憧れのX-ADVが身近に!ホンダ「ADV150」は不整地も苦にしない新感覚スクーター

■上等なバイクに乗っていることを実感

新たに誕生した“ベイビーADV”は、ホンダのベストセラースクーター「PCX150」のコンポーネンツを活用して開発されました。といっても、ダブルクレードルのフレームに149ccの単気筒エンジンを積む基本構造こそ同じですが、見た目はガラリと変わっただけでなく、フレームは補強され、機関、足回りにも手が入れられています。

また、ホイールベースは10mm延長されて1325mmに。タイヤサイズも変更され、リアは14から13インチに落とされる一方、前後とも太くなってタフな印象を強めています。ブロックパターンを持つ専用タイヤが“らしい”ですね。ちなみにADV150は、インドネシアやタイで生産されるグローバルモデル。日本には後者から入ります。

一般的なスクーターとは一線を画すスタイリングのADV150。まずは別体タンクになった豪華なリアダンパーが目を惹きます。うーん、豪華! 加えて、リアブレーキはPCXのドラムからディスク式へとグレードアップされました。上向きになったマフラーが、オフロードでの走りを予感させます。

なおABSはフロントブレーキにのみ装備され、前後ブレーキは個別に作動します。未舗装路を走り慣れた人には、必要に応じてリアをロックできる仕様の方がうれしいのかもしれませんね。

シート高は795cmとやや高め。クッションが厚めなこともあって、初めてまたがった際に不安を感じる人がいるかもしれませんが、前方へいくに従ってシート幅が絞られるので、すぐに気にならなくなります。

また、リアシートとの段差が見かけ以上にハッキリしているので、走行中のオシリの収まりは良好。上等なバイクに乗っている実感が湧いてきます。

■遠出の際に頼もしく感じる安定感の高い乗り味

ADV150に搭載される149ccのシングルエンジンは、15馬力/8500回転の最高出力と1.4kgf-m/6500回転の最大トルクを発生します。カタログスペックこそPCXと同じですが、吸排気系にファインチューンを施し、低中回転域でのトルクを太らせました。トランスミッションは一般的なベルト式CVTですが、スロットルを開けた時の、リニアに盛り上がる力強さが印象的。余裕の走りです。

市街地では、アイドリングストップの“停止←→再始動”のスムーズさに感心させられます。右手の親指付近という一等地に大きな“オン/オフ”スイッチが備わるのは、アイドリングストップに不満を抱くオーナーが多いから…ではもちろんなく、不整地に踏み入れて、慎重に、断続的に進みながら、しかし突然、駆動力が失われてあわてることがないよう、素早く迷わず機能をカットするため。こんなところにも、ADV150の個性的が反映されています。

乗り心地は、外観に違わずスポーティ。細かいカーブが続く峠道も「ドンと来い!」的な、硬派な足回りです。ただし、街乗りメインのオーナーの中には、「もうちょっとソフトな方がいいかも…」と感じる人が出るかもしれません。その分(!?) 高速道路ではスタビリティが高く、しっかりとしたライドフィールが頼もしい。遠出が好きなスクーター乗りにはうれしいところです。

フロントに備わるスクリーンは、左右のダイヤルを引っ張ることで高さを2段階に調整可能。位置を高めると、風当りの低減範囲が、通常位置の“胸の下からお腹にかけて”から、“アゴの辺りからお腹にかけて”に広がります。簡易ですが効果的な風防といえましょう。

スクーター離れしたルックスのADV150ですが、シート下には27Lという大きなラゲッジルームが用意されます。前半部分にフルフェイスのヘルメット(写真はSHOEI「Z-7」のMサイズ)がキチンと収まった上で、まだまだスペースが余ります。利便性が高いですね。また、フロントサイドカウルの物入れには、スマートファンなどを充電できるアクセサリーソケットも。知らない土地でスマホをナビ代わりに使うとバッテリーの減りが早いですからありがたいですね。

都会で冒険の風を吹かせ、実際、少々の未舗装路なら躊躇なく走れるADV150。“週末アドベンチャー”にして、“旅スクーター“というジャンルを大きく開拓するモデルになるやもしれません!

<SPECIFICATIONS>
☆ADV150
ボディサイズ:L1960×W760×H1150mm
車両重量:134kg
エンジン: 149cc 水冷単気筒 SOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:15馬力/8500回転
最大トルク:1.4kgf-m/6500回転
価格:45万1000円


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文&写真/ダン・アオキ

ダン・アオキ|15年ほど出版社に勤務し、クルマ専門誌、カメラムックなどの編集に携わった後に独立。フリーランスの“カメライター”になる。現在は、2輪・4輪のコンテンツ制作を担当するほか、女性を被写体とした人物撮影も行っている。

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