『紅の豚』“アジトのポルコ”のヴィネットを筆塗りで製作!【達人のプラモ術<アジトのポルコ>】

■サクサク組んで塗装を楽しむ

もちろんキットは、塗装して劇中のシーンをよりリアルに楽しむことができます。インスト(説明書)に、Mr.カラーやタミヤカラー等の詳細な塗装指示が記載されているのもありがたい限り。しかし今回は筆塗りがテーマでもあるので、あえて模型用塗料ではなく、近年模型の塗装でも注目を集めているアクリルガッシュを使用してアジトのポルコを塗っていきます。

▲今回、アクリルガッシュの定着性を良くするためにベース部分にのみオキサイトレッドサーフェイサーで下塗りをしている。しかしターナー製のアクリルガッシュはプラにもしっかりと定着するため、他のパーツ類は下塗りなしで直に塗装している

▲アクリルガッシュを使い筆塗りで仕上げたヴィネットのベース

▲乾燥していれば、上から色を重ねても下地が溶けてこないので、青で塗装した波部分などは、ドライブラシで色を重ねている

▲ビーチチェアの木製部分は、塗装面でアクリルガッシュをブレンディング(複数の色をパーツ上で混ぜ合わせる)することで、使い込んだ気の質感を再現している

▲ビーチチェアのストライプはデカールで再現

▲雑誌の表紙もデカールで再現できる

▲テーブル上のラジオとワインボトルはこんな感じで塗装

 

■アクリルガッシュとは?

簡単にいえば、水性の絵の具です。模型用のアクリル塗料とは違います。しかし近年模型塗装シーンでアクリルガッシュが注目されるようになってきました。

特徴としては

・いろいろな素材に塗れる(当然プラスチックにも)
・速乾性で発色が良く隠ぺい力が高い
・筆塗りでムラが出にくい
・乾燥すると耐水性になる
・水性なので溶剤臭がない

といった点が挙げられます。

そして模型塗装に使う場合での注意点としては、

・塗装面がツルツルの平滑面だと剥離しやすいためサーフェイサー等の下地塗装が必要
・乾燥後完全つや消しとなるためトップコート等でのツヤの調整が必要
・模型用塗料のような軍用色は出ていないので自身で調色しなくてはいけない

これらが挙げられます。使用しているのはターナーのアクリルガッシュで、画材店で入手できます。最近では一部量販店のホビーコーナーでも取り扱っています。

▲使用しているのはターナー製アクリガッシュ。水性で匂いもなく、なにより発色が良く隠ぺい力が高い

▲ターナー色彩「アクリルガッシュ 24色セット」(6820円)

▲模型用塗料としてアクリルガッシュを使用する上での注意点は、乾燥すると完全にマットな仕上がりになることだ(画像右側が筆塗りで乾燥させた状態、左側がトップコートのセミグロスクリアーをオーバーコート塗装した状態)。ツヤのコントロールは専用のメディウムが同社から発売されているが、模型用のトップコートでも問題なく使用できる。オーバーコート塗装した場合、色によっては色味が濃くなるのも要注意だ

 

■ポルコの愛機サボイアS.21も作ります!

さて次回の達人のプラモ術は~、お題は“アジトのポルコ”のヴィネットなんですが、せっかく『紅の豚』を作るのだから劇中に登場するポルコの愛機も作らなアカン(何故か関西弁)!

ということでサボイアS.21も同時に製作を進めていきます。キットは同じくファインモールドから発売されています。入手したのは「1/48 サボイアS.21F後期型」(3080円)。激中でエンジン不調のところをカーチスに急襲されて大破してしまったサボイアS.21をピッコロ社で修理。その際にエンジンを換装、フィアットAS2フォルゴーレを搭載したタイプです。

お楽しみに!

▲1/48サボイアS.21F後期型のキットにはジーナとフィオのフィギュアも付属する

 

■メーカー紹介

ファインモールドは戦闘機をはじめ戦車や艦船モデルを得意とするプラモデルメーカーですが、『紅の豚』の飛空挺をはじめ『ラピュタ』『風立ちぬ』などスタジオジブリ作品に登場する飛行艇やロボット兵などのプラモデルを発売しています。初のヴィネットプラモとなる『アジトのポルコ』は、海洋堂とのコラボレーションで、誰もが楽しめるキットとなっています

>> ファインモールド

原型制作: 香川雅彦 デジタル調整: 海洋堂造形部
(C) Studio Ghibli
企画/スタジオジブリ・ファインモールド
発売/ファインモールド

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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