◾️高岡伝統の“昆布づくし” 料理に癒される!
▲高岡・金屋町のメイン通り。白壁と格子窓が特徴の情緒ある町家がいまも立ち並んでいる
満腹感と満足感を覚えながら、次なる目的地である高岡市へ。富山市から車で約40分の距離にある街で、鋳物をはじめ“モノづくり”の街として全国的に知られています。
逗留する宿に早めにチェックインを済ませ、まずは腹ごなしがてら周囲を散策することに。宿がある金屋町は、江戸初期から続く鋳物産業で栄え、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている観光名所。ようやく陽が傾きかけた時刻、立ち並ぶ町家の軒先では、風が通るたびに「チリン」となる鋳物製の風鈴が心地よい音を響かせ、古い街並みならではの情緒あふれる趣きです。400年以上の歴史を持つこの地区だからか、時間すらもゆったりと流れているように感じられます。
▲市内を流れる千保川のほとり、国の重要伝統的建造物群保存地区である金屋町に佇む一軒宿
今宵の宿は「KOMBU HOUSE(コンブハウス)」。古民家をリノベした宿で一日一組限定。こちらでは昆布料理づくしが楽しめます。部屋で荷解きをし、ひと休みしているとほどなく夕食の時間に。
▲市内で昆布料理レストラン「クラフタン」も営むご主人・竹中さん
通された食事処は瀟洒な佇まいのカウンター席。カウンターの向こうで相対するのはご主人である竹中志光さん。さっそく疑問に感じていた「なぜ、富山で昆布料理なのですか?」と質問してみると……。
「富山ではほとんど昆布が採れないので意外に思うかもしれませんが、実はかつて北前船で北海道から良質な昆布が多くこの地に入ってきました。以来、高岡では昆布を使う食文化が根付いてきたんです」(竹中さん)
▲昆布に数時間漬け込んだだけで旨み全開の昆布水と昆布4種の食べ比べ。納豆昆布(左下)は北海道産のがごめ昆布で口に含むとネバネバした食感に
と答えつつ供してくれたのが「昆布水」と「昆布の食べ比べ」。食前に、水に数時間昆布を漬け込んだ昆布水を口にすると、昆布の優しい旨みが染み渡ります。続いて白とろろ、黒とろろ、おぼろ昆布、納豆昆布の4種類の昆布を順にいただきます。いずれも個性ある旨みのオンパレード! 昆布の旨みがダイレクトに口中に広がります。
▲富山市にある新蒸留研究所のジンに昆布を漬け込んだジントニック。ジンには滑川市の海洋深層水を使用している
ここで「昆布ジントニック」をオーダー。ジンのボタニカルな香りの奥から昆布の旨みがふわりと立ち上がり、柑橘の爽やかさと海のミネラルが同居するまさに海を思わせるカクテルです。これは食中酒にも最適だと感じていると、ほどなく「八寸」が目の前に。
▲昆布締めが施された八寸。いずれも昆布の旨みが感じられ、滋味深い味わい
納豆昆布のナマスや昆布だし巻き玉子、昆布塩麹のきゅうり、ポテトサラダなど、いずれも昆布の旨みが食材の味を引き立て、まさに旨みのオンパレード! ジントニックとの相性も絶妙で箸が進みます。
▲近海で獲れた鮮度の高いブリやサヨリなどのお造り。いずれも昆布締めされている
続いて「お造り」が登場しました。こちらは昆布で一晩締めたもの。富山産の脂がのったブリは昆布の旨みと合わさり、塩や醤油いらずなほど美味。サヨリやフクラギ(ブリの幼魚)なども旨みたっぷり。昆布のポテンシャル、もはや恐るべしです。
▲プリップリの食感のあとに口中に広がるホタテと昆布の旨みがベストマッチ!
ここでふと気付いたのが、旨みのある料理をたくさん食べているのにもかかわらず、食べ飽きすることがないという事実。天然の昆布由来の旨みだからなのか……などと感心していると、ホタテの昆布焼きが登場。これは旨くないわけないでしょ!
▲野菜をふんだんに使ったせいろ蒸し。せいろ蒸しに限らず、可能な限りオーガニックな野菜や米を使うようにしている
料理はさらに、野菜をふんだんに使ったせいろ蒸し、春菊とえびの春巻き、そして砺波市産の豚肉を使ったしゃぶしゃぶと続きます。せいろ蒸しは野菜ならではの滋味に昆布の旨みが加わり、ポン酢などの調味料要らず。昆布だしでいただくしゃぶしゃぶも豚のイノシン酸と昆布のグルタミン酸の旨みが相まって、そのまま美味しくいただけるほど。すでに腹八分なのに完食してしまいました!
▲だしの優しい味わいが、胃に染みわたる昆布茶漬け。締めの一品に最高!
「地元で昔から根付いてきた昆布文化を残したい、地元以外の方にも知っていただきたい、という思いから、昆布料理をコンセプトにしたこの宿やレストランを始めました。ご存じの通り、昆布の旨みは日本人の食卓に欠かせない重要な要素。今後もここ富山から昆布の食文化を発信していければと思います」
と締めの昆布茶漬けを供しつつ竹中さん。地元の食文化を守り、さらに広げたい……竹中さんの熱いメッセージが十二分に伝わる夕餉となりました。
▲昆布と海の濃いブルーをイメージしたという壁が印象的な客室
昆布づくしに圧倒され、まさに口福満腹状態の筆者。北前船で栄えた日本海の港町ならではの歴史や伝統、それを踏まえ、新たな魅力を創出しようとする富山の人々の強い思いを感じられる旅となりました。明日、2日目は“ものづくりの街”高岡の工房などを巡る予定。今日は宿名物の昆布風呂にゆったりと浸かり、明日への英気を養うとしましょうか。
KOMBU HOUSE
富山県高岡市金屋町3-2
TEL:090-6276-9034(要予約)
>>ホームページ
◾️足を延ばしてでも訪れたい! 高岡の名スポット3選
昆布の旨みにすっかり癒された翌日。昆布づくしの朝食をいただいた後は、ものづくりの街散策へ。ぜひ訪れたい工房や食事処を厳選して紹介します。
■“レベチ”な逸品が味わえる極上回転寿司

富山市や高岡市を中心に数店舗の店を構える人気の回転寿司店。毎朝、氷見漁港で仕入れる鮮魚を職人技で提供。白えびや昆布締めなど富山湾の地物が充実し“富山の旬”を贅沢に味わえます。また地元が誇る気鋭の職人が手がけた寿司皿でいただくことも!
氷見回転寿司 粋鮨 高岡店
富山県高岡市あわら町110
TEL:0766-21-8193
>>粋鮨ホームページ
■伝統的な着色技法を現代風にアレンジ!

高岡銅器の伝統的な着色技法を現代に向けて再解釈し、金属に唯一無二の色と質感を生み出すことで人気の工房です。化学反応による発色はまるでアートそのもの。建材から雑貨小物まで、伝統と革新の共存を感じられる高岡を代表するブランドです。
モメンタムファクトリー Orii
住所:富山県高岡市長江530
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜・祝日、年末年始
>>ホームページ
■高岡ブランドを全国に広めた立役者

高岡銅器の伝統技術をベースにした、錫100%の器や花器、インテリア雑貨などが世界的にも知られる人気ブランド。錫の柔らかさを活かした「曲がる器」や独自の着色技法による美しい発色が特徴で、国内外のデザイン賞を多数受賞。工房見学も可能なほかカフェやショップも併設。観光客が後を絶たないスポットです。
能作
住所:富山県高岡市オフィスパーク8-1
営業時間:10:00~18:00
定休日:年末年始(工場見学は日曜・祝日休業、土曜は月により変更あり)
>>ホームページ
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