【ベンツ GLCクーペ試乗】メルセデスSUVの新種。他人と違うクルマに乗りたい人に

GLCクーペはいうまでもなく、SUVを表す「GLクラス」の、いわゆる車格が「Cクラス」に相当するモデル。Cクラス由来の「GLC」の、さらに派生モデル。GLCのショルダーラインから上に、ファストバック風の、後方に向かってなだらかに下降するルーフラインが与えられた4ドアクーペです。

構造的には、Cクラスのホイールベースを35mm延ばした2875mmのホイールベースに、全長4735mm、全幅1930mmのボディを載せます。GLCクーペの全長は、GLCのそれより40mm低い1605mmに抑えられます。横から見ると、サイドウインドウの天地が低いのが特徴的ですね。

パワーパックは、GLCに準じたもの。2リッター直4ターボ(184馬力/30.6kg-m)のガソリンエンジンと、2.2リッターのディーゼルターボ(170馬力/40.8kg-m)が用意されるほか、2リッターにモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドモデル、そして、3リッターV6ターボ(367馬力/53.0kg-m)を誇るAMGバージョンがカタログに載ります。うーん、派生車種とは思えぬ充実ぶり! メルセデス・ベンツ日本の、力の入れ具合がうかがえます!!

試乗車は、ディーゼルエンジン搭載のGLC220d 4マチック クーペ スポーツ(本革仕様)。車両本体価格は775万円。ノーマルのクーペ スポーツ(713万円)との違いは、シート地がスエード調ファブリック+人工皮革から、車名どおり本革に格上げされ、ガラススライディングルーフが装備され、さらに、Burmester(ブルメスター)サラウンドサウンドシステム/13スピーカーによってオーディオが充実する、などです。

直接のライバルとなるBMW「X4」と比較すると、GLCクーペはディーゼルモデルをラインナップしているのが、ひとつの強み。X4は、2リッター直4ターボ、3リッター直6ターボの、ガソリンエンジンだけですから。

BlueTEC(ブルーテック)エンジンと名付けられたメルセデスのディーゼルユニットは、気筒ごとの燃料噴射を精緻にコントロールする“コモンレール式”。もちろん、ディーゼルエンジンと相性のいいターボ過給器を備え、3000〜4200回転で170馬力を発生…という最高出力より、むしろ注目すべきは、わずか1400回転で生み出される40.8kg-mという最大トルクです。ひと昔前(ふた昔前!?)だったら、4リッターV8を積むマッスルカー級の強力ぶり。電子制御される9速(!)ATと組み合わされ、1960kgのボディを余裕をもって運びます。

GLCクーペのインパネまわりは、Cクラスに準じたもの。センターコンソールには“カラーマルチファンクションディスプレイ”が設けられ、トンネルコンソール上のダイヤルで、各種機能をダイレクトにコントロールできます。

GLCクーペ スポーツと、GLCクーペ スポーツ(本革仕様)のアシまわりは、やや締まった乗り心地の“スポーツサスペンション”となります。一方、エンジン、トランスミッション、ステアリングのパワーアシストなどは、“ダイナミックセレクト”機能で変更可能。好みのドライブフィールを手に入れられます。

メルセデス伝統の高い安全性能も、カメラとレーダーを駆使して実現。自車の周囲を絶えず監視することで、障害物や歩行者との衝突を可能な限り防ぎ、また死角に入った他車を感知して、車線変更時などに必要ならば、ステアリングホイールを振動させて運転者に警告してくれます。

前走車との距離をキープしつつ、車線維持もサポートするインテリジェントなクルーズコントロール“ディストロニック・プラス(ステアリングアシスト付)”も、長距離移動が多い人にはうれしい機能。高速巡航や渋滞時を経ての疲労が、グッと減るはずです。

興隆するSUV市場のビッグウェーブには乗りたいけれど、よりパーソナルで、他人とはちょっと違うクルマに乗りたいと思っている方。メルセデス・ベンツのGLCクーペを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

<SPECIFICATIONS>
☆220d 4マチック クーペ スポーツ(本革仕様)
ボディサイズ:L4735×W1930×H1605mm
車重:1960kg
駆動方式:4WD
エンジン:2142cc 直列4気筒 DOHC ディーゼルターボ
トランスミッション:9AT
最高出力:170馬力/3000〜4200回転
最大トルク:40.8kg-m/1400〜2800回転
価格:775万円

(文&写真/ダン・アオキ)


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