その名は「モンスター」!だけどジェントルで乗りやすいドゥカティのスーパーネイキッド

マフラーは跳ね上がったような形状の2本出し。有機的な曲線を描くエキパイがよく見えるのもネイキッドマシンの「モンスター」ならではの美点です。

デザイン面でも、ヘッドライトにリング状にLEDを配したデイタイムライトを採用しているなど、現代的な印象になっています。今回試乗したのは小型のウインドスクリーンとリアシートカバーを装備した「モンスター+(プラス)」。切れ上がったコンパクトなシートまわりが、ドゥカティの象徴であるL型エンジンの存在感を際立たせています。

 

■軽くなった車体はメリットだらけ

またがってみると、900ccクラスのバイクとは思えないほどコンパクトに感じます。左右幅の小さいL型エンジンを搭載していることに加え、新設計のフレーム構成が車体をよりスリムにしている印象。日本仕様はシート高が735mmと低いローシートとローサスペンションが標準装備となっていることもあり、足付き性も良好です。

エンジンを掛けると、Lツインらしいパルス感のある排気音が耳に届きます。空冷エンジンを搭載していた時代は、国産車に比べてメカノイズが多いのもドゥカティの特徴でしたが、新しい水冷エンジンはそうしたノイズも減り、心地よいエキゾーストノートだけが響いてきます。

油圧式で操作感の軽いクラッチをつないで走り出すと、適度な鼓動感を伴ってスムーズに車体が動き出します。ドゥカティのLツインというと、ゴリゴリしたトルク感が強く、低速域では扱いにくいというイメージを持っている古いファンもいるかと思いますが、近年のエンジンはトルクの出方がスムーズで非常に扱いやすくなっています。

電子制御も充実していて、ライディングモードを切り替えられる「スマート・パワーモード」や、ウィリー・コントロール、アップ・ダウン対応のクイックシフトなども装備。より安心感の高いライディングを楽しめます。

軽くなった車体は、走っていてもメリットしか感じません。左右にバンクさせる操作も軽く、400ccクラスの車体を操っているような感覚。ハンドリングは素直で、Uターンのようなタイトなコーナーもコンパクトに曲がれて、高速コーナーでの安定感も抜群。ボリューム感のあるタンクは“バイソンバック”と呼ばれ、シリーズの伝統を受け継ぐデザイン。これが内腿に吸い付くようにニーグリップできるので、車体との一体感が高いのも安心できるポイントです。

ストリートで常用する回転域でのトルクを厚くしたエンジン特性ですが、ドゥカティらしい高回転の気持ち良さも健在。Lツインらしい鼓動感がありつつ、鋭く回転が上昇する感覚は他メーカーの2気筒ではなかなか味わえないものです。タッチとコントロール性が高いブレンボ製の前後ディスクブレーキと電子制御のおかげで、安心してアクセルを開けることができました。

扱いやすい素直さを高めながら、ドゥカティらしいパワーフィーリングを味わえる新生「モンスター」。軽快な操作感と高品質な乗り味は、150万円台という価格が安く感じるものでした。

●SPEC
「モンスター+」
エンジン:937cc 水冷V型2気筒DOHC
最高出力:111PS/9250rpm
最大トルク:93Nm/6500rpm
重量:166kg(乾燥)
価格:156万4000円(モンスターは151万4000円)

>> Ducati「Monster」

 

<取材・文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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