新しい靴で1日歩いた日の夜、靴を脱いだら小指の付け根だけが赤くなっている。そんな経験はありませんか。私はまさにその一人で、海外ブランドのスニーカーはそれが原因でほぼ履けず、国内ブランドでも履けるものが限られていて悲しみが募るばかりの人生…。
ハーフサイズ上げて無理に履いてみたりもしたけど、今度は足が前に滑って歩きにくくなるばかり。つま先の悩みって単にサイズを大きくしても解決しないんですよね。

そんな長年の悩みを根本から打ち破ってくれるだろうと今回期待して購入したのが、新鋭ブランド“Notace(ノータス)”の多目的トレイルシューズ「yama T1(ヤマ ティーワン)」(2万5300円)。ベアフットブームの火付け役“ALTRA”などを扱う専門店・STRIDE LABで“めちゃめちゃ良いですよ”と勧められた本モデル。
街履きメインならソールパターンがシンプルなロードモデル「michi 1」もありますが、山を歩くこともある自分はトレイル対応の「yama T1」を選択。実際に2ヶ月ほどしっかり履き込んで見えてきた、単なるスペック表では伝わらないリアルな使用感を詳しくレビューします。その実力やいかに。
■ 地面の起伏を伝える、絶妙な15.5mm厚ソール
ベアフットシューズと聞くと“ソールが紙のように極薄で、コンクリートを歩くと足裏や膝が痛くなりそう”と敬遠する人も多いはず。しかし、「yama T1」はそのイメージを心地よく裏切ってくれます。

ミッドソールには、軽量で反発性の高い“次世代eTPU”素材を採用し、ソールの厚み(スタックハイト)は15.5mm。実際に歩くと路面の起伏はもちろん、踏んだ小石の大きさまで足裏に伝わってきます。
ただ、だからといって薄すぎるわけではなく、硬いアスファルトからの突き上げはしっかりガード。地面の感触を残しつつ足を保護してくれる絶妙な厚みで、慣れてしまえば1日中歩き回っても、私の場合は足裏がつらくなることはありませんでした。この感覚は結構異次元かもしれません。面白さすら感じる。

この絶妙なバランスを実現できたのは、開発者のセドリック・スコット氏がバイオメカニクス(人体力学)を研究し、“ALTRA”をはじめとする主要ベアフットブランドの現場を知り尽くした足のプロだからこそでしょう。

ただし、購入直後に覚えておきたいリアルな注意点も。かかととつま先の高低差がない“ゼロドロップ”構造は、これまでかかとの高さに助けられていた負荷を、ふくらはぎやアキレス腱で直に受けることになります。要するに、慣れていないとふくらはぎがパンパン。
人によっては慣れるまで1ヶ月ほどかかる場合もあるので、最初は近所の買い物や2〜3時間の散歩など、休日のちょっとした外出から慣らしていくのがコツ。最初からいきなり1日中履いて“疲れる”と判断してしまうと、この靴の本当の良さにたどり着けないので注意が必要です。
■ 小指が解放される“フットシェイプ”と、下り坂でもズレない中足部のフィット感

最大の感動は、つま先を圧迫しないボックス型の“フットシェイプ”設計。これまで小指が靴の側面に擦れて“もしかして血でも出てるのでは?”なんて思うようなことがしばしばありましたが、この靴ではそんな心配とはグッバイですよ。

そして感心したのが、ただつま先が広いだけの靴ではないということです。指先は自由なのに、中足部(土踏まずのあたり)が心地よく締まってフィットするため、歩いても足が前後に滑りません。つま先が広い靴にありがちな、下り坂で足が前に突っ込んで爪が当たる、みたいな不快感がほぼなし。
“つま先が遊ばないようなシューズを選ぶべし”とは登山系のシューズ選びではよく言われることですが、この中足部のフィット感があればこそ、その定説に縛られない。そんなシューズになっています。そもそも設計思想が違うので一概には言えませんが。
本体重量もメンズサイズ9(27.3cm相当)でわずか215gと非常に軽く、足とシューズが一体化したようなストレスフリーな足さばきを実感できます。
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