電動工具の花形・インパクトドライバで足回り作り!【DIYでウッドデッキ自作顛末記⑤】

「見えない床下ほど重要なんですよ。それにここで練習しとくと、デッキ表面を塗る時も、きれいに塗れるでしょ」

「そりゃそうかも知れんが、手が汚れるし、楽しくないぞ」

材木を美しく塗装するのは結構難しい。刷毛(はけ)目を目立たせず、素人でもきれいに塗るコツは、ボロ布に塗料を染み込ませて雑巾掛けのように塗ること。手は汚れるが、初めての人でも美しく仕上げることが可能なので試してみてほしい。

塗り終わったらいよいよ、ここまで下ごしらえをしてきた材木を組み立てていく。ここから一気に構造物の形が見えてくるのが日曜大工の醍醐味だ。

■束を固定したらいよいよ足回りのクライマックス

▲束を束石に立てたら、束同士を材木で繋げ、足固めする

「まず束石に束を立て、束石から出てる羽子板にネジで固定したら、束同士を足固めの材木で繋げてください」

「足固め?」

足固めは並んだ束がドミノ倒しのように倒れないよう、お互いにつなぎとめる材のことだ。プロが聞いたら笑うかもしれないが、素人の現場では束を一直線に揃えるガイドにもなるので、ウッドデッキの足元にはぜひ入れた方が良い。

「ここまでくると、ウッドデッキの全貌も見えてきたでしょ」

「おう、整然と並んだ感じがいいな。でも相変わらず束の頂上が凸凹で心配だぞ」

「ここからが、お待たせしたアイデアの出番です。では大引(おおびき)を入れていきましょう」

▲束が凸凹でも最終的にウッドデッキが平行になるサンドイッチ工法。束の上に大引をのせる大引き工法と比べると強度に劣るが、簡単に作れるメリットがある

大引とは数本の束の上に跨るようにのせる材で、床の下地となる。通常は9cm角の材木などを使い束の真上に乗せる。しかしこの方法だと、編集長の言うように全部の束の頂点を完全に同じ高さにしておかなければならず、初心者には難しい。そこで今回は、大引に板状の材木を使い、束の側面にネジで留めつける工法を選んだ。この工法のメリットは、大引の上面を束より少し上に出すことで、束同士の高さの違いを吸収できること。デメリットはデッキ床面にかかる重量をネジだけで受けることになるので、耐久力に劣ること。

「編集長、この上でダンスパーティーしたり、格闘大会したりするわけじゃないでしょ?」

「家族でBBQできれば充分だよ」

「じゃ、このやり方で問題ないですね」

大引を束に固定するネジは、木工用ネジの代表格コーススレッドの90mm。強力なネジだけに、今まで使っていたドライバードリルや小型インパクトではネジ込みに時間がかかる。

「編集長、丸ノコと一緒にお願いしといたインパクトありますか?」

「もちろんだ、ほれ」

▲HiKOKI「マルチボルト(36V)コードレスインパクトドライバ WH36DA(2XP)」/リチウムイオン電池を18Vから36Vに高電圧化。電池容量が減ってもネジ締めスピードが落ちにくく、連続作業量も18V製品に比べてアップ。太く長いネジの締め付け作業も容易にできる。打撃箇所を従来の2ヶ所から、3ヶ所にすることで、ハンマ1回転に3打撃となり振動を低減。使い心地の良さとネジの打ち損じ(カムアウト)低減を実現した。4モードの切り替え機能付きで多彩な作業をサポートする。防塵・耐水IP56。最大締付トルク:180N・m(1837kgf・cm)、サイズ:全長127×高さ237×センタハイト29mm、重量:1.6kg、冷却機能付き急速充電器、ケース、予備電池、電池カバーが付属する

「ほっほー!!またまた、いいやつを選びましたね!」

編集長が取り出したのは、HiKOKI製のマルチボルト(36V)コードレスインパクトドライバ「WH36DA」(7万600円/税抜)。バッテリーに36Vタイプを使う最新型だ。モーターの力でネジを回すドライバードリルと違い、インパクトドライバは衝撃を打ちつけながらネジを回す。そのため、より強力にネジを締め付けることができるのだ。

「ヘッド部分が小さいのがカッコいい! 狭いところでも、使いやすそうですね」

「そうなの?」

「わかんなくて、買ったんですか?」

今回のような広い場所での作業だと関係ないが、狭い現場や高所での作業では、インパクトのヘッド部分が大きいと作業がしづらいのだ。

「基準の高さに線を引いたので、それに合わせて大引をネジで固定してください」

「おー、スゴイ威力でネジが打ち込まれるな!」

数年前まで18Vタイプが主流だったプロの大工さんの現場だが、今年くらいから36Vタイプがシェアを大きく伸ばしているらしい。

「やっぱり電圧が上がるとパワーがすごいな」

「それだけ同じ時間で打てるネジの本数が増えるってことです」

「時間勝負のプロだと、そこは大事なとこなんだろな」

「そうですね。あと単純にパワーがあったほうが体力的に楽ですしね」

インパクトドライバの強力な力でポンポンと大引を固定していきたいところだが、この作業の精度が平らな床面の成否を決めることとなる。水準器を使って慎重に進めよう。

「ほら編集長、今ネジを締め付けた瞬間に材木がずれましたよ」

「パワーが強すぎて、手元が狂うんだよ・・・」

▲36Vのインパクトドライバはハイパワーなので、一気にトリガーを引くと引っ張られる、慣れるまではトリガーを少しずつ引くか、両手でしっかりとホールドするといい

インパクトドライバに慣れないうちは、どうしてもトリガースイッチを一気に引き絞ってしまうが、これだと手元にブレが生じて、材木やネジがあらぬ方向にずれてしまう。ネジが大引を貫通し束に刺さるまでは、ジワーッと軽めにトリガーを引くようにしよう。チョンチョンっと何回かに分けて締め付けるのも効果的だ。

「凸凹のウッドデッキは嫌なんでしょ。頑張ってください!」

「くそー、曲がっちゃったよー・・・」

「ネジの頭と切っ先、インパクトドライバの先端とお尻。この四つの点が直線で並ぶことを意識して締め付けると良いですよ」

「分かってても難しいなー」

モーターの力をまっすぐ伝えるために、この4点をきっちり揃えよう。それでもねじ込みがうまくいかず、ネジが曲がったり頭がなめたりすることがある。ついもったいなくて再利用したくなるが、頭の潰れかけたネジを使うと、次もねじ込みに失敗することが多いので、大人しく新しいネジに変えたほうが良い。

「さ、編集長。次はクライマックスの床板張りです。頑張ってください!!」

「グワー!!また曲がったーーー!!」

>>HiKOKI「マルチボルト(36V)コードレスインパクトドライバ」

>> 連載 [DIYでウッドデッキ自作顛末記]

(写真・文/阪口克
旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。


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