【もうすぐ出ますよ!注目の日本車】新しいマツダ「CX-5」はマイチェンながら印象が大きく変化

■間もなく丸5年を迎えるが現行CX-5はまだまだ現役

世界規模で見た時に、マツダで最も売れている車種は何かご存知だろうか? 答えはCX-5である。2020年のグローバル販売実績は36万1051台。ちなみにマツダ内での2位以下は、「マツダ3」の23万9498台、「CX-30」の17万8921台と続く。

そんなCX-5の現行モデルは2016年12月に発表され、翌2017年2月に販売がスタート。つまり間もなくデビューから丸5年を迎える。その前の世代に当たる初代CX-5は、販売期間が2012年2月から2017年2月とちょうど5年だったことを考えると、現行モデルもそろそろフルモデルチェンジのウワサが聞こえてきてもおかしくない。

しかしCX-5のフルモデルチェンジは、どうやらまだ行われないらしい。なぜなら2021年9月に、ヨーロッパでマイナーチェンジモデルを受けた“新型”CX-5が発表されたからである。

■ルックス、内装、メカを全面的にブラッシュアップ

というわけで、ここからは海外で発表された新型CX-5の変更点について見ていこう。

まず分かりやすいのは顔つきの変化だ。フロントバンパーのデザインが新しくなるとともに、ヘッドライトもLEDによる“シグネチャーランプ”が組み込まれている。さらにフロントマスクは、マツダによると「より立体感が増している」という。

一方リアスタイルは、テールランプの光り方が新しい。平仮名の“ひ”を思わせるデザインから、ヘッドライトと共通の光り方へモチーフが変わっている。“ひ”を思わせる光り方は、これまでマツダ車の定番だったことから、デザインにおける流れが変わったと解釈してよさそうだ。

先に公開された写真では、それ以外にもエクステリアに大きな変更点があった。それは樹脂パーツの仕上げである。

現行CX-5は他の多くのSUVと同様、車体下部やフェンダーのタイヤを囲む部分に黒い無塗装の樹脂パーツがあしらわれているが、欧州で発表された新型の写真の中には、それらに塗装が施され、ボディ同色となったモデルが存在していたのだ。

例えば、トヨタ「ハリアー」は多くのSUVとは異なり、タイヤを覆う樹脂パーツが存在しないが、新型CX-5もそれに近い世界観を生み出そうとしているのかもしれない。現行CX-5は、SUVの中でも都会的でエレガントなスタイルをまとっているが、新型ではそのイメージがさらに強調されると見てよさそうだ。

とはいえ公開された写真の中には、樹脂パーツをボディ同色としていないモデルも存在するため、すべてのグレードがボディ同色仕上げになるわけではなさそうだ。ただし、ボディと色合いが異なるモデルでも、写真から判断する限り、無塗装ではなく塗装を施しているように見える。

どうやら欧州向けは、アクティブな「Newground(ニューグラウンド)」、スポーティな「Homura(ホムラ)」、上質な「High+(ハイ・プラス)」というグレードごとに、樹脂パーツを始めとするエクステリアの仕立てを変えているようだが、日本仕様ではどうなるのか? その辺りは正式な発表を待ちたいところだ。

もちろん、リファインを受けるのはエクステリアだけではない。ヨーロッパでの発表によると、ボディやサスペンション、シートなどにも改良を実施。「乗り心地が向上し、荒れた路面でのロードノイズが低減している」という。

さらにATモデルには、“Mi-Drive(マツダ・インテリジェント・ドライブ)”と呼ばれるシステムを新搭載。これは、ボタン操作で運転モードを切り替えられる機能で、4WDモデルではオフロード走行に対応するモードも用意されるという。平たくいえば、エンジンやトランスミッションなどの味つけを総合的に変化させる、走行モードセレクターの一種だろう。

ここまで見て来て気になるのは、海外で発表された新型CX-5が、日本ではいつデビューするのか? ということだ。

現在、マツダの公式Webサイトを見ると、CX-5のページのトップに「一部仕様を除き、現行モデルの販売は終了させていただきました。新モデルの発表は今冬を予定しております」と書かれている。またその脇には、「CX-5 商品改良車の情報はこちら」というリンク(現時点ではヘッドライト部の写真があるのみ)も用意。つまり日本でも、この冬には新型に切り替わりそうである。

ちなみに、すでに情報が公開されている欧州では、「発売は2022年の初め」とされているため、発売タイミングとしては日本の方が早くなりそうだ。

■誰もが気になるCX-5とCX-60との関係性

ところで先日、マツダから興味深いプレスリリースが出された。「2022年以降のクロスオーバーSUV商品群の拡充計画」というタイトルで、今後発売される新型SUVについての言及があったのだ。

それによると、日本では今後、直列6気筒エンジンを搭載する後輪駆動プラットフォームを採用した“ラージ商品群”のモデルとして、2列シートの「CX-60」と3列シートの「CX-80」を展開するという。発表のタイミングは「2022年から翌年にかけて」とされている。

そこで気になるのは、CX-5とCX-60の関係性だ。CX-5がこのタイミングで外観リフレッシュを含むマイナーチェンジを行うということは、常識的に考えれば“CX-5にはまだ先がある”ということである。

そのためCX-60はCX-5の後継車ではなく、全く別の車種になると考えられる。CX-60はCX-5よりボディサイズの大きい、車格的にもより上位のモデルと考えるのが適切だろう。同様にCX-80は、現行「CX-8」の上位版と考えるのが妥当である。

ではこの先、CX-5はどうなるのか? 実は先のプレスリリースではCX-5のことにも触れられている。

それによると「CX-5は、今後も継続的な商品改良によってデザイン進化やモデルラインアップの拡充を図るとともに、最新の安全技術やコネクティビティ機能を導入して商品力を強化し続け、今後もマツダのクロスオーバーSUVラインアップのひとつとして大切に育てていく計画」だという。

つまりCX-5は、地道に改良を続けながら、この先しばらく継続販売されるというわけだ。その方針実現に向けての第一歩が、間もなく登場する新しいCX-5なのである。

文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

 

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