パーツを選んで自分だけのオリジナル機械式腕時計を組み立てる【組み立て編①】

■機械式腕時計に必要なパーツは?

機械式腕時計を作るために必要なパーツは大きく分けて4つ。

1.ムーブメント(movement)
2.ケース(case)
3.ダイアル(dial)
4.ハンズ(hands)

1のムーブメントは腕時計の心臓部で、内部にある駆動装置のこと。2のケースはそのままで時計の外側部分です。3のダイアルは文字盤、4のハンズは時計の針のことです。英語も併記したのは、海外のネットショッピングサイトで購入検索をするときに知っている必要があるため。私は最初、針がわからずニードルと検索してました。

2~4のパーツでデザインが決まりますが、重要なのは1のムーブメント。まずこれを選ばないと各パーツも購入できません。選び方は好みもあると思いますが、いきなり複雑なクロノグラフは難易度が高いので、シンプルな3針日付表示のタイプを選びました。3針日付表示とは時計の中心に時、分、秒の針が付いて回転し、窓で1~31の日付が分かる最もベーシックなタイプのことです。

さて腕時計DIYerの世界で、一番人気のムーブメントはETA社の「2824-2」です。

ETA社はスウォッチグループ傘下で、スイスの名だたる高級腕時計ブランドにムーブメントを供給している名門企業。そのETA製ムーブメントの最もスタンダートなモデルが2824-2で、ロンジンやハミルトン、チューダーといった有名メーカーの10万円を大きく超えるクラスの腕時計でも使用されています。ただしスイスメイドのETA2824-2はムーブメント1個が約2万円前後と高価。初めての作業で壊す可能性のある私にはとても手が出せません。

そんな初心者にも優しい価格で販売されているムーブメントが2つありました。1つはセイコーのNH35A。そしてもう1つがシチズン系列のムーブメントメーカーMIYOTAが作る8215です。どちらもETA2824-2と同じ3針日付表示付きながら、4~5000円程度とETAに比べ非常に安価で、これなら失敗しても諦めもつくというもの。

▲セイコー「NH35A」

セイコーもMIYOTAも社外品ムーブメントの世界では非常に人気のメーカーで、多くの有名メーカーが両社の製品をベースに腕時計を生産しています。その中でNH35Aと8215は、最もベーシックなモデル。価格帯が1万円から5万円あたりの腕時計に採用されることが多いのだとか。

▲MIYOTA「8215」

ということで、この2つのムーブメントをカートに入れ、それぞれのサイズに合ったケースとダイアル、ハンズを選び購入手続きを行いました。海外からの個人輸入となるので、届くまでしばらく時間がかかります。その間に色々と夢想をしてはニヤニヤしていたのでした。

■時計の組み立てに必要な道具は?

もちろんただ笑っていただけではありません。DIYには工具が重要です。ただし前回の腕時計電池交換で準備した工具があるので、そこまで新しいものは必要ありませんでした。今回の工作で主に使用する工具はこちら。

精密ピンセットと普通のピンセット、精密ドライバー。

この精密ピンセットは前回腕時計の電池交換をした際にセットで購入した中のものですが、実際にはもう少し高額でより精密なものがあるとより楽だったと思います。

次に新しく購入したムーブメント台。本当はあった方が良いのでしょうが、素人作業では、この狭いスペースでは作業が難しくあまり有用ではありませんでした。

そしてこちらも新しく導入した針おさえセット。腕時計の針を正確に固定するための道具です。こちらはないと話になりません。絶対に必要です。

そして100均で購入したゴムボール。何に使うかはお楽しみに!

他に定規やニッパーなども使いましたが、一番重宝したのは作業ベースに使った100均の書類ケースと白いコピー用紙かもしれません。書類ケースは閉じればそのまま細かい部品ごと片付けられますし、小さなネジなどを落としてもなくす心配がなく、とてもオススメです。

さて注文ボタンをポチッとしてから3週間あまり、世界各国からポツポツと荷物が届き出しました。封を解くと想像以上に細かいパーツが厳重に梱包されています。当初は海外の個人や小さなショップに注文するということで心配していたのですが、どの商品もしっかりとした梱包と発送で安心しました。腕時計パーツのネット通販なんてマニアや専門家同士のやりとりが主流なので、変な業者が入ったりはしないのでしょう。

【次ページ】いよいよ組み立て開始

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