実は隠れたブーム!? レプリカ世代なら気になる今ドキの2ストバイク事情

1980〜90年代のレーサーレプリカブームを知る世代なら、ハイパワーエンジンの代名詞として“2ストローク”(以下、2スト。「ツースト」と読む)エンジンを記憶している人も多いことでしょう。当時は小排気量でも大きなパワーを得られるエンジンとして、レースでも公道でも重宝されていた2ストエンジンが、なぜ消えてしまったのかを簡単に振り返りつつ、本当に市販モデルがなくなってしまったのか? 現在の状況も紹介したいと思います。

 

■2スト全盛期だったレーサーレプリカブーム

2ストとは、ピストンが上って降りる(2ストローク)間に1回爆発するエンジンです。現在主流の4ストロークエンジンはこの動きを2回繰り返す間に1回爆発する機構。だから単純に、同じ回転数でも得られる馬力が大きいのが2ストのメリットです。また、カムやそれによって駆動する吸排気バルブを持たないため、シンプルな構造なのも利点といえるかもしれません。

逆にデメリットとなるのが、排ガスのクリーン化が難しいこと。オイルをガソリンと一緒に燃焼室に送り込んで潤滑する仕組みのため、オイルも燃えてしまうからです。2ストバイクは白煙を出して走るため、ツーリングなどで前を走ると煙たがられたり、その排気が服に付くと黒い点になってなかなか落ちなかったりする経験がある人もいるかもしれません。これはオイルを一緒に燃やす構造となっているためです。

▲1980年式ヤマハ「RZ250」

2ストエンジンは古くから存在しますが、市場を席巻するきっかけとなったマシンとして、ヤマハの「RZ250」を記憶している人は多いのではないでしょうか。実は当時から既に2ストは環境対応が難しいことから、このマシンがヤマハ最後の2スト車になる可能性もあったとか。「最後だから最高のものを作ろう」というエンジニアのがんばりが、完成度の高いマシンを生み出し、爆発的な人気となったため、逆に2ストをその後の主流に押し上げてしまったのです。このマシンがなければ、その後のレーサーレプリカブームもなかったと言われています。

 

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