奈津子×安蔵靖志の「最新家電」ニュース:2016年総まとめ

▲AS-LS1は左右のスピーカーにサブウーファーを加えた2.1chスピーカーを内蔵している

安蔵:奈津子さんは2015年から「家電女優」として活動をスタートして、2016年には活躍の場を広げましたね。2016年の1年間を通して取材して、どんな家電に注目しましたか?

奈津子:2016年は「VR(Virtual Reality:仮想現実)元年」と言われて、普段は家電にはそこまで興味のない友人からも「VRっていうのがスゴイらしいね!」と盛り上がっていたのが印象的でした。

私自身もHTCでVRゴーグルの「HTC Vive」を体験取材しましたし、9月に開催された「東京ゲームショウ」でもたくさんのブースでVRを体験させていただきました。異次元に没入できるような感覚は単純に本当に楽しかったです。

▲千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2016」の取材の模様

▲千葉・幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ 2016」の取材の模様

安蔵:サムスン電子も「Galaxyシリーズ」向けのVRゴーグル「Galaxy Gear」を発売するなど、スマホ向けVRというのも注目されましたね。まだまだ各社とも荒削りではあるものの、今年はさらに飛躍するのではないかと期待できますね。

奈津子:各メーカーそれぞれにコストや技術面での問題、ゴーグルを衛生的に保つ方法など(これは特に切実に感じました)、課題は多いと思います。でも少しずつこうした課題をクリアして精度が上がっていけば、今後はエンターテイメント業界だけでなく、医療面やビジネスシーンでも大きな革命が起きるだろうなと思いました。

余談ですが、「PlayStation VR」向けの“萌え系”VRコンテンツ『サマーレッスン』にふんだんに盛り込まれた萌え要素には脱帽しました……。

安蔵:私が印象的だったのは、ちょっと硬いですが「業界再編」ですね。シャープが台湾のホンハイ精密工業に買収され、東芝の白物家電事業は中国のマイディアグループ(美的集団)に買収されるなど、業界再編の動きが加速しました。

奈津子:2012年には旧三洋電機の冷蔵庫・洗濯機部門が中国のハイアールグループに買収されましたけど、その流れがさらに強まった感じですね。

安蔵:そうです。世界一の家電メーカーである中国のハイアールグループもそうですけど、ホンハイ精密工業はEMS(電子機器の受託生産)メーカーとして世界最大ですし、マイディアグループもかなりの規模です。これらの傘下に入ることで部品などの購買力が飛躍的にアップしてコストを下げられますし、これまで進出していなかった国や地域にも販路を広げられる可能性も出てきます。そういう意味ではシャープ、東芝の今後の活躍は期待できるのではないかと思います。

奈津子:2016年はコミュニケーションロボットの「RoBoHoN(ロボホン)」や調理家電の「ヘルシオ グリエ」、蚊をキャッチする「蚊取空清」など、シャープは話題の製品を数多く送り出してきたのが印象的でした。

▲シャープが2016年9月に発売した「ヘルシオ グリエ AX-H1」(実勢価格3万6000円)

▲シャープが2016年9月に発売した「ヘルシオ グリエ AX-H1」(実勢価格3万6000円)

安蔵:苦境にあえいでいる中でもこれだけ話題の製品を作り出しているのですから、2017年も大きく期待できますね。それは東芝も同じです。奈津子さんは2017年の家電業界、どんな風になっていくと思いますか?

奈津子:前述したVRについても言えることなのかもしれませんが、家電業界全体の大きな流れとしては、「モノ」だけではなく「ライフスタイル」や「価値観」をメーカー側が提案することを意識しはじめた時代になってきたように思います。

この1年、たくさんの家電製品の発表会に参加させていただきましたが、ほとんどのメーカーが声高に提唱していたテーマのひとつでした。

安蔵:「モノ」ではなく「コト」……つまりユーザーは製品そのものが欲しいのではなく、その製品によって生まれるライフスタイルの変化を求めているということですよね。

奈津子:おそらく今年はその傾向がより一層色濃くなっていくのではないかと思っています。ある人にとっては「高くて意味を感じないモノ」が、別の人にとっては「心地よさの対価として、納得して購入して使用しているモノ」という現象が増えるかもしれませんね。バルミューダの「ザ・トースター」や「ザ・ポット」、バーミキュラの「バーミキュラ ライスポット」、アイロボットの「ルンバシリーズ」などが特にその傾向が強いように感じました。

▲バルミューダが2016年10月に発売した「バルミューダ ザ・ポット」(実勢価格1万1000円)と、2015年5月に発売した「バルミューダ ザ・トースター」(同2万2900円)

▲バルミューダが2016年10月に発売した「バルミューダ ザ・ポット」(実勢価格1万1000円)と、2015年5月に発売した「バルミューダ ザ・トースター」(同2万2900円)

安蔵:私もここ数年の流れとして感じているのが「一点豪華主義」というキーワードです。昭和の高度経済成長期から続く「多機能化」と「軽薄短小化」の流れが、ここに来て一気に変わったように思います。多機能ではなくても、メインの性能が高くてデザインも良く、部屋に置きたいと思わせるような“所有欲”を感じさせるものが人気になっているような印象ですね。まさにバルミューダやバーミキュラ、アイロボットのルンバなどもそうですし、その流れはダイソンあたりが作ったのかなという感じがします。

奈津子:その“一点”が見つかれば、まだどのメーカーにも大きなチャンスがあるということですか。

安蔵:そうです。新たなライフスタイルを生み出すような製品の登場に、今年も期待したいですね。


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(取材・文/安蔵靖志 奈津子)

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あんぞうやすし/IT・家電ジャーナリスト、家電製品総合アドバイザー

ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。総合情報サイト「日経トレンディネット」、「NIKKEI STYLE」などで執筆中。近著は「予算10万円以内! 本気で原音を楽しむハイレゾオーディオ」(秀和システム)。KBCラジオを中心に全国6放送局でネットしているラジオ番組『キャイ~ンの家電ソムリエ』にも出演中。

 

 

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なつこ/女優・タレント

ドラマ、CMの出演多数。「家電アドバイザー」資格を取得し“家電女優”として雑誌、webメディアなど活動のフィールドを広げて活躍中。TOKYO FM「Skyrocket Company」レギュラー出演中(火曜18時〜)。instagramは 「natsuko_kaden」、Twitter「natsuko_twins」

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