▼この10年間で大きく変わっていったロレックス市場
▲ショップに資料として置かれる、古くからのロレックスの雑誌。各年代によって掲載されるアイテムも異なるため、趣味の本としてだけでなく時計の買い付け時の参考にもなるそう
――約10年にわたってショップを営んできて、ロレックスはどのように変わってきたと感じますか?
日比:この10年で大きく変わったのは、やはり価格面でしょうね。純粋に為替だけでも10年前は1ドル90円台だったので、1.5倍以上の価格差があります。それに加えて、モノとしても進化をしているので、素材の高騰や技術の革新によって大きく価格が上がっていったのは自然な流れとも言えます。人によっては「ロレックスが時計の市場価値を押し上げている」と言っていたりしますが、それはロレックスが市場シェアの3割強を占めるだけに、その動向が意図せず世界の時計市場全体の流れを作ることに繋がっただけではないか、とも思います。

――ヴィンテージロレックスの相場も上がっていると聞きます。
日比:そうですね。全体的に上がっていますが、特に「デイトナ」はダントツですね。人気も相場も10年でうんと上がりました。ただ、モデルによっては現行品よりも手に取りやすいモノもあったりします。それがヴィンテージの面白さでもあるんですよね。

――ヴィンテージに価値を見出す人というのはどのような人なのでしょうか?
日比:お客さんを見ていると「昔欲しかったモデルを探している人」「古いモノにロマンを感じる人」「コレクター」が多い印象です。古い時計の価値という意味では、デニムに近いのかもしれません。同じモデルでも年代によって個性が異なりますし、機能面では新しいモノと比べるとどうしても見劣りします。一方で、その時代ならではの歴史的背景や自分の生まれ年という特別感、新品では出せない経年変化など年月を重ねたからこそ生まれる魅力がある。そうしたデニムに感じるような魅力は、ヴィンテージロレックスにも通じるところがあると思います。
▼今後のロレックスはどのように変わっていくのか

――これから先、ロレックスやヴィンテージ市場はどのようになっていくのでしょうか?
日比:価格面においては現行も中古もすぐに大きく下がることはないと思います。値崩れしにくいこともロレックスの大きな価値ではありますよね。ただ、現在は資産価値としてロレックスを見る人が多いように感じます。高価なモノなので仕方のない部分はありますが、個人的にはそれが少し残念ですかね。やがて価格や供給量は安定するとは思うので、そうした状況も落ち着いていくのではないでしょうか。
一方、ヴィンテージについては現存する本数は限られていますし、時間が経つほどどうしても劣化は進みます。状態の良いモノが減っていくのはロレックスだけではありませんが、それでも古いモノに価値を見出して憧れる人がいる限りヴィンテージの価値も受け継がれていくのではないかと考えています。
▲珍しい一品、金無垢のロレックス純正ブレスレット。今では決して作れないその時代だけのディテールがヴィンテージウォッチの魅力だ
――資産としてだけ見るのではなく、もっと時計自体の魅力を感じてほしいと。
日比:まさしく。今は特に価格が先行してしまっていますが、先程も話した通り、ロレックスの本質的な良さは実直なモノ作りの姿勢にあると思っています。そして、時代や人を通して憧れが受け継がれ、それがブランドの魅力にもなっている。個人的には、単なる資産としてではなく、ファッションの一部だったり自分を形成するアイデンティティのひとつだったり、そんなふうにロレックスを捉える人が増えてほしいですね。僕自身もそうですし。
▼初めてロレックスを選ぶときのポイントは?

――ちなみに、初めてロレックスを手に取る人が見るべきポイントはありますか?
日比:まずは、何でも良いので実物に触れてみてほしいですね。僕もそうでしたが、ロレックスは実際に触れることで惹かれ、高揚感を覚える時計だと思っています。そのうえで欲しいと感じたら、次にモデル選びです。ライフスタイルや装い、個性、予算に合わせて選ぶという意味では、本当にファッションに近い感覚で選んでOK。やっぱり長く使うものですし、最終的にはいかに自分が気に入るかが1番でしょうね。
価格については、現行の人気モデルだとなかなか手が出しにくいですし、中古もヴィンテージとなると不安に思う人もいるかもしれません。そんな人には2000年代頃の比較的新しい中古のモデルがおすすめです。なかでも「オイスターパーペチュアル」や「デイトジャスト」辺りは価格的にも手に取りやすく、日本人にも合いやすくてシーンも選ばず使えます。もし、お財布に余裕があれば僕自身も魅せられた「サブマリーナー」の世界にもぜひ(笑)。








































