広さと使い勝手は驚異的!スズキ新型「ソリオ」は街での普段使いに好相性

■全長3.8m弱の車体に広がる驚きの室内空間

小さなボディサイズでありながら居住スペースが広く、乗り降りもしやすいクルマといえば、真っ先に思い浮かぶのは軽自動車の“スーパーハイトワゴン”ではないだろうか。

具体的にいえば、軽自動車で最も人気のあるホンダの「N-BOX(エヌ・ボックス)」を筆頭に、スズキ「スペーシア」やダイハツ「タント」、そして日産「ルークス」などが該当する。これらのモデルを合わせると毎月4万台以上の販売ボリュームを誇り、まさに日本の自動車マーケットを代表する売れ筋ジャンルとなっている。

ソリオは、そんな軽スーパーハイトワゴンに似たパッケージングを持ちながら、車体をひと回り大きくしているのが特徴。その結果、軽スーパーハイトワゴンよりキャビンの余裕が増している。そうした“ちょうどいい”クルマ作りがウケ、スズキの国内販売における登録車(軽自動車以外の車種)で、今、最も売れているのがソリオなのだ。

そんな新型ソリオに触れてみてまず驚くのは、リアシートの広さだ。フロントシートまでの間隔は大型セダン級どころか、それ以上。オトナが足を組んで座れるほどのスペースが確保されている。

加えて後席には、左右独立のリクライニング機構、前後のシートスライド機構、センターアームレストなども備わり、乗員の快適性や使い勝手も上々だ。

その上、平均的な身長の小学4年生がキャビン内で立てるほど天井が高く、サイドの窓も大きいから開放感が抜群。「3列シート車はいらないけれど、ミニバンみたいに使えるクルマが欲しい」と考える人には、まさにちょうどいい空間といえるだろう。そんな優れた居住性を、全長3.8m弱の短いボディサイズで実現しているのだから、人気が高いのもうなずける。

ソリオに限った話ではないが、この手のクルマに触れてみると、小さな車体で高い居住性を実現するパッケージングの妙は、輸入車メーカーより日本車メーカーの方が優れていることを実感する。日本で小さなクルマといえば軽自動車であり、効率的なパッケージングの頂点に立つのもやはり軽自動車である。ソリオには、そんな軽自動車で培われた空間作りのノウハウが生かされており、軽自動車よりひと回り大きいボディサイズとすることで、よりゆったりと乗れる居住空間を生み出している。

■6個のスーツケース+αを積める広大な荷室

フルモデルチェンジで4世代目となった新型ソリオは、大好評だった従来モデルの正常進化版だ。従来モデルの美点を受け継ぎつつ、ユーザーの声を真摯に受け止め、“不満”とされていた部分をアップデートしてきた。

開発者によると、中でも特に進化した部分は、後席の快適性、荷物の積載性、そして安全装備の3点だという。

すでに上記した後席の快適性に関しては、まず広さを拡大している。車体の基本設計を先代から受け継ぐこともあり、前後席間の距離自体は先代モデルから変わっていないが、リアシートの頭上空間は、上方向(天井までの間隔)も横方向(サイドウインドウまでの間隔)もそれぞれ5mmずつ拡大。さらに、室内幅は従来モデルと同様ながらトリムの形状などを工夫することで、肩回りのゆとりが左右で20mmアップするなど、空間自体を広げているのだ。

また、前席の背もたれを倒し、後席の背もたれを後方へリクライニングさせれば、車内泊などにも使えそうなスペースが現れる。快適性がアップした後席を活用すれば、ちょっとしたレジャーユースでも重宝しそうだ。

その上、「リアシートは空調が効きにくい」という不満の声を受け、上級グレードには新たにサーキュレーターを装備。運転席頭上の天井部に組み込まれた送風装置がエアコンの風をリアシートへと送り、真夏の冷房効果を高めるのはもちろん、冬でも後席空間を暖かくしてくれる。

ちなみに、強い日差しを遮る後席サイドウインドウのシェードや、寒い日に空調の暖房よりも素早く発熱してカラダを温める前席シートヒーターも、従来モデルと同様、上級グレードに標準装備されている。

続いて荷物の積載性は、ラゲッジスペースを前後に延長することで対応している。新型は先代モデルに比べ、ボディの全長が80mm伸びているが、開発チームの荷室拡大に対する執念を感じさせるのが、荷室の床面長だ。全長の拡大分を超え、なんと100mmも広がっているのだから恐れいる。

先代モデルも後席のスライド機構を備えていたため、荷物が多い時はリアシートを前へスライドさせることで荷室を拡大できた。しかし、人の心理というのは不思議なもので、その利便性を理解していながら「リアシート空間を犠牲にすることなく、荷物をたくさん積みたい」という気持ちになるのは自然の流れ。そのため新型は、後席を最も後ろの位置までスライドさせた状態で、機内持ち込みサイズのスーツケース5個を積載できるスペースを確保した。

さらに新型のFF車は、荷室の床下収納スペースも拡大。機内持ち込みサイズのスーツケースが1.5個ほど収められる空間を確保し、荷室全体では計6個のスーツケースと、プラスαの荷物を積めるようにしている。

加えて、リアシートと助手席の背もたれを前方に倒せば、長尺物も余裕で積載可能な空間が広がる。

これほどの積載能力は、さすがの軽スーパーハイトワゴンでも叶わないレベルで、登録車のソリオだからこそ実感できる余裕といえるだろう。

■街中などでの近距離移動が最も光るクルマ

安全装備の進化では、運転席正面のダッシュボード上部に、各種情報を表示するヘッドアップディスプレイを新設定。カメラで捉えて認識した標識をヘッドアップディスプレイやメーターへと表示する機能も新搭載している。

先進安全装備では、高速道路などで前方を走るクルマに合わせて速度を自動調整するアダプティブ・クルーズ・コントロールが、従来の渋滞非対応(車速が約40km/h以下になると解除された)から、全車速対応タイプへアップグレードされたのがトピック(完全停止時は、約2秒間停止保持した後にドライバーがブレーキペダルを踏む必要がある)。渋滞時も使えるようになった意義は大きく、ロングドライブ時の疲労を軽減してくれるばかりか、精神的な負担も減らしてくれる。

また、衝突安全基準が変更されたこともあり、先代モデルでは全車標準装備ではなかったカーテンエアバッグが、フロントエアバッグや前席サイドエアバッグに加え、全グレードに標準装備されるようになったのもうれしい進化だ。

このように、従来モデルのネガをひとつずつクリアしてきた新型ソリオだが、果たしてどんなユーザーを幸せにしてくれるのだろうか? やはり一番は、運転しやすいコンパクトなクルマを求めるファミリー層だろう。

ソリオの美点は、運転しやすい小さな車体でありながら後席が広く、乗り降りがしやすいこと。それは、クルマと日々の暮らしとが密接にリンクしているユーザーの多くが重視する要件だ。その上で「軽自動車では積載性などの面で心許ない」と考える人にとって、新型ソリオはまさにジャストな1台といえるだろう。

いい換えれば、日常のアシとして街中での移動で最も輝き、広く使い勝手のいい室内を利用すれば、近距離のレジャードライブにおいても重宝するクルマである。

ちなみに新型には、先代モデルにラインナップされていた、強力なモーターを組み合わせた“ストロングハイブリッドモデル”が設定されていない。この件について開発者は、先代モデルのストロングハイブリッド仕様は価格が高く、販売台数が伸びなかったこと、そして、ストロングハイブリッドは大きなバッテリーを搭載する必要があり、荷室の床下空間が犠牲になるという実用面でのウィークポイントを考慮したと、その理由を挙げている。

それでも新型ソリオは、ベーシックグレードである「G」を除けば、いずれも小さなモーターを搭載するマイルドハイブリッド仕様となっていて、燃費もFF車で19km/Lオーバー(カタログ記載のWLTCモード)という良好なデータをマークする。これは、普段使いのアシとしては十分な性能といえるだろう。

ちなみに新型ソリオには、これまでと同様、プレーンなノーマルモデル(赤い試乗車)と、ちょっとワルっぽい表情のソリオ バンディット(青い試乗車)がラインナップされるが、両車の違いはデザインやカラーリングの仕立てと、一部の装備のみ。普段使いとしては必要にして十分の走り味などは、両モデル共通となっている。

<SPECIFICATIONS>
☆ハイブリッドMZ(2WD)
ボディサイズ:L3790×W1645×H1745mm
車重:1000kg
駆動方式:FWD
エンジン:1242cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:91馬力/6000回転
エンジン最大トルク:12.0kgf-m/4400回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
モーター最大トルク:5.1kgf-m/100回転
価格:202万2900円

<SPECIFICATIONS>
☆バンディット ハイブリッドMV(2WD)
ボディサイズ:L3790×W1645×H1745mm
車重:1000kg
駆動方式:FWD
エンジン:1242cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:91馬力/6000回転
エンジン最大トルク:12.0kgf-m/4400回転
モーター最高出力:3.1馬力/1000回転
モーター最大トルク:5.1kgf-m/100回転
価格:200万6400円


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文/工藤貴宏

工藤貴宏|自動車専門誌の編集部員として活動後、フリーランスの自動車ライターとして独立。使い勝手やバイヤーズガイドを軸とする新車の紹介・解説を得意とし、『&GP』を始め、幅広いWebメディアや雑誌に寄稿している。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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