美味しさだけでない。繁盛店の人気の秘密は、小さなこだわりにあった!代々木上原「オトナノイザカヤ中戸川」

■「オトナノイザカヤ中戸川」が常連の心を掴む小さな心遣い

料理を味わえば、中戸川氏の思いが、美味しさとなってグッと食べ手に訴えかけてきます。たとえば、今が旬の「仏産白アスパラ蕗の薹とツナソース」(1650円)。ツナとマヨネーズで作るピエモンテ州の郷土の味・トンナートソースを合わせているのですが、こちらにはツナとともに蕗の薹(ふきのとう)をプラス。

白ワインビネガーの酸味に蕗の薹のほのかな苦味が加わり、ホワイトアスパラガスのみずみずしさと合わさって、ひと足早い春の到来を感じさせます。

そんな重曹的な味わいの一品があれば、「フランス産鳩の炙り」(1900円)は、網焼きにして完熟の柚子胡椒を添えただけのひと皿。しかし、シンプルな中にも、冷蔵庫で1週間ほど鳩を熟成させ、旨みを増幅させて肉をベストコンディションに整えるなど、中戸川氏の仕事がキラリと光っています。

中戸川氏のこだわりのひとつが食材です。魚は三重県尾鷲市の漁港から産地直送してもらうほか、週に1~2度、自身の故郷である小田原や三浦へと足を運び、野菜を買い付け。定番の「いろいろ野菜・ゴロゴロ野菜サラダ」(1200円)はまさにそのこだわりが詰まったひと皿。

20種ほどの野菜を焼いたり、茹でたり、ピューレにしたり、パウダーにしたり…。多彩な調理法を織り交ぜることで、食感も味わいも変幻自在、食べていて実に楽しいのです。野菜そのものの生命力あふれる味わいも、食材にこだわるからこその魅力 でしょう。

「“イザカヤ” を店名に冠している以上、気軽に使ってほしい」。

週末は予約で席が埋まる一方で、そんな思いがあるからこそ、平日は4割ほどの席は予約を受けずに営業。

「思いたったときに通えるのが居酒屋の良さ。特に地元の人たちがフラッと立ち寄っていただけるように席を空けています」と中戸川氏。

利益を考えれば、全席予約を埋めたいところ。しかし、この心憎いもてなしの心が常連客を惹きつけてやまないのです。

料理もさることながら、お酒も居酒屋感覚で楽しめるのが嬉しい。ビールにはじまり、日本酒やワインはもちろん、焼酎、果実酒なども充実。とくに日本酒やワインは、和伊多彩な料理と組み合わせられるようにと、味わいや香りなどが重ならぬようセレクト。

魚の刺身から、がっつり肉料理まで合わせられる10種ほどをセレクトしています。赤・白各5種、スパークリング2種が揃うグラスワインの豊富さも実に気が利いています。

【次ページ】トイレにも心遣いが

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