久しぶりに機械式時計が気になった人へ。150年続くブローバの新作が“ちょうどいい”理由

「いい時計ですね」と言われると、少しうれしい。自分のために選んだものが、誰かの目にも映る。その実感は、身につける道具の中でも、腕時計ならではのものかもしれない。とくに機械式時計には、ただ時間を知るためだけではない、“身につける意味”がある。なぜなら、そこには時を刻み続ける佇まいや、ふとした仕草ににじむ美しさがあるからだ。

そんな機械式時計の魅力を改めて感じさせてくれるのが、創業150周年という節目を迎えたBULOVA(ブローバ)の新作モデルたち。では、このブローバというブランドには、どんな歴史があるのだろうか。まずは、その歩みから紐解いていこう。

■常識にとらわれず、新しい“時”をつくる。それが、ブローバの哲学だ

▲1875年、ニューヨーク・マンハッタン南端のメイデン・レーンに、宝飾店「J.ブローバ」を開業/写真提供:ブローバ

ブローバのルーツは、1875年。チェコスロバキア出身のジョセフ・ブローバが、ニューヨークに開いた小さな宝飾店に始まる。

その後、スイス・ビエンヌに自社工場を構え、本格的に腕時計の製造へと踏み出す。早くから国際的な視点を持ち、1920年代にはアメリカで初の全国ラジオCMを打ち出すなど、広告の世界でも先駆け的存在となった。

だが、ブローバを語る上で欠かせないのは、常識にとらわれない“挑戦の姿勢”だ。1960年に登場した世界初の音叉式電子時計「アキュトロン」は、ゼンマイでもクォーツでもない、まったく新しい駆動方式を採用。NASAの宇宙計画にも技術提供を行い、ブローバの名は月面にも刻まれることとなった。

さらに近年では、2016年に発表された「カーブ」にも注目が集まった。これは、世界で初めてクロノグラフムーブメントそのものをカーブ形状に設計したモデルで、腕に沿う着け心地と未来的な外観を両立させた意欲作だ。高振動(262kHz)による高精度も兼ね備え、視覚・構造・精度の三軸で驚きを提供した。

創業から150年を超えた今も、ブローバは決して歩みを止めていない。いつの時代も、次の一手を見据えている。その根底にあるのは、変わることのない「常識にとらわれない設計思想」だ。

■やっぱり機械式って、いいね。ブローバが提案する2つの選択肢

それぞれ異なる魅力をもつ2本の機械式時計。ひとつは、王道の三針を丁寧に磨き上げた「正統」の姿。もうひとつは、構造そのものを意匠に変えた「魅せる設計」。

ともに新作として登場したこの2モデルには、ブローバがいま機械式時計に込める想いが、それぞれのかたちで表れている。

▼色で遊べる正統派。確かな存在感を秘めた洗練の三針スタイル

▲左から「クラシック 96B464」(7万5900円)、「クラシック 96B462」(7万5900円)「クラシック 96B463」(7万5900円)ケースサイズ40mm、厚み12.3mm、自動巻き、パワーリザーブ42時間、SSケース、10気圧防水

3色で展開される「クラシック」最新作。深みのあるダークグリーン、軽やかなスカイブルー、そしてエレガントなミッドナイトブルーと、それぞれが異なる表情をもつ。単なる色違いではなく、ケースの仕上げやインデックスの配色まで緻密に設計された、個性際立つ3本だ。

無反射コーティングを施したフラットなサファイアクリスタル越しに覗くのは、サンレイ仕上げのメタルダイヤル。光の角度によって繊細に揺らぐその表情は、淡いカラーリングと相まって手元に軽やかなツヤ感を添える。インデックスや針、12時位置に配された音叉マークも同色で構成することで、全体に統一感のある印象になっている。

さらに、ベゼルに配された8つのビスが、フェイスに程よい硬質感とリズムを生み、どこかジュエリーのような雰囲気も漂わせている。

ファセットカットを施した40mm径の多角形ケースは、シャープな面構成とシルバートーンの輝きが印象的。

ブレスレットはポリッシュとヘアラインを使い分けた仕上げで、コントラストの効いた質感が上質さを際立たせている。また、ダイヤルとケースをひとつながりに見せる“ラグジュアリースポーツ”を彷彿とさせるデザインも魅力だ。

裏蓋はシースルー仕様。機械式ならではのムーブメントの動きが楽しめるつくりで、価格を超えた満足感を味わえる。コレクションの入口として、そして長く付き合う1本としても「クラシック」は申し分ない仕上がりだ。

【着こなし1】スカイブルーのダイヤルが映える、品と軽やかさを備えた好スタイリング

淡いベージュのポロシャツに、カーキのワイドパンツといった、アースカラーでまとめた休日スタイルに、スカイブルーのダイヤルで爽やかさをプラス。

程よく存在感のある40mmケースは、服のシルエットを邪魔しない絶妙なサイズ感。ポリッシュ×ヘアライン仕上げのケースも、カジュアルな装いに上質な抜け感を添えてくれる。

ポロシャツ 6990円、パンツ 1万2980円/アンフィーロ(オンワード樫山)

【着こなし2】スーツスタイルが華やぐ、ネイビー×ローズゴールドのカラーコンビネーション

カジュアルスタイルはもちろん、写真のようなスーツスタイルにも合わせたくなるのが本モデルだ。深みのあるネイビーダイヤルに、ローズゴールドカラーの針とインデックスが映え、控えめながらもしっかりとした存在感を放つ。かっちりとした装いにさりげない華やぎを添える、上品で印象的な一本だ。

ジャケット 5万5000円、パンツ 2万5300円、シャツ 1万7600円、ネクタイ 1万5400円、ベルト 参考商品/すべてニューヨーカー(ダイドーフォワード)

【着こなし3】腕元のグリーンが起点。メインアイテムとリンクさせて統一感のあるスタイルに

色で遊ぶシャツスタイルに、深みのあるグリーンダイヤルが精悍さを添えている。その表情は、サンレイ仕上げによって光を受けるたびに表情を変え、品よく視線を引き寄せる。肩の力を抜いた装いに、ほんの少しの洗練さを加えたいときにおすすめの一本だ。

シャツ 1万5400円/ナンガ(ナンガ)、パンツ 1万2980円/アンフィーロ(オンワード樫山)

▼精緻さと遊び心の両立。「クラシック マキナ」が映すもうひとつのブローバ像

▲左:「クラシック マキナ 98A318」(9万200円)、右:「クラシック マキナ 98A319」(9万5700円)ケースサイズ40mm、厚み13.3mm、自動巻き、SSケース(ベゼル SSネイビーPVD)、5気圧防水

ブローバのコレクションの中でも長く愛されてきた、自動巻きのスケルトンウォッチシリーズ「マキナ」。その名はスペイン語で“機械”を意味し、機構そのものを楽しむことをコンセプトに掲げてきた。そして今回、新たにトノー型ケースを採用した「クラシック マキナ」が登場。文字盤中央にスケルトン構造を配し、機械式ならではの構造美をダイナミックに表現している。

精緻なパーツの動き、立体的な意匠、スポーティなシルエット。そこには、ブローバらしい先進性と遊び心がしっかりと息づいている。

ボールペン 3万9600円、スナップパッド 5500円/ポスタルコ(ポスタルコ)

文字盤の中央に切り抜かれたスケルトン構造が、機械式ならではの奥行きを演出。ブリッジには光を受けてきらめくサンレイ装飾が施されており、見る角度によって異なる表情を見せるのも魅力的。

また、ローズゴールドカラーの針とインデックスが、落ち着いたネイビーにひとさじの華やかさをプラス。夜光仕上げにより視認性もしっかりと確保し、装飾性と実用性のバランスがとれた、実に秀逸な一本だ。

ガラスからケースへと緩やかにカーブを描く構成が、腕時計全体に一体感のあるフォルムをもたらしている。ヘアラインとポリッシュを使い分けたケースの仕上げは、立体的な陰影を生み、スケルトン構造のダイナミズムをいっそう引き立ててくれる。

裏蓋からもムーブメントを楽しめるスケルトンバック仕様で、ケース全体に機械式時計ならではの高揚感が宿る。トノー型のフォルムがレーシーな躍動感を生み出し、「クラシック」とはまた違った角度から魅力を放っている。

それでいて、本モデルも10万円を下回る価格に設定されているのがうれしい。造形や構造のこだわりを味わいたい人はもちろん、デザインに惹かれて手に取る人にも、きっと響くはずだ。

【着こなし1】ブラックコーデに映える構造美。スケルトン×トノーの存在感が際立つ

上下オールブラックのミニマルな装いに、トノー型ケースの「クラシック マキナ」が鋭く映える。スケルトン構造が視線を引き寄せ、構造美そのものがスタイルの主役に。メタルブレスやケースの面取り仕上げも相まって、単調になりがちな黒のコーディネートに力強いアクセントを加えてくれる。

カットソー 4990円、パンツ 9900円/アンフィーロ(オンワード樫山)

【着こなし2】軽快なのに品がある。“スポーツ顔”で叶える絶妙バランス

肩の力を抜いた定番の装いに、意外なほどマッチするのが「クラシック マキナ」だ。視線を集めるのはラバーストラップの深いネイビーで、手元に適度な抜け感と躍動感を添えている。

そこにダイヤルから覗く機械の動きが重なり、全体をぐっと引き締め、カジュアルな服のシルエットにリズムと立体感を生んでいる。

すべてスタイリスト私物

■どちらにも“らしさ”がある。だから、ブローバは信頼できる

▲左から:「クラシック マキナ 98A319」、「クラシック マキナ 98A318」、「クラシック 96B462」、「クラシック 96B463」、「クラシック 96B464」

「クラシック」の王道感も「クラシック マキナ」の造形美も、いずれもブローバが長年培ってきた技術と美意識の結晶だ。異なる魅力を放つ2モデルに共通するのは、機械式時計としての本質をしっかりと感じさせてくれること。どちらを手にしても、自分の選択に誇らしさを覚える。それこそが、いまブローバを選ぶ理由なのかもしれない。

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気になるモデルがあった人に、うれしいお知らせをひとつ。ブローバでは現在「ブローバ 150周年アニバーサリーキャンペーン」を開催中! 2025年6月19日(木)から7月27日(日)までの期間中、ブローバ時計をキャンペーン開催店舗で購入すると、「BULOVA 150周年ロゴ入りオリジナルトートバッグ」がもれなくプレゼントされる。

気軽に持てるブラックのキャンバス地で、ちょっとしたお出かけに使えるうれしい特典。詳細はブローバ公式サイトまたは店頭でチェックしてほしい。

>> ブローバ 150周年アニバーサリーキャンペーン

<取材・文/若澤 創 写真/村本祥一 スタイリング/宇田川 雄一>

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