まとめて解説!2019年のオーディオ市場を読み解く5つのキーワード【CES 2019】

■差別化が進む“完全ワイヤレス”

オーディオ製品の中でも、最もホットな分野はやはり“完全ワイヤレス”のイヤホンです。CES 2019の会場では国内外のブランドから数多くの製品が出展されていました。

そこから見えてきた傾向ですが、実はバラバラ。バッテリーライフが伸び、IPXの防水技術が標準搭載され、外見のスタイルも新しくなり…と各社の特徴はさまざま。ひとつのトレンドで語り尽くせない製品群が出展されていたことこそが、“完全ワイヤレス”の人気を示していると言えそうです。

▲JBLの「REFLECT FLOW」。IPX7の完全防水とケースと合計で連続30時間駆動

▲日本のイヤホンブランドAVIOTによる新完全ワイヤレス「TE-D01d」。本体のみで9時間、ケース込みで110時間駆動と驚きのバッテリー駆動を実現

 

■ワイヤレスヘッドホンは“ノイズキャンセル”が大流行

ヘッドホンの人気が高い欧米市場に向けて、“ノイズキャンセル”に対応したワイヤレスヘッドホンが急増中。日本は以前より通勤・通学での使用としてノイズキャンセルの人気は高いのですが、欧米でも都市部を中心にノイズキャンセルの有用性が認知され始めています。

 ▲イヤホンの定番ブランドJabraもノイズキャンセル対応のヘッドホン「Elite 85h」を発売

▲JBLは99.95ドルでノイズキャンセルにも対応した「LIVE 600BTNC」を発表

 

■米国ではアナログ・ターンテーブルが強烈ブレイク中

米国のオーディオでは“アナログ”の復活がヒートアップしています。CES 2019では、クラブ好きにはおなじみのTechnics(テクニクス)によるDJ向けターンテーブル「SL1200 MK6」の後継にあたる「SL-1200MK7」が初披露され、現地のDJたちもプレイする目的で実機を触りに来るほど。オーディオモデル向けの入門機「SL-1500C」も同時に発表されました。ターンテーブルはDJ向け以外にも本格的なオーディオ向きモデル、Bluetooth搭載のカジュアルモデルを始め、米国向けモデルを多数展開していました。

▲待望となるTechnicsのターンテーブル「SL-1200MK7」が登場。10万円以下でDJプレイ向けの新定番になる可能性大

▲オーディオテクニカはBluetooth搭載モデル「AT-LP60XBT」など多数を発表

 

■ポータブル・オーディオに360度立体音響の時代が来る!?

ソニーがモバイル配信とヘッドホンを利用する「360 Reality Audio」の技術を出展。欧米向けの「Deezer」「nugs.net」「Qobus」「TIDAL」という4つのサービスに向けてモバイル・ミュージック・ストリーミング向けの提供を発表しました。

「360 Reality Audio」では、アーティストの音源を最大24の“オブジェクト”として音源を収録し、再生時にアプリにてバーチャライズ技術を用いて立体音響として再生します。これにより頭上や後方、足元で音楽や歌声が聴こえるライブ感満点のサウンドフィールドを再現します。

音楽配信では“ハイレゾ”の高音質も流行りましたが、次はアーティストが演奏する現場の臨場感を届ける“立体音響”にブームの兆しアリです!

▲ソニーがオーディオで最も力を入れて展示していた「360 Reality Audio」

▲音楽配信で立体音響を届け、ヘッドホンで臨場感抜群に再現

 

■AIアシスタントは“ビルトイン”の製品群の時代へ

AIアシスタントは昨年に引き続きCES 2019でも重要なテーマでした。各社が、シンプルなスマートスピーカーを超えた新しい形を模索し始めています。

象徴的なプロダクトがレノボの出展していた「Lenovo Smart Clock」。目覚まし時計型デバイスにGoogleアシスタントを内蔵。同時に10.1型のタブレットと共に、Amazon Alexa対応のドックスタンドを一体化させる「Lenovo Smart Tab」も発表しています。

オーディオ関連の製品ではサウンドバーにもGoogleアシスタントのビルトインが進み、単体のスピーカーから複合デバイスでAIアシスタントがリビングに入り込む時代となっていくでしょう。

▲Googleアシスタント内蔵の目覚まし時計「Lenovo Smart Clock」

▲JBLによるGoogleアシスタント/AndroidTV搭載サウンドバーの「CITATION BAR」

 


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(取材・文/折原一也)

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