レクサス「NX」は走りがスゴい!SUVらしくない軽快さで心臓部には4種4様の個性あり

■2.5リッター自然吸気ガソリンエンジンは掘り出し物

ガソリンエンジンは、2.4リッターターボと2.5リッター自然吸気の2種類が用意される。

パワフルな走りを求める人のために設定されたのが、新開発の2.4リッターターボを搭載する「NX350」だ。最高出力は279馬力、最大トルクは43.8kgf-mをわずか1700回転から発生する。

そのスペックからも想像できるように、速さは一級品。上り坂でもグングン加速し、どんどん車速が上がっていく。ただし、レクサスが「ダイナミックな走り」とうたうほどにはエモーショナルな魅力を感じにくいのも事実。峠道ではかなり速いものの、ドライビング時の爽快感は得にくい。

その理由は、低回転域から大トルクを発生する一方、高回転域での弾けるような伸びがないため。エンジンを高回転域まで回す歓びをあまり感じられないため、峠道でアクセルペダルを踏む歓びは控えめだ。

一方、このエンジンが光るのは高速道路でのクルージング時。低回転域でのトルクが太く、インターチェンジでの本線への合流や追い越し加速なども驚くほどラクにこなしてくれる。アメリカでは、高回転域の伸びよりもダッシュ力に優れる大排気量エンジンのような特性が好まれる傾向にあるが、まさに2.4リッターターボはそこを狙ったエンジンなのだろう。

さて最後にレポートするのは、新型NXのパワートレーンの中で最もロースペックな2.5リッター自然吸気エンジンを搭載する「NX250」。正直に告白すると、価格訴求のためのパワートレーンと説明されていたため、乗る前は全く期待していなかった。

しかし、実際にドライブしてみてビックリ! パワーも日常的なシーンでは十分ゆとりを感じられるし、ワインディングロードでアクセルペダルを踏み込むと高回転域まで軽やかに吹け上がる。おまけにアクセル操作に対する反応も実に心地良い。

この心地良さはなぜか? と思いチェックしてみたら、RAV4やハリアーに積まれる2リッター自然吸気ガソリンエンジン車はトランスミッションがCVTなのに対し、NX250ではトルコンATを組み合わせていたのだ。ドライバビリティを追い求めた場合、やはりCVTよりATに分があるということを再認識させられた。

さらに特筆すべきは、ハンドリングの軽快さが他のパワートレーンよりも抜きん出ていたこと。ターボやハイブリッド機構といった付加物がなくエンジンルーム内が軽く仕上がった分だけ、コーナリングも軽やかな印象だ。

動力性能もエモーショナルな感覚も、さらにはハンドリングの軽快さも、NX250はまさに掘り出し物といった印象。一気に加速しようとするとエンジン音が大きくなることもあるが、そこさえ気にしなければトータルバランスに優れたパワートレーンといえるだろう。

■450h+はエコとハイパフォーマンスを高次元で両立

それでは、結論といこう。

新型NXのパワートレーンとして最も魅力的なのは、ズバリ450h+に搭載されるプラグインハイブリッドだ。モーター走行時は至極なめらかな上、ひとたびアクセルペダルを踏み込めば怒濤の加速を楽しませてくれる。エコとハイパフォーマンスとの両立はクルマとして新鮮だし、所有欲も満たしてくれる。

ただし「そこまでの加速は求めない」とか、「外部から充電できるプラグイン機能はいらない」という多くのユーザーにとって最適解となるのは、やはり350hに搭載される従来型のハイブリッドだろう。

一方、ハイレベルな動力性能とガソリンエンジン車ならではの躍動感を求めるなら、NX350に搭載される2.4リッターターボが魅力。ワインディングロードでドライビングを楽しむというよりも、日常的なシーンでの力強いダッシュや高速道路でのツアラー的な乗り方がよく似合う。

そして、NX250に搭載される2.5リッター自然吸気エンジンは、新型NXの大穴的な存在。シリーズで唯一、アンダー500万円で買えるコストパフォーマンスに優れた仕様だが、なかなかどうして、その実力はあなどれない。

<SPECIFICATIONS>
☆NX250“バージョンL”(AWD)
ボディサイズ:L4660×W1865×H1660mm
車重:1710kg
駆動方式:4WD
エンジン:2487cc 直列4気筒 DOHC
最高出力:201馬力/6600回転
最大トルク:24.5kgf-m/4400回転
価格:570万円

<SPECIFICATIONS>
☆NX350“Fスポーツ”
ボディサイズ:L4660×W1865×H1660mm
車重:1780kg
駆動方式:4WD
エンジン:2393cc 直列4気筒DOHCターボ
最高出力:279馬力/6000回転
最大トルク:43.8kgf-m/1700〜3600回転
価格:599万円

<SPECIFICATIONS>
☆NX350h“Fスポーツ”(AWD)
ボディサイズ:L4660×W1865×H1660mm
車重:1810kg
駆動方式:4WD
エンジン:2487cc 直列4気筒 DOHC
エンジン最高出力:190馬力/6000回転
エンジン最大トルク:24.8kgf-m/4300〜4500回転
フロントモーター最高出力:182馬力
フロントモーター最大トルク:27.5kgf-m
リアモーター最高出力:54馬力
リアモーター最大トルク:12.3kgf-m
価格:635万円

<SPECIFICATIONS>
☆NX450h+“バージョンL”
ボディサイズ:L4660×W1865×H1660mm
車重:2010kg
駆動方式:4WD
エンジン:2487cc 直列4気筒 DOHC
エンジン最高出力:185馬力/6000回転
エンジン最大トルク:23.2kgf-m/3600〜3700回転
フロントモーター最高出力:182馬力
フロントモーター最大トルク:27.5kgf-m
リアモーター最高出力:54馬力
リアモーター最大トルク:12.3kgf-m
価格:714万円

>>レクサス「NX」

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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