「居抜き」ってラクなようでラクじゃなかった!放置キャンプ場で直面している現実問題

■落ち葉と雪解け水で埋まった排水路

▲場内を走る排水路は2年半の間に降り積もった落葉によって行く手を阻まれ、機能不全に陥っていた

「人の手が入ったところは人の手を入れ続けなければだめだよ」と言ったのはご近所住む、この土地で生まれ育ったおじいちゃん。

まさに仰るとおりで、上述の落ち葉問題などもあり、場内を通っていたあらゆる排水路が機能不全となっていました。

腐葉土や雪溶け水で流されてきたであろう土などが、もともと設置されていたU字構やサイトの間に作られていたあらゆる暗渠や明渠を塞いでおりました。

一部のサイトに水が染み出してしまっていたり、本来クルマが通る道にも川ができている始末。

そもそもクルマを通す道に水が流れてしまっているので、キャンプサイトに乗り入れもできない。この問題を解決せずしてオープンできず。喫緊の大きな課題といえます。

 

■万事順調とは言えない現状だけれど、それでも前進中!

▲地味に大変なのが折れた枝や剪定した木々の処理。運び出しも処分も手間がかかる

このように、キャンプサイトについて言えば、現状でもさまざまな問題があります。他にも書き出せばキリがないくらい、考えることはたくさんあります。管理棟・受付の清掃リノベーションも必須。冬が厳しいエリアなのですべての水道に巻かれた凍結防止帯の確認と養生し直し。電気系統が途中で切れて漏電していないかなど。電源付きのサイトもあるので、その確認も必要ですね。

冒頭に述べたとおり、“居抜き”キャンプ場は、全くのゼロから始めるよりは間違いなくお金も手間もかかりませんが、これだけの問題や作業を抱えているのでありました。

ただ、これらの問題が問題のまま依然としてそこにあるかというと、まったくそんなことはありません。

▲友人らの手助けもあり、10月末にはほぼすべてのエリアの下刈りが完了。2カ月におよぶ長い戦いだった

2022年9月上旬から整備をスタートして、この記事の執筆時点が2022年11月1日。
フィールドの草刈りは2ヶ月弱かけてほぼ全エリアの下刈りが終了しました。落ち葉問題も、いいお値段はしましたが背負式のパワーのあるブロアーを購入し、日々落ち葉を吹き飛ばしています。

▲腐葉土で流れがとまり淀んでいた排水路は復活し、今後はよりきれいに整えていく予定

倒木もチェーンソーで少しずつ処理できていますし、立ち枯れの木々も林業のプロにお願いして危ない木々は順に伐採していっています。

▲一緒に借り受けたユンボ。キャンプ場整備の三種の神器のひとつ

排水路も落ち葉をかき出したり、ユンボで掘ることで機能を回復できてきているので、じきに水位も下がってサイトも落ち着くだろうと予想しています。

腐葉土のエリアもユンボを使って上部を薄くすくい、転圧機で踏み固めることで対応可能。

今後は下記が年内にすべき大きな場内整備でしょうか。

・下刈りが終わったサイトの刈った草を寄せて、本刈りできれいに整える
・一部のサイトを平らに造成
・残りの排水路を復活させて車道を回復させる
・春先にローラー車を借りて転圧し、地盤を固める

何にせよ、雪が降って地面が凍るまでには完了させねばなりませんので、時間との勝負ではあります。

確かにしんどいことも多いですが、それでも今のプレオープン期間中に沢山のキャンパーさんが遊びに来てくれて、「静かで気持ちよかった」「久しぶりにゆっくりキャンプができました」なんて言っていただけるものですから、毎日頑張れちゃうのであります。

2022年シーズンは11月末までになりそうではありますが、来るたびに様子が変わっていく「-be-北軽井沢キャンプフィールド」を楽しんでいただけると幸いです!

「-be-北軽井沢キャンプフィールド」
〒377-1411 群馬県吾妻郡長野原町応桑1984-160

 

>> [連載]放置キャンプ場開拓日誌

<文/山口健壱>

山口健壱(ヤマケン)|1989年生まれ茨城県出身。脱サラし、日本全国をキャンプでめぐる旅ののち、千葉県のキャンプ場でスタッフを経験。メーカーの商品イラストや番組MCなどもつとめる。著書に「キャンプのあやしいルール真相解明〜根拠のない思い込みにサヨウナラ」(三才ブックス)

 

 

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