■「この映画には何のお酒が合うだろう?」それを考えるのもお酒と映画の楽しみ方のひとつ
1955年に「目黒ライオン座」「目黒金龍座」としてオープンし、1975年から現在の名称・営業形態となった「目黒シネマ」。東京・目黒唯一の映画館として地元民や映画ファンたちから愛され続ける老舗の名画座です。同館の特徴は昔ながらの“2本立て映画館”であること。それだけに何と何の映画を合わせれば良いか、常に考えなくてはならない編成担当の藤本さんはまさに今回の企画において格好の人物。ここでは“映画と映画”ではなく、“映画とお酒”について伺いました。
▲「目黒シネマ」営業・編成担当 藤本昂太/JR目黒駅から徒歩3分という好立地ながら、古き良き昭和の香りが漂う老舗名画座「目黒シネマ」。同館の営業・編成担当を行う。好きなジャンルはアメリカン・ニューシネマ
――よろしくお願いします。まず普段のお仕事について伺います。映画館の編成担当ということですが、具体的にどのようなことをするのでしょうか?
藤本昂太さん(以下、藤本):はい。「目黒シネマ」は“2本立て”という昭和の時代にはよくあった上映方法を今も行っているのですが、その通り2本の映画を1回で上映するんです。その2本をどうするか、そして今回はこの2本を取り上げたから次はどうするか、そしてその次、など上映する演目の企画を考える仕事をしています。例えば、ある映画監督にスポットを当ててその監督の作品を上映したり、テーマを決めて2本こちらで選んで上映したり、ファンの皆さんが楽しめるような編成を考えています。

――なるほど。映画×映画のような組み合わせを考えるプロなんですね。それでは、今回は映画×映画ではなく映画×お酒について教えていただきたいのですが、藤本さんがお好きなお酒は何でしょうか?
藤本:そうですね、やはりビールでしょうか。個人的にアメリカ映画、特にニューシネマと呼ばれる1960~70年代の作品が好きなので、ビールもアメリカのビールが好みですね。バドワイザーとかはまさにアメリカを代表するビールだと思うので、アメリカ映画に合わせて飲みたいなと。ビールってどこででも買える気軽さがありますし、何杯でも飲めるというか。お酒は長い時間楽しみたい派なのでアルコール度数もちょうど良いですし、キレのあるモノや軽くて飲みやすいモノが特に好みです。
――映画を見る際のお供もやはりビール?
藤本:ビールですね。先程申し上げた通り、アメリカ映画でもよくビールを飲むシーンって出てくるんですよ。それを観ていると飲みたくなりますし、何というか映画とリンクするような感覚も味わえますよね。映画館や自宅にいながら映画の世界により深く入り込めるような…没入感を高めるひとつのキーアイテムなのかもしれません。

――バドワイザーをはじめとした海外のビールはどのような作品と合わせて楽しんでいるのでしょう?
藤本:『バニシング・ポイント』が個人的には1番ビールやお酒と相性が良いかな…。と言うのも、ビールはアルコール度数がそこまで高くないとはいえ何杯も飲んでいると酔ってくるじゃないですか。『バニシング・ポイント』は良い意味でストーリーが複雑じゃないんです。輸送屋がレースしているだけ、と言うとチープですが何も考えずに楽しめる単純さって凄いと思いますし、クルマをかっ飛ばしている姿も爽快で。そういうところもスッキリとした味わいのビールと非常に相性が良いのかなと思います。しかも、主人公はだんだんと狂気じみて来るんですよ。それもお酒を飲むと少しタガが外れるのとリンクしますし、とてもビールとマッチするポイントですよね。トリップ感というか。
ーービールの良さと映画の魅力が上手く作用しているんですね。
藤本:あとはヴィゴ・モーテンセンという俳優が好きなんですけど、彼が主演を務めたショーン・ペンの初監督作品『インディアン・ランナー』もビールに合う映画だと思います。ヴィゴ・モーテンセンが演じるキャラクターって本当に荒くれ者で、逆にその弟役は真面目で家庭的。そのふたりの対比が描かれているんですけど、もちろん最初はすれ違ってばかりで。でも、最後には少年時代のまだ仲良かった思い出とリンクするような内容なのですが、誰が観ても面白いと思うでしょうし少しノスタルジーを感じたりすると思うんです。そんな作品を気負わず、ほっこりと感じつつビールを呷る。ビールの軽い口当たりと合うな、そう感じてもらえる作品なのではないでしょうか。

――ビールの味わいと作品に対する感想というか感じ方がマッチするということですか。
藤本:そう考えると、ビールをはじめとしたお酒に対しても映画に対しても、より面白いと感じますよね。それとアメリカってダイナーの文化がありますよね、それこそ映画でもよく描かれていますし。『アメリカン・グラフィティ』とかモロにそう。何ならバドワイザーを飲んでいるシーンもあったような…。さすがに銘柄が何だったかまでは覚えていませんが、ビールは度々出てきますし、ダイナーには欠かせないアイテムだと思います。
ーー確かに、アメリカのダイナーにビールは必要不可欠ですね。ちなみに、ご自宅でビールと映画を楽しむ際、どのようなAV機器を使用していますか?
藤本:プロジェクターですね。人を家に招待したときにビールを飲みながらカジュアルに映画を楽しむ、最高じゃないですか? ただ、ひとりでじっくり楽しむのも良いですし…。今回、お酒と映画というカップリングの話をしていますが、それだけではなくてシチュエーションのカップリングも無意識に楽しんでいるような気がします。デバイスもそうで。「目黒シネマ」は所謂名画座ですが、まだまだアナログな雰囲気も残っていて、そのアナログ感みたいなものってお酒と相性が良いようにも思います。普段、私はあまり意識をせずに映画を観る際にお酒を選んでいますけど、「このお酒にはあの映画が合いそう」とか逆に「この映画だったらビールだな」とか「タブレットでじっくりひとりで観たいからウイスキーかな」みたいに考えるその時間自体も楽しいモノになるんじゃないかな、そう思いますね。

「目黒シネマ」
住:東京都品川区上大崎2-24-15目黒西口ビル地下1階
営:上映作品による
休:なし
※館内での飲酒は禁止
>> 目黒シネマ


































