スマホ用3軸ジンバル、DJI「Osmo Mobile 6」は手ブレ補正どころか映像クリエイター向け? 

■何を伝えたいか撮影意図が重要に

▲DJI「Osmo Mobile 6」の内容物

まずはセットアップなわけですが、実は付属品から超シンプル。ジンバル本体と取り外し可能な三脚、そして磁気スマートフォンクランプだけです。

本体は折りたたんで運べて、広げるとクイック起動。展開して磁気スマートフォンクランプでスマホを固定するだけ。

▲磁気スマートフォンクランプでスマホを固定。磁気は強力で安定感抜群

なお撮影時には、取り付けたスマホとBluetoothで接続します。スマホにインストールした「DJI Mimoアプリ」をカメラアプリを代用する形で使えば、ジンバルの録画ボタンから録画スタートもできます。なお、動作時間は約6時間24分です。

ジンバル側にはステータスパネルがあり、モード(M)とバッテリー残量を確認可能。Mボタンを押すと、4種類のモードが切り替えられます。

モードは、フォロー、チルトロック、FPV、スピンショットの4種類。僕なりの解釈は次の通りです。

【フォロー】最もスタンダードなモードで、3軸(チルト、パン、ロール)すべての動きを安定させる
【チルトロック】正面をキープするモード。チルト軸(上下)とロール軸(垂直)を安定させて撮影できる
【FPV】3軸すべての動きをある程度自由にするモード。ただ手ブレ補正などの効果は働く
【スピンショット】ジョイスティック操作でカメラが360度回転する特殊撮影モード

これに加えて、ターゲットを認識してトリガーで追尾も可能。自撮り撮影では自動的に顔認識して追尾モードになります。

▲ジョイスティックによる角度調整は自撮りで便利

▲背面のトリガーによるターゲットロックも多用するボタン

それから、ハンドルのジョイスティックで向き調整も可能。そして左側のダイヤルでは手動でのズーム操作に対応。下のボタンでスマホ縦横向きや撮影モードも切り替え可能です。

ひと通り学習をしたところで、屋外の公園に持ち出して撮影をしてみました。

まずは左手に持って自撮り撮影をしながら歩いてみます。すると、被写体追跡機能“ActiveTrack”で自分をロックしてくれて、ジョイスティックで角度調整ができる。これは想像以上にラク。歩き撮影も手ブレや歩行時のショックも少ないのですが…実は歩くより小走りに走って撮影した方がむしろスムーズに見えたりします。

▲自撮り撮影の安定感は抜群。歩行のショックはわずかの残るようです

そして、アウトカメラによるフォロー、チルトロック、FPVというモード(M)切り替えの出番…なんですが、ここでどんなモードを使うべきか理解するのが難しい!! 被写体を決めて撮影するなら安定重視のフォローか動かす前提でFPV。チルトロックは歩きながら撮影する用途向きかなと思いました。

そして気づいたことが…。僕自身に「どんなアングルで、どんな作品を撮影したいか」という映像制作の意図が全く足りていないという問題です。

カメラアングルも自由自在に扱えるからこそ、そこには目的や演出意図が必要なわけで…「僕はこの被写体にカメラを向けて、視聴者に何を伝えたいんだろう?」と思わず考えてしまいました。

▲公園にあった卓球テーブルを撮影して、僕は視聴者に何を伝えたいのだろう…?

ただ、そんな映像制作初心者(?)に向けて、「Osmo Mobile 6」にはストーリーモードという機能があり、さまざまなシチェーションに向けた撮影ガイドが使えます。

「パーク」で犬と散歩するシーン、「ネイチャ」で自動車運転シーンの撮影、「シティ」でストリートダンスの撮影など、カッコイイ映像作品を制作するためのお手本機能があって、その1シーンを選ぶと見本を見せて、撮影モードまで自動で適応してくれるんです!

▲ストーリーモードがシーン別の撮影見本と設定をガイドしてくれます

ここまで来るとお勉強志向が強い、というか、もう映像クリエイター入門。スマホでちょっと手ブレを抑えられればいいかな? という気持ちで使い始めた自分が恥ずかしいです、ハイ。

もちろん、もっとお手軽に使える機能もあって、例えば写真撮影用には3×3パノラマ、240°パノラマ、分身パノラマの3種類のオプションを搭載。付属の三脚で立てれば、スマホカメラよりもさらに広角撮影も可能です。

▲三脚を使って自動でカメラ向きを変えて合成するパノラマ撮影

▲3×3パノラマでは超広角撮影が可能

*  *  *

DJI「Osmo Mobile 6」を僕なりの使い方でレビューをしてみたのですが…スマホの自撮り撮影を安定化させる程度なら簡単に使えて効果的だけど、ジンバルってお手軽撮影程度じゃないんですよね。手持ちでも画角を完璧に決めて撮影できるわけで、滑らかな安定した動画で自分がどんなものを撮影したいのか、クリエイティブ面に踏み込むためのガジェットなんですね。

見方を変えると、DJI「Osmo Mobile 6」を2万900円で買うだけで、スマホで映画制作レベルの本格撮影に挑戦できる。そう考えると、贅沢だし奥深く遊べそうだなと思っちゃいました。

>> DJI

 

>> [連載]YouTuber、はじめました!

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube「オリチャンネル」

 

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