希少性と実用性を備えたVW「ヴァナゴン」【VANで遊ぼう!】

■リアルに使えるバン

岐阜市をベースに、日本製にこだわったキャンプ用品ブランド・CAMP MANIA PRODUCTS(キャンプ マニア プロダクツ)を展開している小川徹さん。彼のバン・ライフは、「ヴァナゴン」の北米名で知られるフォルクスワーゲンの3代目トランスポーターがパートナー。しかもキャンピングカー仕様のウェストファリアと呼ばれるモデルで、これはヴァナゴンの中でも珍しく人気も高い。

「これの前にもノーマルのヴァナゴンに乗っていたんですよ」と聞くとヴァナゴン・マニアのようだが、そうではなかった。

「20年以上前に、ふとしたきっかけで400日間、日本全国をバンで旅しながらサーフィンをして過ごしたんです。それが人生の転機になり、飲食店をやったり今はキャンプ用品を製造販売したりしていますが、以来ずっとバンが傍にある生活です」

小川さんの人生を決定付けた旅が、その言葉が流行る前から既にバン・ライフだったのだ。

「キャンプ用品ブランドでの経験と、ここ数年で経験した災害などから、リアルに使えるバンになるよう手を加えています。ただオリジナルの良さは失わないように気を付けていますね」

その言葉どおり、趣味と実用のバランスが絶妙な1台だった。

▲ウェストファリアの代名詞ともいえる装備で、憧れの的でもあるのが、屋根が上に跳ね上がってスペースを作るポップアップルーフだ。ネットも備わり通気性も確保されているのが分かる。持ち上げるのは当然手動だが、よく考えられたフレーム構造とルーフの軽さから、想像よりも楽に開閉できる。タープを張ればもう家も同然だ。

▲フォルクスワーゲン社の本社所在地であるドイツの都市、ヴォルフスブルクの紋章がはいったホイールキャップ。こういったパーツが安易な現代品になっていないところがクルマの雰囲気を盛り上げている

▲VWのトランスポーターは、この3代目までがビートルの流れを汲むリアエンジン後輪駆動。車体後端に積まれたエンジンへの空気取り入れ口が金属製なのは初期型の特徴でもある

▲キャンパー架装の専門メーカー・ウェストファリア社のステッカーも残っている。赤地に白い馬はヴェストファーレン(=ウェストファリアはこの英語読み)の紋章

▲キャンパーらしい、シンクやガスコンロ、冷蔵庫などが集まった内装。ガスコンロは市販のカセットボンベが使えるように、コネクター部分を変更している。左の冷蔵庫はパントリーとして使用

▲およそ40年前のヴァナゴンを現代でも快適に使えているのは、増設し合計4個積んでいるバッテリーの恩恵が大きい。そのうち2個は車両と独立した回路となっており、外部電源やキャビン上部に設置したソーラーパネルからも充電可能

▲持ち上げたポップアップルーフを内部から見上げる。簡単なリンクになったフレームは操作も容易で、樹脂製のルーフも軽い。頭上が広がるだけで室内が一気に広く感じる。装備の木目調は初期モデルの特徴でもある

▲後ろから室内をのぞく。助手席は回転させられるようになっており、後部座席と向き合ったレイアウトをとれる

 

小川徹さん
家族で海外までキャンプしに行くほどのキャンパー。岐阜市でキャンプ用品ブランドを立ち上げ、国内はもとより韓国や台湾へも展開する。写真の椅子やテーブルを始め、自社製品の多くを岐阜産にこだわって開発している
camp-mania.com

 

>> 【特集】VANで遊ぼう!

本記事の内容はGoodsPress1.2月合併号108-109ページに掲載されています

 


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(取材・文/有家伊佐也 写真/山岡和正)

 

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