■かつてのレーサーレプリカを思い出す乗り味
外観はレーサー的なイメージではなく都会に似合いそうな雰囲気に仕上がっていますが、またがってみるとレーサーレプリカと呼ばれていた時代の「CBR」を思い出しました。着座位置が低く、足付き性が良いのです。

シート高は780mmですが、シートの前側とガソリンタンクが絞り込まれた形状なので足が付きやすい。ハンドルもトップブリッジ下にマウントされていますが、グリップ位置が低すぎず、ライダーに近い位置にあるため前傾姿勢がキツくありません。
近年のスーパースポーツはシート位置が高く、バンクはさせやすいものの乗っていると腰高感があるものが少なくありませんが、「CBR400Rフォア Eクラッチ」は低重心でマシンの重心位置に近いところに着座できている感覚です。
この感覚が低速域で走っている街中などではとても扱いやすい。交差点などで曲がる際にも高い位置から重心を移動するよりもやりやすく感じます。よく動くサスペンションも、この扱いやすさに一役買ってくれています。感覚的なものではありますが、街乗りやツーリングを中心に使いたいライダーにはありがたい特性でしょう。

エンジン特性は4気筒らしくスムーズなもの。特に高回転まで回したときの伸びやかなパワー感と、澄んだ排気音は4気筒マシンならではのもので、気分を高めてくれます。スペック的な数値は兄弟モデルの「CB400スーパーフォア Eクラッチ」と同じですが、こちらのマシンはツインラムエアダクトの効果か、高回転がより気持ち良くなっている印象でした。
ワインディングを走ると「CBR」シリーズらしい俊敏な動力性能が実感できます。特に好感を持ったのはライディングポジション。

ブレーキングではタンクのホールドがしやすく、コーナー進入時には着座位置を左右にズラしやすい。加速時はタンデムシートの段差部分にお尻を当ててホールドできるので、体を積極的に動かしてコーナーを曲がるのが楽しくなります。
俊敏な動きを支えているのが187kgに抑えられた軽量な車体です。この数値は2気筒モデルの「CBR400R」より8kgも軽いもの。4気筒エンジンを搭載しながら、この軽さを実現しているため、峠道でも意のままにコントロールすることができます。

もう1つ、乗っていて感じたのが「Eクラッチ」との相性の良さです。このマシンでは電子制御スロットルが採用されたことで、シフトダウン時にはブリッピングで回転数を合わせる操作も自動で行ってくれます。4気筒エンジンのブリッピング音はそれだけで気持ちが高まるもの。つい余計にギアを落としたりしてしまいましたが、その際に「Eクラッチ」が半クラッチ操作で駆動を逃がしてくれるため、リアタイヤがホッピングすることもなく安心してライドを楽しめます。

新世代のフルカウルスポーツとして生まれた「CBR400Rフォア Eクラッチ」ですが、乗ってみるとライディングポジションや扱いやすさは昨今のスーパースポーツよりも、かつてのレーサーレプリカを思わせるものでした。街乗りや長距離ツーリングまでマルチにこなせる快適性を持っている一方、スポーツライディングを堪能できる運動性能も両立しています。
前傾姿勢がキツ過ぎないので中年ライダーの腰にやさしいのも個人的には好印象。1000ccや600ccのスーパースポーツが過激に感じられてきているようなライダーにとっては、乗りやすく公道でも4気筒の排気音を楽しめる回転数まで回せるこのマシンは、乗り換えの対象としても魅力的に映ることでしょう。もちろん、免許を取ったばかりのライダーが乗ったとしても、様々なシーンでバイクの楽しさを味わえるマシンです。
【SPEC】
・価格(消費税込):119万9000円〜
・サイズ:2055×760×1125mm
・シート高:780mm
・車両重量:187kg
・エンジン:水冷4気筒DOHC4バルブ
・総排気量:399cc
・最高出力:58ps/11500rpm
・最大トルク:38Nm/9750rpm
<取材・文/増谷茂樹>
増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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