【検証2018-2019年の注目車③】COTY辞退が話題を呼んだ「フォレスター」の本当の実力

■新型オーナーの実に5割以上がe-BOXERを選択

世界的な大ブームを受けて、世界の自動車メーカーが積極的に市場投入しているクロスオーバーSUV。現在は、ユーザーニーズの多様化に合わせ、クーペのようなデザインを採用したモデルや、ハッチバックカーをベースにした車種など、多彩な顔ぶれがそろっているが、その中で、クロスオーバーSUVの“ど真ん中”をいくのが、今回紹介するフォレスターだ。個性派ぞろいのスバル車のラインナップにおいては、どちらかというと質実剛健なキャラクターだが、スバルの好調な北米販売をけん引するとともに、グローバル販売台数においてもトップに君臨する、スバルのエースなのだ。

クルマの詳細をおさらいしておくと、エクステリアは先代モデルからのキープコンセプトでありながら、スバルのデザイン言語である“ダイナミック&ソリッド”に加え、フォレスター独自の“モダンキュービックフォルム”の考えを盛り込んだデザインを採用。先代とは一見、似ているようで、子細に眺めていくと結構異なるルックスとなっている。ボディサイズは、先代モデルに対して必要最小限の拡大に留めている。最小回転半径も先代モデル比プラス0.1mの5.4mに抑えており、取り回しの良さは健在だ。

インテリアは、先代モデルに対し、デザイン/質感ともに大幅にレベルアップ。「インプレッサ」のインパネデザインをベースとしながら、コクピット感覚を強める、高い位置にレイアウトしたセンターコンソールや、よりリアルな質感を目指した加飾パーツやステッチなどで、フォレスターらしさとSUVらしさを演出する。

また、先代モデル比でプラス30mm延長されたホイールベースは、その分をリアシートの足元スペース拡大に活用。スクエアな形状のラゲッジスペースに加え、歴代フォレスターでは最大幅となる1300mmというリアゲート開口部によって、使い勝手も追求している。

■SUVでベストの性能を出すことを目指した“SGP”

フォレスターのパワートレーンを、2種類を用意する。ガソリンエンジンは、ターボ仕様がラインナップから消え、自然吸気のみの設定に。ただし、先代モデルの2リッターから2.5リッターへと排気量を拡大したほか、直噴化と約90%に及ぶ部品の設計見直しなどにより、184馬力/24.4kgf-mのパフォーマンスと、カタログ値で14.6km/L(JC08モード)という省燃費を両立している。

一方、新たに採用された“e-BOXER(イー・ボクサー)”は、2Lエンジンとトランスミッションとの間に、13.6馬力/6.6kgf-mのモーターを挟み込んだシンプルなパラレルハイブリッド仕様。システム構成は、先代の「XVハイブリッド」のそれを継承するが、バッテリーをリチウムイオン化したり、よりモーターのアシストを活かした制御を導入したりしている。

駆動方式は、スバル車らしく全グレードともフルタイムAWDを採用。従来モデルから定評のある“ACT-4+Xモード”機構を継承するが、新型では路面状況に合わせ、走行特性の変更が可能なモードスイッチをプラスしている。

プラットフォームは、現行のインプレッサから採用が始まった“SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)”をフォレスター用に最適化。実はSGPは、走行性能や快適性などの面で条件的に厳しいSUVにおいて、ベストの性能を出すことを目指し開発されたものだ。

サスペンションセッティングは、ガソリン車の場合、「ツーリング」、「プレミアム」の両グレード向けのノーマルタイヤ仕様と、「X-BREAK(エックス・ブレイク)」用のオールシーズンタイヤ仕様という2種類を用意。ちなみに、e-BOXERを搭載するグレード「アドバンス」では、ガソリン車のノーマルタイヤ仕様をベースに、重量アップに合わせてスプリングレートを高めている。

先進安全装備は、全グレードに“アイサイトツーリングアシスト”を標準装備。それに加え、スバル車として初の採用となる“ドライバーモニタリングシステム”をアドバンスに設定する。ドライバーモニタリングシステムは、ドライバーのわき見や居眠りを推定して注意を促すことで、安全運転をサポート。さらに、あらかじめ登録しておいたドライバーを顔認証で判別し、シートのポジションやドアミラーの角度、ドライバー好みの空調設定などを自動調整してくれる。

ちなみにスバルは、「新型の主力モデルは2.5リッターのガソリンエンジン車」と想定していたようだが、いざフタを開けてみると、実に50%以上の人がe-BOXER仕様を選択。予想を超える人気に「生産が追いつかない」という、スバルにとってはうれしい悲鳴も聞かれる。

【次ページ】e-BOXERには未来のスバル車の姿が見える

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