【スバル インプレッサ 1.6試乗】“良いモノ感”を放つテンロク。強固なボディで走りも上質

現行インプレッサには、5ドアハッチバックの「スポーツ」と4ドアセダンの「G4」、ふたつのボディが用意されています。今回、雪道ドライブに連れ出したのは後者。G4の1.6リッターモデルで、駆動方式は“アクティブトルクスプリットAWD(ACT-4)”という仕様。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

インプレッサはボディタイプやグレードの別なく、FFに加え、AWD仕様が選べますが、こうしたスバルらしいコダワリも、降雪地のユーザーやウインタースポーツを楽しみたい方にとっては、ありがたいポイントなのではないでしょうか。

さて、1.6i-Lアイサイトに搭載されるFB16型エンジンは、排気量1599ccの水平対向4気筒DOHCで、最高出力は115馬力/6200回転、最大トルクは15.1kg-m/3600回転というスペック。熱心なスバルファンはお気づきかもしれませんが、これらの数値は従来型と共通です。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

しかし、クランクシャフトといった主運動系部品の慣性力低減(マイナス6%)や質量低減(マイナス1.6kg)による“軽快な加速感”の実現、本体構造の剛性アップ(ねじれ剛性プラス10%)や質量低減(マイナス3.2kg)による“音と加速の一体感”を追求するなど、数値に現れない部分でのブラッシュアップが図られています。

もちろん、街中で同クラス車と並んでも、加速で歯がゆい思いをすることはありません。しかし、数値だけを見れば、2リッターモデルは1.6リッター車比で39馬力、4.9kg-m勝りますし、スタートダッシュでのパワフルさでは敵いません。では「1.6リッターモデルはやっぱり価格重視のエントリーグレードなの?」といえば、さにあらず。

開発陣が「注力した」というエンジンのフィーリングでは、2リッターエンジンとはちょっとしたキャラクターの違いを感じることができます。

2リッターエンジンは、スバル車らしいスポーティでスムーズな吹き上がりが特徴で、ビート感あふれるサウンドを魅力に挙げるファンも少なくありません。一方、1.6リッターエンジンはというと、鼓動のツブがより細かく、滑らかな感触に仕上がっています。いわゆる、低価格モデルに用意される、無機質な実用エンジンとは異なる“質感”といいますか、フィーリングも音質もちょっとした“良いモノ感”がありました。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

また、エンジンの進化もさることながら、もうひとつの魅力として挙げておきたいのが、ボディの出来の良さ。今回のモデルチェンジで、新世代となる“スバルグローバルプラットフォーム”が採用されましたが、ボディ剛性の向上が図られたことで、路面の凹凸をサスペンションやブッシュがしっかり、しなやかに吸収するようになりました。今回の試乗コースの大半は圧雪路でしたが、雪道特有の不快な振動がシートやステアリングに伝わることはありませんでした。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

1.6リッターモデルは、タイヤが205/55R16という控えめなサイズであること、快適性にも定評のあるスタッドレスタイヤ(ブリヂストン「ブリザック VRX」)という、荒れた路面に適した設定であったことも、好印象につながった理由ではあります。とはいえ、1.6リッターエンジンとセダンボディの組み合わせは、スペックシートから想像するより良好で、ひとクラス上のサルーンと比べても、遜色のない快適性を実現しているといえるでしょう。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

シートは、フロント、リアともにたっぷりしたサイズで、ファブリック/トリコットのサラッとした感触もクラスを考えれば上質。インパネまわりの樹脂パーツも、上位グレードのダークシルバー金属調とは異なり、1.6リッターモデルではカーボン調となりますが、控えめな装飾もセダンとしては好ましく感じる人も少なくないのでは、と思います。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

また、個人的に気になっていたハッチバックとセダンの違いですが、ラゲッジスペースの使い勝手はハッチバックがリードする一方、G4はロードノイズがしっかり抑えこまれており、リアまわりからの聞こえてくる騒音は、5ドアモデルより控えめです。1.6リッターエンジンゆえ、活発に走ろうと思うと大きくアクセルペダルを踏み込むこともありますが、後席との会話で声のボリュームを大きくする必要もありませんでした。

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

装備面はというと、スバル車らしく充実しており、運転支援システム“アイサイト(ver.3)”や、歩行者保護エアバッグといった最新の安全装備はグレードを問わず標準。また、1.6リッターモデルにも本革シートやLEDヘッドライトといったオプションが設定されており、それらを選べば装備面でも2リッターモデルと大きな差を感じることはありません。

ちなみに、1.6i-Lアイサイト(AWD)の価格は213万8400円。2.0i-Lアイサイト(AWD)は237万6000円ですから、価格差は23万7600円です。新型インプレッサが気になる方にとって、スポーティな2リッターと滑らかな1.6リッターのどちらを選ぶかは、楽しくも悩ましい問題かと思います。愛車候補としてインプレッサを検討中ならば、双方の乗り比べは必至です!

スバル インプレッサ G4 1.6(雪上)

<SPECIFICATIONS>
☆G4 1.6i-Lアイサイト
ボディサイズ:L4625×W1775×H1455mm
車両重量:1360kg
駆動方式:AWD
エンジン:1599cc 水平対向4気筒 DOHC 16バルブ
トランスミッション:リニアトロニック(CVT)
最高出力:115馬力/6200回転
最大トルク:15.1kg-m/3600回転
価格:213万8400円

(文&写真/村田尚之)


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