【アウディTTS試乗】強心臓を搭載も、走りは意外とクールな高性能版TT

さて、TTSクーペの価格は、TTクーペより226万円高い768万円。1割以上強力なエンジンアウトプットは、デュアルクラッチ式の6ATを介して前輪を駆動し、必要に応じて電子制御される多板クラッチが後輪に駆動力を伝えます。エンジンを横置きした前輪駆動モデル用の“クワトロ”システムです。

TTSとTTの外観上の差異は意外と少なく、スポーティな“Sバンパー”と専用デザインの18インチホイール、そしてクールなアルミルックのサイドミラーが両車の識別点。ヘッドランプには、照射範囲を自動的にコントロールする“マトリクスLEDヘッドライト”が装備されます。

ドアを開けてクルマに乗り込めば“Sスポーツシート”が迎えてくれます。背もたれと座面からサイドサポートが盛り上がった、ホールド性の高いシートです。通常のシート生地は、TTS専用のアルカンタラですが、試乗車にはオプションのナパレザーが使われていました。ソフトなタッチが贅沢! シートヒーターが標準で付いてくるのも、TTSの特権です。

メーターナセル内が一面ディスプレイになって、地図などを表示する“アウディ・バーチャルコクピット”の先進性については、TTクーペ試乗記の際に報告しました。アウディの中で最もホットな装備でしょうね。

走り始めれば、これまたTTSの特権、足まわりの硬さを自動制御する“アウディ・マグネティックライド”が、速さとスムーズな乗り心地を両立します。

TTSの場合、スロットルペダルを踏む度に高まるエンジン音が、ドライバーの胸を高まらせる…というよりも、軽くステアリングホイールを握りながらクールにドライブを楽しむのが“らしい"といえるかもしれません。

仕事の疲れとアバンチュールの興奮を、オプションの“バング&オルフセンサウンドシステム”から流れる音楽で鎮めながら、夜のハイウェイをクルージングする…。あまりにベタな想像でナンですが、そんなキメキメのシチュエーションにピッタリはまるのが、…きっとピッタリはまるだろうと連想させるのが、新しいTTSなのです。

カッコいいクルマに接すると、つい想像の翼を広げてしまうのもまた、人の常のようです。

<SPECIFICATIONS>
☆TTSクーペ TFSI クワトロ
ボディサイズ:L4190×W1830×H1370mm
車重:1410kg
駆動方式:4WD
エンジン:1984cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6AT(デュアルクラッチ式)
エンジン最高出力:286馬力/5300-6200回転
エンジン最大トルク:28.8kg-m/1800-5200回転
価格:768万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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