今こそこういうバイクがほしい! 2000年頃の“トラッカーブーム”を彩ったマシン4選

1. ヤマハ「TW200/225」

▲1987年型「TW200」

トラッカーブームの立役者であり、主役だったのがヤマハの「TW200」。1987年に発売された極太のリアタイヤを特徴とするオフロードマシンですが、これが1990年代の後半になって個性的なカスタムベースとして注目され、新たなトレンドを生み出すことになります。

わずか16馬力の最高出力しかない空冷200ccのオフ車が多くの若者を惹き付けることになるなんて、レーサーレプリカブームの頃は想像もできなかったでしょう。

当初は、大柄のライトカウルやテールカウルを取り去り、スーパートラップタイプのダウンマフラーやトラッカータイプのシートを付けるトラッカーっぽいカスタムが主流でしたが、だんだんとエアクリーナーボックスなども外して車体をスカスカにするような“スカチューン”と呼ばれる手法や、ロングタイプのスイングアームを取り付けるカスタムなども生み出しました。

こうした手法の影響を受けてか、1998年には丸目のヘッドライトを装備した「TW200E」が登場。2000年からは角型ヘッドライトのモデルが廃止されて、こちらが標準となりました。

▲2002年型「TW225」

2000年には木村拓哉が主演するドラマに登場したことで、ブームにさらに火が付き、納車待ちが数ヶ月なんて状況もありました。そして、2002年には排気量を225ccに拡大した「TW225」が登場。国内では2007年まで販売されていました。

実は筆者もその頃「TW200」をトラッカー風にカスタム(?)して乗っていましたが、最高出力は低いものの低回転から車体を押し出すようなトルク感があって、乗っていて楽しい不思議な魅力があるバイクでした。今でも程度の良い中古があったら、また乗ってみたいと思うバイクですが、実は「TW200」は北米ではまだ現行モデルとして販売が続いています。初代モデルから続く角型ヘッドライトのスタイルを維持していて、いま乗るならこのままのスタイルがいいなと思わされます。

 

2. ホンダ「FTR250/FTR」

▲1986年型「FTR250」

そのものズバリ「フラット・トラック・レーサー」の頭文字を取った車名だったのが、ホンダの「FTR250」と「FTR」。

前者は、1986年にホンダがダートトラックレースの本場アメリカの「GNC(Grand National Championship、現AFT)」で2年連続チャンピオンを獲得したのを契機に発売された、一種のレーサーレプリカでした。低重心のフレームに加速ポンプ付きのキャブを装備した元気なエンジンなど、かなり力の入ったモデルだったのですが当時は市場に受け入れられず、わずか3年で生産終了となってしまいます。

▲「FTR250」のルーツとなったレーサー「RS750D」

しかし、10年後のトラッカーブームの中で注目を集め、元々の販売台数が少なかったこともあり価格が高騰します。

それを受けて2000年に登場したのが「FTR」。スタイルは似ていますが、競技も見据えた本気度だった「FTR250」に対して、排気量は223ccにダウンされ、リアブレーキもディスクではなくドラムに。タイヤ径もフロント19、リア18インチだった初代モデルと異なり、前後18インチ(タイヤはどちらもダートトラックレースで使用される左右非対称パターンを模した「K180」)とされるなど、ストリートでの乗りやすさにフォーカスした構成となっていました。

▲2000年型「FTR」

「FTR」の最高出力は19馬力(後に排ガス規制で16馬力にダウン)と「TW200」と同様に“速さ”とはかけ離れたバイクでしたが、シート高の低さから来る足付き性の良さや、ストリートでの扱いやすさにフォーカスしたエンジンなどが支持され、こちらもベストセラーとなります。後に、外観をレトロな雰囲気とした「CB223S」という派生モデルも登場しました。

 

3. スズキ「グラストラッカー/グラストラッカービッグボーイ」

▲2000年型「グラストラッカー」

ブームの盛り上がりを受けて、スズキから2000年に発売されたのが「グラストラッカー」です。ライバル車と同じく空冷単気筒のエンジンは20馬力と非力でしたが、この種のバイクの中でも小柄でシート高が低かったことから、女性ライダーからも支持されました。

2004年には、マイナーチェンジによって、それまでの4バルブから2バルブのエンジンにスペックダウンするという珍しい進化(?)を遂げたバイクでもあります。

▲2001年型「グラストラッカービッグボーイ」

ベースモデルからフロントフォークとスイングアームを延長し、ホイール径を拡大した「グラストラッカービッグボーイ」も2001年に追加されます。前後とも1インチずつ大径化したホイールは前19インチ、後18インチで、どちらもトラッカーの定番である「K180」を履いていました。ハンドル幅も広くなり、よりトラッカーっぽいライディングポジションとなり、体格の大きいライダーが乗ってもサマになる車体でした。

余談になりますが、ここまで何度も登場しているダンロップの「K180」というタイヤ、元々は「FTR250」に標準で装着されていたもの。そのまま消えて行くかと思われたものがトラッカーブームで復活を果たし、多くのバイクに装着されるようになりました。今でもラインナップされているばかりか、サイズバリエーションも21インチから10インチまで幅広く揃うという数奇な運命を辿ったタイヤです。

 

4. カワサキ「250TR」

▲2002年型「250TR」

最後に紹介するのは2002年に発売されたカワサキの「250TR」です。トラッカーに分類することには異論があるかもしれませんが、ブームの盛り上がりがあって登場したことと、これまでに紹介してきた車種のライバルであったことは間違いありません。

ルーツとなったのは同じ車名で1970年代に登場したオフロード車ですが、そのテイストを上手く採り入れつつ乗りやすいバイクに仕上がっていました。

エンジンは「エストレア」と同系統の空冷単気筒で最高出力は19馬力。アップタイプのフェンダーにブロックパターンのタイヤを履きながら、マフラーはダウンタイプという構成でしたが、シンプルな装備とティアドロップタイプのタンクが不思議とカッコ良く見えるバイクでした。

*  *  *

トラッカーブームの頃に支持された車種に共通するのは、パワフルではないがシンプルなエンジンを搭載し、軽量でシート高も低く乗りやすかったこと。そして、シンプルな装備のおかげで価格が新車でも30万円台とリーズナブルだったことです。最近は、コロナ禍の影響もあり新たにバイクの免許を取得する人が増えていますが、そうしたライダーに望まれているのはこのようなバイクなのではないかと思います。

また、中古市場に目を向けても、レーサーレプリカやネイキッドといった、かつてブームを巻き起こした車種は軒並み価格が高騰していますが、トラッカーにはまだその波が及んでいないようなので、昔を懐かしんで選ぶとしても今がチャンスなのかもしれません。

 

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

【関連記事】

◆売れてる理由を実感! ホンダ「GB350 S」はおっさんライダーに色々ちょうどいい
◆街乗りにもツーリングにもちょうどいい!注目度上昇中のスクランブラーバイク6選
◆ツーリングに出たくなる!中免でも乗れるアドベンチャーバイク6選

トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする