高度100km超、マッハ6.7を記録したロケット飛行機を製作【達人のプラモ術<ノースアメリカン X-15>】

■製作レビュー

2000年代に発売されたもので、さらにスペシャルホビーの簡易インジェクションキットということもあり、現代のプラモデルのようにパチピタで製作がサクサク進む…というワケにはいきません。パーツはダルな印象で、全て削りこんでシャープなエッジ出さなければいけません。

また垂直尾翼をはじめ細部パーツの多くが嵌合ピンのないイモ着けなので、強度確保のために金属線を打ち込んでいます。

コクピットはレジンパーツで再現されており、細部まで作り込みが可能ですが、キャノピーを被せてしまうと、ほとんど見えなくなってしまいます。

キットはドーリが付属しており、駐機状態を再現しているのですが、そのままではあまりカッコよくないのと、胴体下面に装備した大型ドロップタンクの見栄えも悪いので、前脚を収納状態に改造。スタンドに乗せて飛行状態のデスクトップモデルとして仕上げました。

▲キットの精度は決してよくはないので、隙間や段差の修正作業が必須となる。機体の黄色い部分はパテによる修正箇所。増加タンクのパイロンはレジンパーツなので色が違う。主翼は胴体との取り付け基部の強度がないため、金属線で補強している

▲レジンパーツで再現する特徴的なエジェクトシート

▲シートをはじめコクピット内部は細部までよく再現されているが、キャノピーを被せてしまうとほとんど見えなくなってしまう

▲胴体下面に装備される大型のドロップタンク。配管類は金属線で再現している

▲ロケットモータの排気ノズルはレジン製。両側のパイプ状パーツは燃料排出ベントだ。機体下側垂直安定板は着地時の半分が切り離された短い状態となっている

▲デカールの貼り込んだ状態。デカールは経年変化のせいか、水に浸けた時点で多くがバラバラになってしまった。機体番号の66671が欠けているのがお分かりになるだろう。タッチアップ修正にかなりの時間と手間を要した

▲作例は飛行状態をイメージ。他キットから流用したスタンドを使いデスクトップモデルとして仕上げている

▲機体に大型ドロップタンクを取り付けた状態。黒い機体と白×オレンジのコントラストが気にっている。ちなみにドロップタンクは塗り分けパターンが違うものもある

▲X-15は、全長15.99mと小型の機体に対してドロップタンクは直径が96.5cm、全長7.16mもあり、さらに搭載燃料の違いから左右で重さが違う(右299kg、左522kg)ため、切り放しの際には機体の姿勢制御が大変だった

▲作例では左側キャノピーにシャッターを取り付けているが、これは熱から機体を守るアブレーション塗料が溶けて視界を防ぐの防止するためのもので、通常は取り付けられていない

 

■塗装へのこだわり

X-15は、基本黒い塗装が施されています。これは高高度を高速で飛行する際に圧縮断熱で機体表面が高温になるため(空気との摩擦ではない)、効率的に放熱する黒い塗装が採用されているのですが、実機の写真見ると、外板は部位によって黒の色味が違います。ガンメタ調の部分もかなり目立ちますね。実機は高熱に耐えるようにチタンやステンレス、さらインコネルXと呼ばれる耐熱ニッケル合金が使われており、材質の違いにより色の違いが生じています。

そこで作例では、ガンメタリックで下地塗装、そこに調色したトーンの違うシルバー×ブラックを重ねていくことで、微妙な色の違いを再現しました。さらに墨入れ塗料によるウエザリング(汚し塗装)、水彩色鉛筆を使ってのチッピング(塗装のハゲ)を再現しています。

搭載された大型の増加タンクは白×オレンジと派手な派手な色で黒い機体とのコントラストが気に入っています。タンクは使用後に切り離されて、パラシュートで回収され再利用されます。

▲機体の基本塗装を入れた状態。コントラストを変えた黒い機体の色調がわかるだろう

▲機体とエンジン周りの塗装の違いに注目。水平尾翼のシミは塗装ミスではなく実機の高温で焼けた状態を再現したものだ

 

■X-15A-2ギャラリー

X-15が達成した有人航空機によりマッハ6.7の速度記録は公式上いまだに破られていません。そして航空機として高度10万mを超えて宇宙に到達した航空機としての記録もしかり(スペースシャトルは宇宙船であり航空機ではないので)。それも1950年代から1970年代にかけての時代でした。

マーキュリー計画から始まるアメリカの有人宇宙計画、そしてスペーシャトル開発にもX-15が残した飛行データは多大な貢献をしているのです。スミソニアン博物館で実物も見ました! 黒い精悍なX-15の機体は、男の冒険心とロマンが詰まっているんです。

さて次回はどんなプラモデルを作りましょうか?

>> [連載]達人のプラモ術

<製作・写真・文/長谷川迷人>

 

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