2023年完全ワイヤレスの主役が遂に登場!? ソニー「WF-1000XM5」実機レビュー

■音楽性の高まった高音質サウンドも魅力

ソニー「WF-1000XM5」の実機を触れるにあたって、現行モデル「WF-1000XM4」ユーザーは本体サイズに注目です。本体は重さ20%ダウン、体積は25%ダウンと小型化しています。

▲これだけのコンパクトサイズながら内部のドライバーユニットは8.4mmに大型化

▲「WF-1000XM4」(左)と「WF-1000XM5」(右)の比較。ケースも重さで5%、体積で15%ダウン

装着してみると、「WF-1000XM4」の耳を完全に塞ぐ構造から、耳穴に差し込みフィットさせる形状に変化。耳が小さくても収まりが良くなった点が最大のメリットです。

▲「WF-1000XM5」の装着写真。耳側に余裕ができたほか、外への飛び出しも小さくなった

▲独自開発ポリウレタンフォームのノイズアイソレーションイヤーピースが付属。新たにSSサイズも追加され合計4サイズが付属

「WF-1000XM5」は、ソニーの完全ワイヤレス最上位だけに、機能面も全部入り。ワイヤレス接続は、LDACコーデック対応は当然として、低遅延のLE Audioコーデックにも対応。さらにスマホやPCなどを2台同時接続できるマルチポイント接続、「Headphones Connect」アプリによるイコライザ、360 Reality Audio対応の立体音響、ヘッドトラッキングなど機能満載。

▲スマホ/PCを同時に2台まで繋ぎっぱなしにできるマルチポイント接続も出荷時から対応

そして最大の謳い文句が“世界最高ノイキャン”。これは4月10日時点、JEITA基準によるものです。

技術的には“統合プロセッサーV2”と“高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN2e”と2チップ化、そしてNCマイクを従来の4個から6個に強化。現行機種からさらに20%ノイズを低減するとしています。

▲イヤホンのノズルの先にも集音マイクを搭載

新型「WF-1000XM5」と現行機「WF-1000XM4」を電車に持ち出して騒音低減を聴き比べてみたところ、現行機では消えていなかった重低音の騒音をほぼ消せていることを確認。窓がガタガタと鳴る音など中域側も不快な音が軽減され、ノイズキャンセルの性能アップを実感できます。

▲電車内の騒音低減は全帯域のノイキャン性能アップを実感

ただ、本当に“世界最高ノイキャン”かどうかは、他機種と本格的に比べてみないと判断が付きませんね。

通話マイク性能は新たに、AIによる高精度ボイスピックアップテクノロジーと骨伝導センサーを搭載。実際にMacによるビデオ会議でテストしてみると、従来上に声の情報の出る高音質な通話品質を実感できました。

▲通話用マイクも高音質化を確認できた

そして、完全ワイヤレスイヤホンで最重視のポイントである音質。これも「WF-1000XM4」と「WF-1000XM5」で聴き比べてみましたが、臨場感志向のサウンドは継承しつつ、しっかり高音質化しています。

宇多田ヒカルの『あなた』を聴くと、歌声をより鮮明に頭のセンターに浮かび上がらせ、ベースの低音も鮮明さを増して浮かび上がらせる。同時に全帯域の高解像化も進み、オーケストラの溌剌としたサウンドも魅力。BTS『Dynamite』も、空間上で実体を持つ歌声、重低音はリズム感の再現が極上。音域のカバーが丁寧で音楽的な表現に長けた高音質サウンドです。

▲歌声の表現力アップが分かりやすい「WF-1000XM5」の音質アップのポイント

現行の「WF-1000XM4」から約2年を経て登場した「WF-1000XM5」。さすが、ソニー本気の完全ワイヤレスイヤホンと呼ぶべきか、音質も機能性も全方位に進化を実感できる完成度の高いモデルでした。気になるのは市場想定価格4万2000円という値上がりですが、発売は9月1日と少し先。今から予算を確保しておくと良さそうです。

>> ソニー「WF-1000XM5」

<取材・文/折原一也

折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube

 

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