ワンダー、グランド、スポーツ… “あの頃”の「シビック」を振り返る

■初代(1972年~) 世界の大衆車を目指し開発

「狭い道でも扱いやすい」「狭い場所でも車庫入れが楽にできる」など、都市部で気軽に乗れるベーシックカーとして開発された初代シビック。1972年7月のデビューモデル(写真上)を見るとオーソドックスな3ドアハッチに見えますが、トランクが独立している2ドアになります。3ドアハッチバック(写真下)は2カ月遅れとなる1992年9月に登場します。

世界戦略車としてさまざまな機能が盛り込まれたシビック。最大の功績は1970年代のオイルショックと排ガス規制をCVCC方式のエンジンで乗りきったことでしょう。

CVCCは触媒などの後処理ではなく希薄燃焼で排ガスの有害物質を減らす仕組みです。世界一厳しく、クリアするのは不可能とまでいわれたアメリカのマスキー法を世界で最初にクリア。これによりシビックは世界中でヒット。89カ国で196万台も販売されました。ちなみに初代シビックは日本で初めてリアワイパーを装着したクルマでもあります。

 

■2代目(1979年~) 国際競争力を高めるために広さを追求

初代の成功もあり、2代目シビックはいわゆる“キープコンセプト”のスタイルで登場します。一方でインテリアは、次世代の国際車となるべく、これまで以上に質感が高められました。特に話題となったのは大型のスピードメーターとタコメーターを同軸状に配置し、少ない視線移動で計器類を見ることができた「集中ターゲットメーター」です。

またインパネを助手席前で大きく湾曲させたり、リアシートに3段階のリクライニング機構を備えるなどして広さ感を演出。運転席シートには腰周辺のつぼを押さえる疲れにくいパッドが採用されました。

 

■3代目(1983年~) 3ドアにはスポーツグレードも用意

昭和40代生まれにとって、リアルに憧れたシビックといえば、このワンダーシビックではないでしょうか。このモデルではホンダ店で発売されたシビック以外にも、ベルノ店から発売されたバラードという兄弟車もありました。ボディタイプは3ドアハッチバックのほか、4ドアセダン、5ドアのシャトルをラインナップ。3ドア、4ドア、5ドアがそれぞれ別のプラットフォームを使って設計されるという贅沢なモデルです。排気量は1.3Lと1.5Lがありました。

ホンダの「M・M思想(Man-Maximum.Mecha-Minimum.)=人間のためのスペースを最大限に。メカニズム・スペースを最小限に」という考えから生まれた3代目シビック。中でも3ドアは斬新なロングルーフによるロングキャビンが特徴で、全長はわずか3810mmながら、広大な室内空間を得ています。大型の曲面ガラスを採用しリアコンビランプのすぐ上からガラス面がガバッと開くクリスタルゲートも人気でした。

1984年には、最高出力135ps、最大トルク15.5kg-mを発生する1.6L DOHCエンジンを搭載するSiを追加。このエンジンには世界初となる「異形中空カムシャフト」などが採用され、大幅な軽量化を実現。スポーティさが高められています。

 

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