『東リべ』から『特攻の拓』までヤンキー漫画に登場する名車列伝

■カワサキ「ゼファー」(龍宮寺堅、鬼塚英吉、浅川拓)

『東京卍リベンジャーズ』では人気キャラの1人である龍宮寺堅(ドラケン)が乗り、1990年代の『湘南純愛組!』では主人公の鬼塚英吉の愛車として登場するのがカワサキの「ゼファー」(鬼塚はその後「ゼファー750」「ゼファー1100」にステップアップ)。『特攻の拓』では主人公の浅川拓も乗っていましたね。1989年に発売され、レーサーレプリカブームを終わらせて、その後のネイキッドブームを作った立役者的なモデルです。近年は価格の高騰が続き、200万円を超える個体もあるとか。

 

■ホンダ「CBX400F」(林田春樹、弾間龍二)

東京卍會の創設メンバーである林田春樹(パーちん)が乗るホンダ「CBX400F」は、『湘南純愛組!』では弾間龍二も乗っていたバイク。1981年に登場し、新設計の空冷4気筒DOHC4バルブエンジンを搭載しており、ホンダ独自のインボードディスクブレーキを採用するなど革新的なマシンでした。ただ、漫画にも多く取り上げられているように暴走族やヤンキーに人気も高く価格が高騰。近年は500万オーバーのプライスタグが付けられたマシンも珍しくありません。

 

■カワサキ「KH400」(羽宮一虎、真嶋秋生)

『東リベ』では東京卍會の創設メンバーの1人、羽宮一虎が乗り、『特攻の拓』では爆音小僧のNo.2、真嶋秋生のマシンとして登場するのがカワサキの「KH400」。空冷2ストローク3気筒エンジンを搭載し、同社の“マッハ”シリーズの後継モデルとして知られています。2ストロークなので排気管は3本のチャンバーを装着するのが王道ですが、3気筒をまとめて排気する集合チャンバーも人気のパーツでした。

 

■ヤマハ「RZ250」(乾青宗)

個人的には名車だと思っていますが、意外とヤンキー漫画に登場する機会が少ないのが1980年発売のヤマハ「RZ250」です。同社のレーサー「TZ250」の機構を多く受け継いだ高性能マシンとして登場し、その後のレプリカブームの源流となったことが理由でしょうか。『東リベ』では、「黒龍」特攻隊長の乾青宗が乗っています。あとは、少し古くなりますが『湘南爆走族!』に登場した地獄の軍団の権田二毛作が「RZ350」に乗っていましたね。

 

■ホンダ「CB400FOUR」(鮎川真里)

ホンダの名車のひとつに数えられる「CB400FOUR」もヤンキー漫画では登場する機会の多い車種。『特攻の拓』の作中では、爆音小僧のリーダーである鮎川真里の愛車として登場します。400ccクラスでは初の4気筒マシンとして1974年に登場し、集合タイプのマフラーなど純正状態での造形の美しさも人気のマシンです。当初は408ccの排気量で登場しましたが、1975年の免許制度改正を受けて、398ccに排気量をダウンするマイナーチェンジが施されました。

 

■カワサキ「Z400FX」(相沢直樹)

『カメレオン』ではNo.2的ポジションの相沢直樹の愛車として登場。400ccクラスでは初の4気筒DOHCマシンとして歴史に残る名車でもあります。発売は1979年ですが、そのエンジンの基本設計は後の「ゼファー」にも受け継がれました。直線基調の車体デザインは今見てもカッコいいですが、近年は価格も高騰し、400〜600万円くらいで取り引きされているようです。

 

■スズキ「GSX400FSインパルス」(三ツ谷隆)

東京卍會の弐番隊長・三ツ谷隆の愛車として登場するのがスズキ「GSX400FSインパルス」。1982年に発売され、当時人気の中心だった400cc 4気筒モデルの1台です。スズキらしい星型デザインのホイールと、集合タイプのマフラーが人気のポイント。このモデル自体は短命でしたが、インパルスの名は“東京タワー”と言われた「GSX400Xインパルス」や「GSX400インパルス」などに受け継がれました。

 

■ヤマハ「XJ400」(椎名雄二)

ヤマハの400cc 4気筒モデルとして支持されたのが「XJ400」。『カメレオン』では椎名雄二の愛車として登場していました。発売されたのは「RZ250」と同じ1980年で、80年代に一旦生産は終了しますが、1993年には当時のネイキッドブームを受けて「XJR400」が復活。長らくヤマハの400ccクラスの”顔”的な存在となっていました。

*  *  *

漫画に登場するバイクを見ていると、当時どういったモデルが人気だったのかを推し量ることができますが、少しさびしいと感じるのは、1980年代などだいぶ昔のマシンが多いこと。現行のモデルでも、漫画に取り上げられるような個性を持ったマシンが登場してほしいと考えてしまいます。

 

<文/増谷茂樹

増谷茂樹|編集プロダクションやモノ系雑誌の編集部などを経て、フリーランスのライターに。クルマ、バイク、自転車など、タイヤの付いている乗り物が好物。専門的な情報をできるだけ分かりやすく書くことを信条に、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。

 

 

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