初めて体験!意外と楽しい腕時計の電池交換はクセになりそう

■道具を揃えて初めての時計の電池交換

数日後に手元に届いた箱を開けると、色々と物珍しい工具が出てきました。

その中から、今回主に使うのがこちら。

時計のケースを挟み込んで固定する、ケース固定台。

先端に突起が付いたこちらが、裏蓋を開けるオープナー。

道具も揃ったところで、交換DIYを始めたいと思います。

■作業で邪魔になるベルトを外す

まず最初にベルトを外します。これは電池交換をした後でもいいのですが、初心者の作業では邪魔なものがないに越したことはありません。

腕時計のベルトは「バネ棒」というパーツでケースとつながっているのが一般的。手持ちの腕時計も、このバネ棒を取り外すことでベルトの交換ができます。

バネ棒の外し方は「ベルトがくっついてるケースの側面」に穴があるかないかで変わります。

穴がある方が簡単らしいのですが、残念ながら私の腕時計にはありません。そこで、専用工具のY字型バネ棒外しの出番です。細いY字型の先端をベルトとケースの隙間に差し込み、バネ棒の引っ掛かりを下に押し下げると簡単に外れます。

たまに固着してることがあるらしいので、無理せず傷に気をつけてやってみましょう。

■本体を専用のケース固定台に固定する

ベルトを外したら、時計本体を専用のケース固定台に固定。

改めて裏蓋を確認すると円周上に溝がたくさんついています。このタイプの裏蓋を「スクリューバック式」といいます。

この他に裏蓋を小さなネジで固定している「ネジ式」や、本体へ裏蓋を押し込み圧着させた「はめ込み式」があります。

スクリューバック式とネジ式は初心者でも扱いやすいですが、圧着式は作業中に傷を付ける可能性が高いようなので、覚悟をして作業に取り掛かった方が良さそうです。

それでは、いよいよ裏蓋を開けます。

■3点式オープナーで裏蓋を慎重に開ける

スクリューバック式で使用する専用工具が3点式オープナー。この器具本体についている3つの突起はネジで間隔を調整可能で、さまざまな大きさの腕時計裏蓋に対応可能。

突起を慎重に裏蓋の溝に合わせ、ガタつかないところまでネジを回してフィットさせました。次にゆっくりと力を込め、左側に回します。防水時計なのでミチっとした手ごたえが心地よかったです。

ついに腕時計の中身とご対面! この腕時計のムーブメントはSEIKO製7T92、精密な工作がされた機械が中に詰まっており、さすがに素人では手に負えそうもありません。ただ1カ所だけよく見慣れたものが。そう「ボタン型電池」です。

私の世代だと任天堂のゲームウォッチの電池交換が懐かしいですね。最近ですと体温計の電池交換もボタン型電池でした。ここだけは初心者でもなんとかなります。

それでも慎重な作業は必要です。特に電池を抑えるステーは繊細な構造なので、ピンセットを使い丁寧に電池を外しましょう。入っていたボタン型電池の型番は「SR-927SW」。これはメジャーなタイプらしく近所のホームセンターで購入できました。

■ピンセットで挟み電池を交換

普段は無造作に触っているボタン型電池ですが、本来は上下に挟む形でつかむのはショートの危険があるためNGだそうです。

そこでピンセットで外周をつかみ、慎重に元あった場所に差し込みます。

最後に少し固いところがあるのですが、汗がつく恐れがあるため指の使用はやめました。綿棒を使ってぐっと押し込み、電池交換に成功です!

■シリコングリスを塗布したパッキンをはめる

あとは裏蓋を戻すだけですが、防水時計はここで一手間必要。裏蓋には黒い円形パッキンが付いているのですが、長年の使用でこれがへたっていることが多いそうです。そこで一度取り外して全体にシリコングリスを塗布し、パッキンを復活させるのです。

ただし細いパッキンに適量のシリコングリスを塗るのは難しい。考えることはプロの技術者さんも同じようで、この作業専用の器具が販売されておりました。その名も「シリコングリス塗布器」って、そのままですね!

塗布器の本体は上下に分割でき、両方にシリコングリスが染み込んだスポンジが付いています。この中にパッキンを入れ、上下から挟むとグリスアップされる仕掛けで、あっという間にパッキンを傷つけることなく作業でき、とても便利でした。塗布後はパッキンを裏蓋に戻し、開けた時と逆手順でオープナーを使って蓋を閉め込めば、電池交換は終了です。

潜水作業時に命がかかる本物のダイバーズウォッチですと、このあとに防水試験機を使用した防水性のテストが必要になるのですが、ダイバーズではないですし、せいぜい雨天下での撮影やDIYをする程度の私ですので、そこまで必要ではありません。

新調した革バンドに元のバネ棒を差し込み、バネ棒外しでケースに装着して、すべての工程が完成しました。秒針はチッチッチとリズミカルに動いています。裏蓋に少しスリ傷がつきましたが、これもDIYした証。なんだか今まで以上に、この腕時計に愛着がわき、満足感は非常に高いです。

【次ページ】何かの不都合?時計が動かない

この記事のタイトルとURLをコピーする