初めて体験!意外と楽しい腕時計の電池交換はクセになりそう

■電池交換したら、針の位置がおかしくなった!?

それでは時刻を修正して、作業を終わろうかと改めて文字盤を見て、ギョッとしました。この時計はクロノグラフで、いわゆるストップウォッチに使う針が数本ついているのですが、その針が「0」ではなく「50」のあたりを指しています。ストップウォッチのボタンを押せば、通常通りに針が回り計測ができますが、停止してリセットボタンを押せば、また「50」の位置に戻ってきました。

何かケース内の作業で不都合があったのでしょうか?

大急ぎで調べると、多くのデジタル時計とクロノグラフが付属するアナログ時計の電池交換では「オールクリアー」を行う必要があるとわかりました。

手順は難しいことはなく、ムーブメントにある指定の接点と電池を金属製ピンセットでつなぎ、通電させるだけのようです。この手順が必要な腕時計は、裏蓋に記載があるとのことですが、私のものにはありませんでした。もう一度、裏蓋を開きムーブメントを仔細に眺めますが、「オールクリアー=AC」と書かれた接点もありません。

ちなみにこちらは、我が家にあったもう1個の電池切れ時計の中身と裏蓋です。

ムーブメントにはACのマークがある接点が、裏蓋には注意書きが確かにありました。

これは困ったと、もう一度この腕時計に使われているムーブメントの名前とともに検索をかけると、解決法がありました。

何のことはないですが、この腕時計では、クロノグラフの針位置を0に戻すのは、時計のボタン操作で可能だったのです。書かれた説明通りにボタン操作をすると、無事にすべての針が「0」を指す位置に戻ってきました。

いくつかのトラブルもありましたが、これで無事に電池とベルトの交換が完了です。腕時計の種類にもよるでしょうが、次からはもっとスムーズに作業ができると思います。もちろん数十万円の腕時計の裏蓋を開ける勇気はありませんが…。

今の腕時計を使い続けるために始めたDIYでしたが、逆にこの作業をしたために新しい腕時計も欲しくなってきました。今までは「せっかく購入しても4〜5年で電池が切れたら使えなくなるもの…」という理由から、積極的に腕時計の購入を検討してこなかったのですが、自分でいつでもできるとなると、俄然興味が湧いてきました。これもDIYの利点の一つかもしれませんね。

ということで、皆さんもぜひ自分の腕時計をメンテナンスに挑戦してみてはいかがでしょうか。ただし、壊す可能性はもちろんありますので、気をつけて挑戦してくださいね!

工具セット 3800円
電池    550円
ベルト   660円
シリコングリス塗布器 1230円

写真・文/阪口 克

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

 

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