【日産 エクストレイル試乗】ハイテク運転支援メカを新搭載。SUV本来の魅力も実直にブラッシュアップ

試乗会会場で初対面した新型エクストレイルですが、最初に感じたのは「より凛々しくなったな」ということ。具体的には、日産デザインの象徴であるフロントの“Vモーショングリル”が大型化、存在感が増したしたことに加え、バンパー形状などの意匠も変更されており、タフなイメージが強調されたようです。

さらにボディカラーも、ガーネットレッドやプレミアムコロナオレンジなど、鮮やかでエナジーあふれる新色6種類が追加され、全12色が用意されました。これが新しいエクストレイルにはなかなか似合っているといいますか、SUVらしいアクティブな気分がグッと盛り上がるカラーバリエーションなのです。

そうした見た目の変化にちょっとウキウキしばがら、新型エクストレイルのドライブへと向かいます。新型に用意されるエンジンは、2リッターのガソリン直4(最高出力:147馬力)と、そこにモーターをプラスしたハイブリッド(システム最高出力:182馬力)の2本立て。

駆動方式はいずれも、2WDと電子制御4WDが用意され、ギヤボックスはエクストロニックCVTのみの設定となります。ちなみに今回の試乗車は、ガソリンエンジンを搭載する「20X」の4WD仕様と、「20Xハイブリッド」の4WD仕様で、ともにメーカーオプションのプロパイロットを搭載していました。

まずは20Xを、撮影のためにオフロードへと連れ出しましたが、河川敷のような大小の石だけでなく、うねった起伏が続くようなシチュエーションでも、十分なストロークが確保された足まわりがしなやかに動き、悠々と走破していきます。こうした身のこなしやオフロードでの安心感は、さすがSUVならではの貫禄、そして、初代モデルから受け継ぐエクストレイルのDNAを感じさせる部分といえるでしょう。

続いて20Xハイブリッドに乗り換え、プロパイロットを試すべく、高速道路へと向かいました。テレビCMでもお馴染みとなったプロパイロットですが、これは高速道路において、アクセルとブレーキ、ステアリングを自動的に制御する運転支援システムです。システム自体は、2016年にデビューしたセレナに採用されたものと基本的に同じですが、車両のサイズや特性が異なるため、今回新たに、エクストレイル用に細かくセッティングを変更したとのこと。

プロパイロットの機能としては、30km/hから100km/hで走行中、先行車との車間距離をキープしながら加速、追従、停止をする“インテリジェントクルーズコントロール”、そして、単眼カメラにより車線ラインを認識し、車線中央を走行するようにステアリングを制御する“ハンドル支援”で構成されています。

操作そのものは簡単で、高速道路を走行中にプロパイロットのスイッチをオン。あとは車速を設定するだけ、です。スイッチはステアリングのスポーク右側にまとめられているので、右手親指だけで設定できます。

実際、80km/hで作動させてみると、素早く両サイドの車線を読み取り、ハンドル操作の支援がスタートします。プロパイロットをはじめとした運転支援システムは過渡期にあり、メカニズムはもちろん、作動条件や機能はメーカーによって大きく異なり、それ以上に、作動状況をドライバーにどのように伝達するのかといったフィードバック方法も異なります。

プロパイロットの場合、80km/hでカーブに入ると、じわりじわりと車線を確認するように細かくステアリングの制御が行われます。また、意図的に車線の右側や左側を走ろうとハンドルを操作すると、機能オフの状態よりもやや強めの力が操舵力が必要となるなど、プロパイロット自体がクルマを車線内の中央に戻そうという制御がしっかりとハンドルへと伝わってきます。

また、先行車両の認識に関しては精度が高く、反応もスムーズで、十分に信頼できるレベルにあるようです。一方、先行車両が別の車線に移った場合の自動的な再加速は、やや穏やかな印象。こうした感触はドライバーの好みもあるので、購入前には安全な状況で一度試乗されることをお勧めします。

とはいえプロパイロットは、後側方の車両を検知して警報を発する“BSW(後側方車両検知警報)”や、ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる“ハイビームアシスト”などとのセットオプションで、14万400円というお求めになりやすい価格を実現しているので、選ばない手はありません。いやそればかりか、上級グレードには標準装備でもいいのでは? という気持ちにさえなります。

こうした先進安全装備などメカニズム面の充実は、クルマを積極的に使うであろうアウトドア志向の強いドライバーにとって大いなる魅力となるのはもちろんのこと、SUVならではの使い方を考えると、地味にうれしいのがリアシートとラゲッジスペースの実用性向上かもしれません。

ガソリン20Xの2列シート車は、後席にスライド&リクライニング機構を追加採用。さらに、座面の分割も、従来モデルの60:40から、40:20:40の3分割となりました。例えば、キャンプやアウトドアスポーツにエクストレイルを使う場合、こうしたシートや荷室の多彩なアレンジは、かなり重要なポイントとなるはずです。

話題の運転支援システムや先進安全装備を採用となると、そうした面にばかりフォーカスが当たってしまいがちですが、SUVとしての使い勝手向上をしっかり図ってきた辺りに、日産自動車のエクストレイルに対する実直な思いがうかがえます。テレビCMこそ、ちょいワル&アクティブなイメージの「やっちゃえ日産」ですが、本当の姿は、実はコツコツ型の努力家だったりするのです。

<SPECIFICATIONS>
☆20X(4WD)
ボディサイズ:L4690X×W1820×H1740mm
車重:1540kg
駆動方式:4WD
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:147馬力/6000回転
最大トルク:21.1kg-m/4400回転
価格:275万5080円

<SPECIFICATIONS>
☆20Xハイブリッド(4WD)
ボディサイズ:L4690X×W1820×H1740mm
車重:1640kg
駆動方式:4WD
エンジン:1997cc 直列4気筒 DOHC+モーター
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:147馬力/6000回転
モーター最高出力:41馬力
システム最高出力:182馬力
エンジン最大トルク:21.1kg-m/4400回転
モーター最大トルク:16.3kg-m
価格:309万8520円

(文&写真/村田尚之)


[関連記事]
【検証2016年の注目車】日産「セレナ」の魅力はハイテクだけなのか?

【マツダCX-5公道試乗】走りの上質さは国産SUVでNo.1!新型はガソリン車もイケる

【プジョー 3008試乗】これは売れそう!プジョーらしい走りのキレとSUVスタイルが融合


トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする