時計ライター&コレクターが考えるアンティークウォッチの楽しみ方【大人のひとり時間充実モノ】

■アンティークウォッチは人間味が魅力

名畑政治さんは、日本を代表する時計ライター。30年以上に渡ってスイスや日本の時計ブランドの工房取材を続けてきた。現在は時計専門ウェブマガジンの編集長を務めている。

徳間書店『GoodsPress』が1990年代に別冊として刊行した「オメガ」や「ブライトリング」「セイコー」のヒストリーブックの著者でもある。時計はもちろん、カメラやアウトドアグッズ、ギターなどさまざなアイテムに詳しく、またそのコレクターでもある。

「今の時計は昔の時計よりも求められる品質基準が高いので、最新技術で効率良く、ディテールまで完璧に作られています。でも、アンティークウォッチは違います。今の時計にはない人間味というか、“味”や“面白み”、“遊び”があります。それがいちばんの魅力といえるでしょう」

名畑さんがアンティークウォッチの魅力に目覚め、コレクションを始めたきっかけは、1976年頃、高校2年生のとき。母方の祖父が亡くなり「形見の時計」を伯母から渡されたことだった。

「手巻きで、文字盤のインデックスがアラビア数字なのが気に入って、大学生のときにときどき使っていました。その後、この時計がマニアの間で〝セイコーの隠れた名機”といわれるモデルの最終バージョンだったと知って興味が湧いたんです。それが、歴代のモデルを収集するきっかけになりました」

名畑さんは自分自身の経験から、アンティークウォッチを楽しむなら、いきなりアンティークウォッチショップに行って高価な人気モデルを購入するなどの無理をせず、家にある「昔の時計」を探してみることから始めたら、と勧める。

「時計の修理屋さんに持ち込んでみたら、とても良いものだった、ということもありますから。楽しいからすることなのに、無理をしたら楽しくありません」

アンティークウォッチを探すというと、今はまずインターネット上のフリーマーケットやオークションが頭に浮かぶ。

だが、時計はできるだけ実物を手にして、自分の目で見て吟味したいもの。お気に入りのアンティークウォッチショップを見つけて通ったり、フリーマーケットに足を運ぶことで素敵な1本に出会えることもある。

またアンティークウォッチには時計にまつわる「物語」を味わうという楽しみもある。作られた時代や、その時計に関するエピソード、関連の本や資料を探すのも面白い。

名畑さんは収集した時計の当時の雑誌広告なども集めている。

「1本の時計から思いもよらぬ世界が、楽しみが広がります」

 

■アンティークウォッチにハマるきっかけになった1本

オメガ
「シーマスター オートマチック」

有名な東京世田谷のボロ市で、1980年代半ばに格安で購入した1960年代のオメガ。アクリル製の風防に日付表示を拡大する丸いレンズが付いた珍しいタイプ。「アンティーク時計っていいなぁ」と改めて実感した1本。ベルトを交換してある。

 

■初代より「がっしりラグ」が好み ストラップを特注して愛用中

セイコー
「キングセイコー 2代目モデル」

2021年には限定復刻版も発売された2代目「キングセイコー」のオリジナル。30年ほど前、立川の街外れにある普通の時計店で見つけた。がっしりしたラグと日付なしのデザインが好み。ストラップは無着色のクロコダイルの特注品。

 

■祖父から受け継いだ、時計に興味を持つきっかけとなった1本

セイコー
「ロードマーベル 36000」

「ロードマーベル」は1958年に諏訪精工舎から登場した高精度モデルのシリーズ。祖父から受け継いだこのモデルは1967年に発売された、ハイビートムーブメント搭載の最終版。「グランドセイコー」に興味を持つきっかけにもなった。

 

■迷ったけれど、購入して正解だった1本 復刻ブレスで宇宙飛行士と同じ仕様に

オメガ
「スピードマスター プロフェッショナル 3rdモデル」

オメガマニアを自認する名畑さんにとって最も愛着のある1本。1997年に都内のアンティークショップで発見。即決できなかったが、見つけた翌日に「やっぱり買わないと」と店に駆けつけて購入。ブレスレットは宇宙飛行士が使ったタイプの復刻版を装着。

 

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