『よろしくメカドック』約30年ぶりの復活が支持される理由

これはホンダの「STEP WGN Modulo X(ステップ ワゴン モデューロ エックス)」とのコラボで実現したもの。

内容は、それまで「シビック Type-R」に乗っていた主人公が娘の成長を期にミニバンに乗り換えるものの、よりこだわりのあるクルマにしたいとメカドックに持ち込むというストーリー。量産過程でカスタムパーツを装着したいわば “メーカー純正チューニングカー” 的な存在の「Modulo X」シリーズには最適なコラボレーションです。

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そして、実はこのコラボレーションを実現させたのは、ひとりの元メカドック読者の熱意でした。

「ステップワゴン」の担当をしていたHonda広報部の中村圭太郎氏は、取材に訪れたメカドックの作者・次原先生と出会います。

「少年時代に夢中になって読み、この作品がなければこの仕事をしていなかったかもしれない。そんな自分の人生に影響を与えてくれた作品を描いた人にお会いできて感無量でした」(中村氏)

そして、かねてより「メカドックの続編が読みたい」と願っていた中村氏は「どうせなら自分で企画してしまおう」と動き出します。しかも、自分でネーム(マンガのコマ割りを決める下書きのようなもの)まで描いてしまうのがスゴイところ。さすがにオフィスでマンガを描いていると目立つので「社員食堂でこっそり描き進めました」とのこと。

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そして、完成したネームを持って次原先生のもとを訪れます。「ストーリーもキャラクターも『メカドック』の世界をきちんと再現していて、展開にも無理がない。本当に作品への愛を感じました」とは次原先生本人の言葉。その情熱に打たれ、今回の読み切りを描くことを快諾したといいます。

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「今はアシスタントもいませんし、フルカラーで26ページの原稿をひとりで描くとなると、結構大変なことになるのは目に見えていましたが、かつての読者が作品をきっかけに自動車メーカーで仕事をしていて、こんな自筆ネームまで描いて依頼されたら断るわけにはいきませんよ」(次原先生)

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右:次原隆二先生 左:Honda広報部・中村圭太郎氏

 

そして、完成した『よろしくメカドック STEP WGN Modulo Xの巻』は公開後半日で5万を超えるアクセスが殺到する。

「HondaのWeb全体でもダントツの数字ですし、Twitterのトレンドワードでも『メカドック』が5位になるなど、SNSでも大きな話題になりました。Modulo XのPRができたこともですが、何よりこれだけのメカドックファンがいたということがうれしかったですね」と語る中村氏。

全国のホンダカーズで配布されるマンガ冊子にも、中村さんのこだわりが反映されています。

「かつての『メカドック』読者で、今も単行本を持っているというファンの方々が本棚に並べて置いてもらえるように、当時の単行本と同じサイズにしてもらいました」

販促物として考えればサイズは大きいほうが良さそうだが、そこは読者の視点を大切にしたとのこと。こうした読者としての視点が貫かれているのが、今回の “メカドックの新作” が支持される理由なのでしょう。

ちなみにマンガ冊子のほうは部数限定。ほしい人は早めにホンダカーズの店に足を運んだほうがいいかもしれません。

ホンダ「ステップワゴン」×『よろしくメカドック』>>
http://www.honda.co.jp/STEPWGN/mechadoc/

ホンダ「ステップワゴン Modulo X」>>
http://www.honda.co.jp/STEPWGN/webcatalog/styling/modulox/

(c)次原隆二/NSP 2016、版権許諾証UA-016

 


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(文・写真/増谷茂樹)

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