世界に誇るグランドセイコー。「キャリバー9S」が魅せる機械式時計の真髄

人生において、時間は有限だ。2023年の半分が過ぎようとしている今、改めて実感している人も多いだろう。だからこそ、1日1日を有意義に過ごしたい…と思いつつ、実際に行動に移せるかというと、これがなかなか難しい。

そんなときに、有用なのが腕時計だ。腕時計を身に着けていることで、無意識的に時間を確認するようになるし、スマホと違って、余計な情報に気を取られて時間を無駄に消費してしまうこともない。

つまり、腕時計を所有するということは“時間の価値をこれまで以上に高めてくれる”といっても過言ではないのだ。

■唯一無二の価値がある。今、改めてグランドセイコーの機械式に注目するべき3つのポイント

それでは、“時間の価値を再認識する腕時計”とはどういうモノだろうか? この問いの答えとして相応しいブランドを我々は知っている。そう、「グランドセイコー」だ。

腕時計の本質を追求するグランドセイコーは、日本人にとって身近であると同時に憧れの存在でもある。身に着けることそれ自体に、特別な意味をもたらしてくれるブランドだ。それに、2023年は「キャリバー9S」が25周年を迎える特別な年。数ある腕時計の中でも、機械式グランドセイコーを手に入れる絶好の機会といえよう。

【ポイント1】機械式グランドセイコーの復活から25年。「キャリバー9S」は機械式時計の“未来”そのものだ

▲キャリバー9Sを構成する繊細な部品の数々。写真提供:グランドセイコー

「腕時計に何を求めるか」ということについては、時代の流れとともに多様化している。とはいえ、正確な“時”を刻むことそれ自体は、今なお揺るぎないポイントといえよう。機械式時計が主流だった当時は特に、各ブランドが互いにしのぎを削っていた。

1990年代、世界的に機械式時計が復活の兆しを見せはじめるなか、グランドセイコーは機械式時計を復活させることを決定。

▲キャリバー9Sのイメージ画像。写真提供:グランドセイコー

“世界に通用する高精度で高品質な腕時計を作り出す”という確固たる信念の下、新たなムーブメントの開発に着手。ムーブメントの構成そのものを見直し、部品ひとつとっても新素材を導入するなど、グランドセイコーが誇る技術と経験を集結。1998年、ついに「キャリバー9S55」が完成し、高級機械式時計市場に再び名を連ねることになる。

グランドセイコーは平均日差+5秒〜−3秒(静的精度)という新たな精度基準「新グランドセイコー規格」を制定。もちろん、スイスのクロノメーターよりもはるかに厳しい基準だ。その後、9S6シリーズ、9S8シリーズ、9SA5と、今日に至るまで絶えず進化し続けている。まさに、機械式時計の未来を担う存在といえるだろう。

【ポイント2】時代を超えて愛される「セイコースタイル」に則ったデザイン

▲1967年に誕生した「44GS」。写真提供:グランドセイコー

グランドセイコーに限らず、世の中には“傑作”と呼べる腕時計が存在する。それらに共通するのは、いつの時代においてもブレない品格や美しさ、貫禄を誇っていること。1967年に誕生した「44GS」は当然、傑作と呼ぶに相応しい1本だ。なぜなら、これこそが現在にまで続く“セイコースタイル”を確立したモデルだから。

セイコースタイルは“燦然と輝く腕時計”を実現するために、「平面を主体として、平面と二次曲面からなるデザイン。三次曲面は原則として採り入れない」「ケース・ダイヤル・針のすべてにわたって極力平面部の面積を多くする」「各面は原則として鏡面とし、その鏡面からは極力歪みをなくす」という3つのデザイン方針を基に、9つのデザイン要素を定義したもの。

形や大きさなど、ある意味制約のある腕時計だからこそ、独自のデザイン文法をしっかり定義付けることで、ほかにはない魅力が体現されるのである。

写真は最新モデルである「SBGH299」。詳しくは後述するが、50年以上もの間、脈々と受け継がれてきたセイコースタイルのデザインコードを見事に踏襲しているのが見て取れる。

昨今のトレンドであるレトロやビンテージとはまた違った、本質的なものの良さが伝わる、時代に左右されることのない腕時計だ。

【ポイント3】素材の特性を引き出すためなら製造工程を一から見直す徹底ぶり

▲耐食性能が世界最高峰の「エバーブリリアントスチール」。写真提供:グランドセイコー

現在、腕時計素材として最もポピュラーなのがステンレススチール(SS)だ。鉄にクロムやニッケルを混ぜた合金でサビが発生しにくい特性を持っている。また、ひとくちにSS素材といってもピンからキリまで存在し、中には希少なモノも存在している。

「エバーブリリアントスチール」は、数あるSS素材の中でも世界最高峰レベルの耐食性を備えたもの。本来腕時計用ではない用途で使われていた素材であったが、白く美しい輝きを放つ特性があることから、グランドセイコーは製造工程を一から見直し、ケースとブレスレットへの実用化に成功。エバーブリリアントスチールと名付けた。

実際に、エバーブリリアントスチールを使用したモデルをご覧いただきたい。

ガラス縁上面とケース面にはセイコースタイル伝統のザラツ研磨で歪みのない鏡面に磨き上げ、バンドには繊細なヘアライン仕上げを施している。加工が非常に難しい素材にも関わらず、仕上げにもこだわる技術力の高さは、グランドセイコーならではといえるだろう。

■人生を共に過ごす1本。機械式グランドセイコー最新モデルを相棒に携えて

機械式グランドセイコーの魅力が十分に理解できたところで、ここからは新作モデルにフォーカス。メンテナンス次第では半永久的に使用でき、身に着ける人の個性や所有欲を満たしてくれること請け合いの2モデルを紹介する。

▲“セイコースタイル”を存分に味わえる、玄人好みの3針モデル

▲左から「SBGH301」「SBGH299」(ともに88万円)。自動巻(手巻つき)メカニカル(キャリバー9S85)、平均日差+5秒〜−3秒(静的精度)、エバーブリリアントスチールケース、ケース径40mm、10気圧防水、パワーリザーブ約55時間、ワンプッシュ三つ折れ方式中留

“一生使える腕時計”とは何かを考えたとき、単純にスタイルを選ばないシンプルなモノであれば良いか、というとそうではない。ここで重要になってくるのは、デザインやムーブメントを含む、腕時計を構成するあらゆる要素が普遍的な価値を持っていることだ。

そこで注目したいのが、「SBGH301」と「SBGH299」。美の極致といえるディテールへのこだわりを凝縮したセイコースタイル、日差+5秒〜−3秒(静的精度)という驚異の精度を誇るキャリバー9S85、世界最高峰レベルの耐食性を備えるエバーブリリアントスチールなど、流行り廃りとは別軸に存在する、人生のパートナーに相応しい1本といえよう。

ダイヤルは、機械式時計の製造を担う、「グランドセイコースタジオ 雫石」から望む、岩手山の雄大な山肌を表現した“岩手山パターン”を採用。光の当たり具合で表情が変化する繊細な放射模様に思わず見惚れてしまうだろう。それに、エバーブリリアントスチールとはまた異なる、アイボリーに近いダイヤルカラーをあしらうことで、絶妙な奥行き感が生まれている。

なお、岩手山パターンでは新色のブラックもラインナップ。いずれも、時代を超えて愛せる傑作定番なのはいうまでもない。

▲エレガントな佇まいはそのままに。GMT針を添えた外への憧れを高める1本

▲左から「SBGJ265」「SBGJ263」(ともに93万5000円)。自動巻(手巻つき)メカニカル(キャリバー9S86)、平均日差+5秒〜−3秒(静的精度)、エバーブリリアントスチールケース、ケース径40mm、10気圧防水、パワーリザーブ約55時間、ワンプッシュ三つ折れ方式中留

さまざまな行動制限が解除されたことで、旅行や出張など、海外への移動も多くなるだろう。そんなときは現地時間を表示する“GMT機能”を有する1本が適役だ。

基本的なデザインや素材などは、先の三針モデルとほぼ同じ。あえていうなら、ムーブメントには「キャリバー9S86」を搭載している点。10振動ムーブメントが織りなす驚異の精度はそのままに、GMT機能を追加したハイスペックなモノだ。

GMTモデルの魅力はなんといっても二カ国の時間を同時に表示できる機能だが、それに加えて、GMT針のカラーで個性を表現できるところもまた、見逃せないポイントだ。

「SBGJ265」は精悍なブラックダイヤルにゴールドのGMT針をあしらうことで、エレガントな印象に仕上がっている。一方、「SBGJ263」はレトロモダンなシルバーのダイヤルにブルーのGMT針で爽やかさをプラス。スーツスタイルはもちろん、普段の着こなしに取り入れれば、たちまち新鮮に。まわりからも一目置かれること請け合いだ。

■普遍であり不変。これからも語り継がれるグランドセイコーのメカニカルウオッチ

機械式グランドセイコーが復活して25年。腕時計は今や、単に時刻を知るためのツールではない。自分を表現するモノであると同時に、愛用者に寄り添い、日常を豊かにしてくれるモノである。グランドセイコーはまさに、人生のパートナーに相応しい腕時計だ。

普遍であり、不変の価値がある1本を手に入れて、有意義な時間をグランドセイコーとともに刻み続けてほしい。

問い合わせ先:セイコーウオッチ(株)☎0120-302-617

>> グランドセイコー

<取材・文/若澤創 写真/江藤義典 スタイリング/露木藍>

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