究極のスタンダードを体現する「ロレックス」定番モデル【VINTAGEコレクター案内書】

<GMT-MASTER>

■パーツ選びにこだわりたい定番のパイロットウォッチ

ロレックス第3のプロフェッショナルウォッチとして1955年に誕生した「GMTマスター」は、アメリカの航空会社パン・アメリカンに採用された由緒あるパイロットウォッチとして認知されている。

ヴィンテージに関しては、プレキシガラス製の回転ベゼルを持つファーストモデルRef.6542は状態が整った個体を見つけ出すことが年々難しくなっている。市場でよく見かけるのが、1960〜1979年にかけて製造されたRef.1675である。

このうち、1960年代後半から展開が始まったマットダイヤルは比較的入手がしやすい。ダイヤルパターンについては、世界中のコレクターの研究から細分化が進んでいる。手堅い選択に挙がるのが、“マーク ダイヤル”や“ロングE ”と呼ばれる初期頃のダイヤルだ。見分けるポイントは12時位置のブランドロゴにある。根気よく探せばコンディションが整った個体を見つ出すことができるはずだ。

購入の際は、ダイヤルやケースのコンディションはもちろん、ベゼルインサートにも目を向けたい。たとえ同じ年代のベゼルでも退色の有無で時計の表情は見違えるほど変わる。なるべくダイヤルのテイストに合わせたものを選びたい。

ロレックス
「GMTマスター Ref.1675(1968年製)」(328万円)

マットダイヤル特有のパンプキンカラーまで変色した夜光塗料が味わい深いRef.1675。ダイヤルの雰囲気に合う退色したベゼルインサートを装備。「GMTマスター」と好相性のアメリカ製のジュビリーブレスが装着されていることも高ポイント。自動巻き(Cal.1570)、ステンレススチールケース、径39.5mm

このダイヤルが“ロングE”と呼ばれる所以は、12時位置にプリントされたブランドロゴのスペルの「E」の文字にある。ほかと比べると横長の形状であるため見分けやすい

ベゼルインサートは「GMT マスター」の顔の一部であり、時計と年代が合うタイプが選ぶのが好ましい。コンディション次第でテイストはもちろん、評価も大きく変わる

ブレスレットは生産国によってデザインが異なる。こちらのアメリカ製のジュビリーブレスレットは、プロフェッショナルウォッチと抜群の相性を誇る。

<EXPLORER>

■シンプルなデザインが愛されるツールウォッチ

ツールウォッチとしての視認性を考慮した3・6・9のアラビアンインデックスを特徴に持つ「エクスプローラー」。その基本的なデザインは1953年の発表からほとんど変わらない。ヴィンテージモデルは36mm径の小ぶりのサイズ感も人気の理由に挙がる。

初期モデルのRef.6350などのコレクターズピースも魅力的だが、ここではRef.1016のマットダイヤルを一押ししたい。製造期間が30年近いロングセラーであるため、同じマットダイヤルでも前期と後期ではディテールが異なってくる。こちらで紹介するRef.1016は、マットダイヤルの最初期に作られた通称“ファットルミナス”と呼ばれるダイヤルを備えている。このダイヤルはアラビアンインデックスの夜光塗料が太めに盛られており、製造期間が極端に短いことから希少性が非常に高い。

数あるヴィンテージロレックスのプロフェッショナルモデルのなかでもRef.1016は、最もシンプルなデザインの部類に入る。そのため、ブレスレットの選択がスタイリングの決め手となってくる。ダイヤルとの整合性を考えた場合、ベストの選択のひとつが、年式が近いスイス製のリベット付きのオイスターブレスレットだろう。

ロレックス
「エクスプローラー Ref.1016(1976年製)」(385万円)

Ref.1016の“ファットルミナス”は約1年ぐらいの製造期間だと言われ、マットダイヤルのRef.1016のなかでも価格が高めに設定されている。この個体は時計本体のコンディションも上々であることに加えて、スイス製のリベット付きのオイスターブレスレットが高ポイントだ。自動巻き(Cal.1560)、ステンレススチールケース、径36mm

トリチウムの夜光は手作業で盛られているため、一点ごとに個体差が生まれる。こちらのダイヤルのようにエイジングが進むと白いプリント表記とのコントラストが強まる

ブレスレットは年代が異なるタイプが付属することが多いため、購入前に必ずチェックしたい。1960年代後半のモデルはリベット式オイスターブレスレットがマッチする

こちらは1960年後半の Ref.1016半ばのミラーダイヤル。“ファットルミナス”と比べると、3・6・9のアラビアンインデックスがやや細めであることが確認できる

 

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