに撮れることだけが、写真の楽しさではない

Polaroid Go Generation 3で撮れる写真は、きれいな写真ではないかもしれません。少なくとも、デジタルカメラやスマートフォンのように、明るく、シャープで、失敗の少ない写真を期待すると、少し戸惑うと思います。
ピントは甘く、露出も安定せず、色も予想通りには出ません。でも、それでも楽しい。
むしろ、思い通りに写らないからこそ、写真を撮る時間が少し特別になります。

出てきた写真を待つ。少しずつ画が浮かび上がってくるのを眺める。
うまく写っていなければ、それを見て笑い合う。気に入った1枚は、誰かに渡したり、スマートフォンの裏に入れたりする。
デジタル写真では、失敗した写真は消えていきます。けれど、ポラロイドでは、失敗もそのまま残ります。そしてその失敗が、あとになって楽しい記憶になることもあります。
Polaroid Go Generation 3は、写真を正確に記録するためのカメラではありません。小さくて、少し不便で、思い通りにいかなくて、それでもなぜかまた撮りたくなるカメラでした。
>> ポラロイド
>> 趣味カメラの世界
<取材・文・写真/田中利幸>
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