科学×プラモ=男のロマン!? バンダイ「1/48 しんかい6500」をジオラマ化!【達人のプラモ術<しんかい6500>】

■深海潜水艇は科学のロマン!

さて前置きが長くなりましたが、近年では科学模型と呼べるアイテムが少なくなったと思っていたのですが、まだまだ廃れちゃいません。日本が誇る有人深海調査船「しんかい6500」がプラモデル化されているんですね、これは立派な科学プラモであります。

▲1960年代当時フジミがアメリカのアルビン号、当時初めてマリアナ海溝で1万メートル到達したトリエステ号といった深海潜水艇のプラモを出していた

▲トリエステ号は水底に着くと自動で浮上するギミックや基本ゴム動力や水中モータで遊べる仕様だった

深海潜水艇のプラモデル自体は70年代からありました(潜水艦のプラモは人気が高い)。ただしゴム動力で水に潜るといった玩具的な要素が強いものでした。それはそれで魅力ですが。そして2010年にバンダイが“エクスプローリング・ラボシリーズ”としてプラモデル化した「1/48しんかい6500」(5184円)は、内部も再現され、LEDによるライトの発光も再現した本格的な科学プラモデルです。最新ではありませんが、今でも魅力あふれるキットで、同シリーズでは「1/700 地球深部探査船『ちきゅう』」「1/10 ISS船外活動用宇宙服」がラインナップされています。

 

■しんかい6500とは?

「しんかい6500」はJAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)が運用する深海調査船です。

©2012 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology

地震大国である日本。1933年に起きた三陸沖地震の震源域の断層が水深6200~6500mにあったことから、潜航深度6500mの潜水艇が必要でした。そこで1981年に、まずは潜航深度2000mの「しんかい2000」が開発され、それで得られたノウハウやその間の技術革新を活かして1989年に建造されたのが、世界でもトップクラスの性能を持つ深海探査船「しんかい6500」です。

現在、世界各国では開発中のものを除くと5隻の科学調査専用の有人潜水船が稼働しており、アメリカ「アルビン」の設計深度が4500m、フランスの「ノチール」とロシアの「ミール I、II」は共に6000m。一方「しんかい6500」は、1989年8月11日の試験潜航で水深6527mに到達。そして中国が2010年に就航させた「蛟竜」が2012年にマリアナ海溝で7020mに到達しています。

ちなみに現在、有人潜水艇での世界最深記録は、米国の探検家ビクター・ベスコボ氏が開発したプレッシャー・ドロップ号で、太平洋のマリアナ海溝で1万928mまで下降し、2012年3月に映画監督のジェームス・キャメロンがマリアナ海溝のチャレンジャー海淵で記録した水深10898.4mを16m更新しています。ロマンだなぁ(こればっか)。

 

■キットに関して

内部構造が再現されているのでパーツは多いのですが、船体構造に外装を取り付けていく実機同様の構造や、耐圧球内部のコクピットの再現、細かいパーツは一体で成形されるなど作りやすさにも配慮されており、接着剤なしで組めます。

パーツは色プラで成形と、ガンプラの技術を使ってスケールモデルを作るとこうなりました的な好キット。塗装が苦手といったプラモデルビギナーでもリアルな仕上がりを得られます。なおバンダイは2012年の改装で推進器が増設された改造型もキット化しています。今回は前期型を製作します。

▲プラモデルを店頭で選ぶ際に箱絵(ボックスアート)は大事な要素。本キットは海底のブラックスモークに迫る「しんかい6500」を描いた最高にカッコ良いボックスアートとなっている

▲パーツのランナー(枠の部分)をよく見ると、タラバカニやナマコ? 謎の生き物のデイテールが彫りこまれている。バンダイの遊び心といったところか

 

【次ページ】まずは耐圧殻から作っていきます

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