ロードスターの核心・マツダ 山本修弘(1)問い続けるスポーツカーの理想

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山本修弘(やまもと・のぶひろ) 1955年生まれ。1973年にマツダへ入社。ロ-タリ-エンジン研究部で先行開発を担当する。1976年、ロ-タリ-エンジン研究部にてレーシングロ-タリ-エンジン設計の開発担当に就く。その後、「サバンナRX-7(FC型)」や、ル・マン24時間耐久レース用ロータリーエンジンの開発などを担当。1996年からは、2世代目ロードスター(NB型)や、「RX-7(FD型)」の開発にてアシスタントマネージャーを務める。2002年に、3世代目ロードスター(NC型)の車両開発副主査に就任。2007年よりロードスターの開発主査となる。

 デザインは、もう一生、このままでもいい!

--まずは、NDの販売データからご紹介させてください。販売グレード比率は「Sスペシャルパッケージ」が人気で、全体の約半分を占めています。よりプリミティブな「S」グレードは1割弱。

トランスミッションの比率は6MTが7割以上。素晴らしいですね、さすがロードスター。そしてボディカラーでは、イメージカラーの“ソウルレッドプレミアムメタリック”が、別途費用が必要なオプションであるにもかかわらず、4割弱と人気が集中。

そして、購入された方々の年代をみると、40代が最も多くて3割。次いで50代、以降は60代と30代と20代とがほぼ拮抗しています。非常に幅広い層に支持されている印象です。

山本:実は、僕たちが考えていた以上に、収入の高い方々がロードスターを買ってくれています。これにはビックリしました。いままで輸入車しか乗っていなかったような方が、初めての国産車にロードスターを選んでくれた、という話も聞いています。初めてマツダを買った、という方たちも増えているんですよ。

--これまでロードスターは、スポーツカーとしては適正価格である点が高く評価されてきたわけですが、NDに対する皆さんの評価は、それとはちょっと違うわけですね?

山本:さまざまな評価をいただいていると思うのですが、一番高く評価されているのは、僕たちがロードスターを作る時に一番大切だと思っていた“カッコよさ”でしょうね。

なんといってもスポーツカーですから。街を走っているロードスターを見かけた人が「カッコいいね!」って思えるスタイリングが、やはり一番大事だと思います。スポーツカーはそれ抜きには語れません。

--いくら性能が良くても、カッコ悪いクルマには乗りたくないですもんね。

山本:僕たちがNDを開発する際、何がなんでもこだわりたかったのは、デザインなんですよ。これが一番。

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世界中のロードスターファン、そして、スポーツカーファンが期待してデビューを待ってくれているわけですから、一瞬にして心をかき回すような、美しいデザインを提供しよう、と。それが僕たちの掲げるデザイン目標だといい続けてきました。

そして出来上がったデザインは、もう一生、デザインチェンジをしなくてもいいくらいの完成度だと思っています。(社内では)“タイムレス”なんて言葉を使っているほどです。永遠に変えなくてもいいデザイン。輝くダイヤモンドのように、永遠に色褪せない魅力を備えていると自負しています。

--デザインのいいクルマが登場すると、ディーラーに見に行ってみたくなりますし、実際に乗ってみたくなります。

山本:そうなんですよ! ふたつ目に大事なことは、やっぱりそれ。デザインだけでなく、実際に触れて乗っていただいた時に「ああっ、やっぱりいいな!」っていう感動を提供することが重要なんです。

まずはデザインに惹かれてくださった方々にも、ロードスターのダイナミック性能を感じて欲しい。“人馬一体”の走りの楽しさを。だから、ドライビングフィールは絶対譲れない、っていうのが、僕たちの掲げたふたつ目の開発テーマだったんです。

デザインだけとか、走りだけとか、どちらか一方だけが秀でていてはダメなんです。やはり、ロードスターは両方がそろっていないと。

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