音楽とともに楽しむお酒はより美味しい。アーティスト鷺巣詩郎、石渕 聡、小宮山雄飛に聞く、「お酒と音楽」の魅力とは?

■誰かが流した音楽がお酒のアテとして心地良かったりする

▲小宮山雄飛/2ピースPOPグループ・ホフディランのVo.&Key.担当。渋谷区観光大使、美味しい渋谷区プロジェクトCEO(Chief Eat Officer)を務める。音楽活動に留まらず、テレビやラジオへの出演、コラム執筆などその活躍は多岐にわたる。お酒や食に造詣が深く、Webサイト「食楽」でも「小宮山雄飛 蕎麦呑みの名店」を連載中。

1996年に「スマイル」でデビューし、FUJI ROCK FESTIVALへの出演や日本武道館でのワンマンライブを成功させるなど日本のPOPシーンを牽引してきたホフディランのボーカル&キーボード担当、小宮山雄飛さん。グルメサイト「食楽」でも連載を持つほどお酒と食を愛する小宮山さんにとって「お酒」と「音楽」はどのようなモノなのか、インタビューを実施しました。

――今回、渋谷にある「THE MUSIC BAR CAVE SHIBUYA」を取材場所に選ばれたわけですが、よく来られるのですか?

小宮山雄飛(以下、小宮山):はい、ひとりでフラッと来ることもありますし、誰かと一緒に音楽とお酒を楽しむために来ることも。いろいろなお酒が味わえますし、何より音響設備がすごく良いんです。

――こちらではいつも何を飲まれますか?

小宮山:ウイスキーのハイボールをよく頼みます。家ではもっぱら焼酎なんですが、こういった“洋”のお店では“洋”のものを頼むようにしていて。

――それは空間ごと楽しみたいというお気持ちもあったり?

小宮山:それももちろんありますけど、家だと何も気にせず焼酎をガンガン飲んでしまっていますが、誰かといたり、あるいはひとりでお店に入って飲むとなると良い意味で少し緊張するというか。その適度な緊張がある場所だとベロベロに酔わないようにしますし、ちょびちょびと嗜む感じにしています。それこそ知り合いと食事に行ってワインとかを飲むときもある程度自制して、ゆっくりと飲むようにしていますし。ウイスキー・ハイボールも同じで、その緊張感を楽しみながら飲んでいるという感じですね。

――確かに家と出先では飲み方は変わってきますよね。小宮山さんがこの「THE MUSIC BAR CAVE SHIBUYA」を好きな理由はどういうところですか?

小宮山:やはり家とは全然違うというか、自分が選んでいない曲や知らない音楽を流してくれるじゃないですか。それが1番面白いですね。基本的に家で毎日飲んでいるんですけど、そうなるといつも同じ音楽を聴いたり、YouTubeで好きなアーティストのライブを観たりする。それはそれでいつもの感じなので安心できるところはあるんですけど、ふと「何回同じ曲を聴いたり、同じライブを観たりしているんだろう」と我に返るときがあって。でも、外は違う。ミュージシャンは全員そうだと思いますけど、BGMを結構気にして聴いているんですよ。それで「あ、この曲の次はこの曲を流すんだ」とか「これ、1990年代のオルタナのチャンネルになっているな」とか、そのお店の人が選んでいる曲を聴くのが楽しいんです。

▲「THE MUSIC BAR CAVE SHIBUYA」。壁にはびっしりとレコードが並ぶ

――ご自身とは違う発想を楽しむと言いますか。

小宮山:そうなんです。自分が思いもしない曲の繋がりや、逆に「こういう曲がかかるといいな」と思っていたらかかったり。そういうシチュエーション含めて外でお酒と一緒に音楽を聴くのは楽しさがありますね。

――ちなみに、今日はご自宅で使用されているオーディオもお持ちだとか。

小宮山:はい。「BALMUDA The Speaker」を普段は使っています。ランプも兼ねていて、音楽に合わせて光り方が変わったり。4、5年くらい前に買ったのかな? 家で昼間から飲むときによく使うんですけど、ベランダに持ち込んで近所迷惑にならない程度の音量で音楽を流しながら飲むのが好きで。室内で自分ひとり爆音で楽しむというよりも、外に向かって音を出しているのが好きなんですよね。世界と繋がっていると言いますか。

▲「BALMUDA The Speaker」とウイスキー・ハイボール

――その楽しみ方をするようになったきっかけってあったりしますか?

小宮山:実はふたつ思い出があって。ひとつめは、アメリカのサンタモニカに行ったとき。あちらに住んでいる方々って結構そういう楽しみ方をしているんですよね。滞在していたところはビーチが近くにあるすごく心地良いところだったんですけど、どこかのベランダからドアーズのものすごく暗い曲が流れていたんです。それが不思議ととても気持ちが良かった。やっぱりサンタモニカの人たちってベランダから音楽を流したりするんだなと興味深さも相まって、何だか憧れにも似た気持ちを抱きましたね。

――ちょっと古めの映画とかでもそういうシーン、ありますよね。

小宮山:そう、それがかっこいいなと。あとひとつは日本でのエピソード。前に住んでいた家がマンションの3階だったんですけど、知り合いのデザイナーが2階に住んでいて。それで、ぼくはミュージシャンのプリンスがとても好きなんですけど、彼が亡くなった日にものすごい悲しみに浸っていたんですよ、家で。そしたら、下の階からプリンスの音楽が聴こえてきて。そのデザイナーもプリンスが好きだったから流していたみたいなんですけど、その窓の外から流れてくるプリンスがすごくグッと来て。こういう繋がりって良いなと。上の家からとか隣の家から、何か音楽がうっすら流れてきて「この曲は何だろう?」と思って聴いて、「意外と隣の家の人、これ好きなんだ」とか「自分と音楽の趣味が同じだ」とか、そういうのを感じるって何だか素敵じゃないですか。

――音楽を通じて思いを共有するというか。繋がりですよね。

小宮山:そういう音楽を介した人との繋がりって良いですよね。もちろん、近所に迷惑になるような爆音で、とかって話ではなく。夕方とかお昼とか心地良い時間帯にお酒でも飲みながら好きな曲をかけて、街を歩く人や隣や上に住んでいる人が「ちょっといいな」と思ってもらえたら楽しいし嬉しいなと。夜は部屋で大人しくひとりで音楽を聴いていますけど、皆で音楽を分かち合うのも良いものです。

――小宮山さんは音楽も、そして人もお好きなんですね。ところで、ハイボールはなぜお好きなのでしょうか?

小宮山:基本的に濃い味のお酒や甘いお酒はあまり飲まないんです。となると、ウイスキーや焼酎のハイボールが甘くもないしスッキリしているし、味も濃くないですし。だからソーダやお茶で割ったりして飲むのが好みですね。日本酒をちびちびやる、というよりはゴクゴクも飲めるうえに甘くないハイボールが。

――そんなハイボールはどんな音楽を合わせますか?

小宮山:それこそ、さっき話しにも出たドアーズの「The End」とか。割と暗めの曲が実はお酒の場に合うと思っていて。別に飲んでいるときに暗くなろうと思って選んでいるわけではないですよ? 何と言うか、足し算・引き算の関係とでも言いましょうか。自分自身は明るく楽しむつもりなので、自分の気持ちをコントロールするために暗い音楽を流す感じですかね。盛り上がり過ぎないように。ワイワイとパーティソングを流して「イェーイ!」みたいなノリがあまり得意ではないので、本当は自分も騒ぎたいんですけどあえて暗い音楽で抑えています(笑)。お酒ってちょっとタガが外れるというか、開放的になるものなので。セーブさせるための音楽。

――それでは、お酒を飲んで普段の自分からガラッと変わることもあまりないんですね。

小宮山:ほとんどないですね。お酒を飲んでパーッと開放的になりたいというよりも、普段の生活の一部としてお酒と音楽があるので。そして、そのお酒と音楽のどちらも楽しみたいからいつも通りでいる、そんな感じです。

――なるほど。もう本当にお酒も音楽も小宮山さんの生活に根ざしているんですね。最後に、お酒と音楽のカップリングと言いますか、合わせるとどんな素敵な相乗効果が生まれると思いますか?

小宮山:うーん、それが僕にとってはその両方があるのが当たり前なんですよね(笑)。でも、最近ライブ会場で飲まない人って結構いるんです。僕はある程度飲めるようになったらライブ会場とか音楽がある場所ではお酒も一緒に楽しむんですけど、もっとその雰囲気ごと皆には楽しんでほしいって思います。それこそ、音楽があるのとないのとでは味も変わるじゃないですか。せっかくこの場所にいるんだから、両方を楽しもうよ? って。海外に比べると、特に日本人ってその楽しみ方がなかなか上手じゃないというか。もっとお酒も音楽も一緒に楽しんでほしいって本当に思います。最高な組み合わせですから。

>> 小宮山雄飛(ホフディラン)

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