ワイン発祥地のひとつアルメニアで秋のワイン祭りを堪能【アルメニア訪問記】

■個性豊かなアルメニアのブドウ品種&ワイナリー

▲アルメニアの人々が愛するアララト山を望むブドウ畑

アルメニアは、夏は暑く冬は寒さが厳しい大陸性気候で、昼と夜の寒暖差が大きいのも特徴です。ただ、気候変動で、ここ5、6年は冬場が暖かくなってきているようです。それでも、雪は降ります。

雨は年間200~300mlと少なく、乾燥しているため、ブドウ栽培には灌漑が必要です。

現在、アルメニアのブドウ畑は1万7200haで、各地方それぞれの固有品種から、多彩なワインが造られています。

 

■アルメニアの主な固有ブドウ品種

[白ブドウ]

▼カングン(Kangun)
アルメニアの土着品種で、大衆的なワイン、カジュアルな白ワインに多く用いられます。主な産地はアララト盆地。

▼ヴォスケハット(Voskehat
アルメニアを代表する白ワイン用品種。シャルドネと似た特徴を持つといわれ、果実味と酸のバランスがよく、エレガントで余韻に複雑味のある高品質ワインになります。主な産地は、ヴァヨッツゾール地方、アララト盆地。

[黒ブドウ]

▼アレニ・ノワール(Areni Noir)
古くから存在する、アルメニアを象徴する黒ブドウ品種で、原産はヴァヨッツゾール地方アレニ地区。カジュアルワインから樽熟成させた高級ワインまでつくられます。

▼カルムラヒュット(Karmrahyut)
アルメニア土着の交配品種で、主な栽培地はアララト盆地。非常に濃い色と濃密なタンニンを持つスパイシーなワインになり、バラの花のような香りが特徴。

▼ハフタナック/タナック(Haghtanak/Tanak)
アントシアニンが多く、タンニンが強い、長期熟成に向くブドウ品種。酒精強化ワインにも使われます。主な産地はアララト盆地。

 

アルメニアのワイナリー数は約50あります。2010年前後に設立されたところが多いようです。そうしたワイナリーでは、国際コンクールで入賞する高品質ワインも多く生産されています。

色々な国際コンクールで受賞している「Golden Grape ArmAs」(アルマス)。007年設立の大きなワイナリーで、フード付きのワイン試飲コースがあります。お土産ショップも充実していました。

アルメニア最大のワイン会社「Armenia Wine Company」は、2008年に設立されました。2009年が初ヴィンテージで、2010年からローカルマーケットへ販売しています。

Armenia Wine Companyでは、美しくペイントされたKarasがディスプレイされていました。

「Voskvaz」(ヴォスケヴァズ)は1932年設立の歴史あるワイナリーですが、ツーリストのための設備やショップも完備しています。3年ほど前から、Karas古代を使ったアルメニアのワインメイキングを始めました。

マッチョな3兄弟が、祖父、父から引き継ぎ、2013年に商業化した「Alluria」(アッルーリア)。新しいセラーが2017年に完成し、いよいよ本格的に活動がスタートしました。新しいセラーでの初ヴィンテージは2017年。現在の商品は、まだ3アイテムのみ。

祖父、父はアルメニア出身で、自身はロサンゼルスからアルメニアに移ってワイン造りを始めた「Van Ardi」(ヴァン・アルディ)。シラーという黒ブドウ品種にこだわり、2013年が初ヴィンテージ。長期熟成できる赤ワイン目指しているブティックワイナリーです。

エレバンの町はずれ、工場跡地のような建物の中に「365 wine」の醸造所とラボがありました。2006年の設立で、自社畑はなく、農家から買っています。カワイイラベル&ボトルデザインのフルーツワインもありました。

「KOOR」ブランドは日本にも輸出しています(Highland Winery)。エレバンのレストランのテラスでここのワインメーカーと話していたら、ワイナリーの顧客というロンドンの酒商の紳士が乱入。ここのワインはロンドンでもよく売れているそうですよ。「KOOR」は、古代バビロンにワインを運んだボートの名前とのことです。

 

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