【プロダクトヒストリー】整髪料 ~ヘアスタイルの流行とともに進化~

「日本における整髪料の発展は、江戸時代の髷(まげ)を束ねて艶を与えるための鬢付け油や鬢水(びんみず)でした。日本では古来より黒々とした艶のある黒髪が美しいとされていました。また、道は舗装されていないためほこりっぽく、家に風呂はなく毎日髪を洗えないので、髪に艶を与える鬢付け油が重宝されたのです」(柳屋本店研究所所長・正田潔さん、以下同)

そして大きな変革があったのが明治時代。「断髪令」により男性が髷を結わなくて良くなります。

「男性の髪型が大きく変わり、ポマードが台頭します。その後は、時代とともにさまざまな髪型が流行し、その髪型に合わせて整髪しやすいスタイリング剤が次々に発売されてきました。男性は若いときに使っていた整髪料をそのまま何十年も使い続ける傾向があります。さらに時代に合わせて新商品が発売されるため、今日ではバリエーションがどんどん増えています。今後も、ヘアスタイルの流行や化学の進歩によって増え続けるでしょうね」

続いては、ヘアスタイルの歴史を紐解きながら、その時代にヒットした整髪料を振り返っていきましょう。

 


■時代の移ろいとともに進化した整髪料

▼江戸後期<鬢付け油>

03_リュウセイコウ江戸時代の男性は、ちょんまげなど長髪が基本。これを結うために固形の鬢付け油を使用していました。香りを付けた柳清香(りゅうせいこう)は大人気商品になり、黎明期の柳屋を盛り立てたそうです。なお、鬢付け油は今でも一部メーカーで少量生産しており、力士の大銀杏などに使われています。力士特有の香りの元は、これだったんですね。

 

▼明治後期<ポマード>

04_F0A4608ポマードと聞くと昭和世代のリーゼントを思い浮かべますが、日本で作られるようになったのは明治時代でした。

1871年に新政府より発令された断髪令により、男性の髪はちょんまげから近代の長さに。しかし、日本人の髪は非常に硬く、西洋人のようになでつけるのが難しい。そこで粘着力が強いポマードが重宝したのです。

特に、液状のひまし油とワックス成分の木蝋(もくろう)を主成分とした良質の「柳屋ポマード」はヒット。その後も、1947年頃にイギリスで流行したリーゼントスタイルが日本でもブームになるなど、度々ポマードが注目されています。

 

■現代に近づくにつれバリエーションが豊かに!

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