SEIKOミリタリー風チプメカウオッチをリペアしてみた!

古き良き機械式ミルスペックを模した「SKX427」。ムーブメントはセイコー5などでおなじみの7S系が使われていて、手巻き&秒針規制機能がなく、自動巻きのみで動きます。

ケースサイズはやや小ぶりで幅約35ミリ。デザインは視認性の良い黒地に白文字、実用一辺倒を地で行く腕時計です。ちなみに名前に“ミリタリー”と冠されていますが、腕時計業界によくある“ミリタリー風”腕時計であって、「○○の軍隊に採用された!」なんてモノではありません。

普遍的&定番デザインで、現在でもそれなりに人気も高く、古い機種ですが状態次第では1万以上の価格で取引されることもあります。私が落札したのは“訳あり品”で、稼働はするものの文字盤の「SEIKO」ロゴが剥がれていて、風防にも小キズが多数。こんな状態なので、相場より安めの5162円(送料込み)で落札となりました。

▲金属製の「SEIKO」ロゴがポロッと剥がれて5時付近に転がっています

そんなワケで、まずはロゴを接着する作業から。瞬間接着剤を少量塗って固定させます。文字盤とロゴは腕時計の顔とも言える部分。汚く仕上がるととても萎えますからね、慎重に慎重に…。

無事、成功! 接着剤のはみ出しも無く、私にしては上々の出来映え。

三針も装着して、中身のムーブメントはコレでOK。

13〜24時の表示などハミルトンの「カーキ」などでもおなじみなデザインの文字盤。実用性重視のこういったミリタリーテイストは、私の“男子”なハートを強く刺激してきます。

次はガワ部分、風防の小キズをキレイにしていきます。

風防はこのような状態でホドホドに小キズあり。そしてココからが今回の記事のポイントとなります。

腕時計の風防の素材には、大きく分けて主に3種類あって、

  1. プラスチック……柔らかいので小キズがよく付くが、研磨が容易
  2. ミネラルガラス……通常のガラス。それなりに硬いが小キズが入ることも
  3. サファイアクリスタル……硬いのでそもそも小キズが付かない

1→2→3の順に硬くなってゆくワケですが、今回のモデルはミネラルガラス風防(セイコーは「ハードレックス」と呼ばれる独自技術で他社よりも高硬度のミネラルガラスと言われています)。

このミネラルガラスに入った小キズというのが結構厄介で、研磨で消そうと思えば消せるのですが、それなりに硬いのでなかなかに研磨が大変なのです。パーツ代も数百〜1000円は超えないくらいなので、ミネラルガラス風防にキズが入った場合、メーカーや時計店に修理を依頼すると大体は交換対象となります。

ですが、私のようなアマチュアの時計修理に、「採算」や「納期」なんて言葉はありません。そこにあるのは修理を「趣味」として楽しむこと。パーツ代の数百円を惜しみ、伊達と酔狂でこのガラス風防を研磨することにしました。

インターネットで「ミネラルガラス 研磨」と検索すると、私のような酔狂な方がチラホラと出てきて、風防のキズ取りにチャレンジしています(中には、風防が特殊な形状等で交換パーツが入手できず止むに止まれぬ、という方もいますが)。

そんな同志の方たちの集合知を参考にして、かつての修理の際にいろいろな方法を試してみたのですが、その結果、一番やりやすかったのが包丁用の両面砥石を使ったやり方でした。

まずは包丁砥石の荒目(#1000)で研いで、小キズを消していきます(ひたすらにこの作業だけで1〜2時間!)。小キズが消えたのを確認したら、今度は裏面(#3000)で研いで約1〜2時間…。

仕上げは酸化セリウムの入った「キイロビン」を水に溶かして、ひたすら電動でバフ掛け! ココでも数時間、研磨研磨。もう精神修行ですね、コレ。数日に分けて夜な夜な研磨していましたが、“ながら”で観ていたアニメは全12話分、観終えてしまいました(笑)。

作業を終えた風防がコチラ。縁の欠けはそのままですが、小キズは見事に消えてすっかりキレイに。

ムーブメントを入れて、コレで本体は完成! あとはバンド部分ですが…。

ミリタリー風なので、無難に似合うのはこういったキャンバス地でしょう。Amazonで安価なものを探して600円(送料無料)にて購入しました。

バンド装着完了! うんうん、なんだかミリタリーな雰囲気が出てきました。

実際、手に巻いたリストショットがコチラ。刺さる人には刺さるのではないでしょうか、このルックス。一部では未だに人気があるのも納得です。

というワケで、今回は安く入手できた“訳あり品”のチプメカをせっせと修理していったお話でした。さて次は、どんな腕時計を買おうかな…。

>> 連載[安価機械式「チプメカ」マニアの1万円以下腕時計購入記]

 


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(文・写真/伏せ字)

ふせじ/時計好きサラリーマン

腕時計好きの趣味が高じて、記事を執筆することに。一介の時計好きサラリーマン。好きな時計の傾向は、ダイバーズ、青焼き針、56系LM。

>> 伏せ字だらけ~よもやま時計ブログ~

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