【もうすぐ出ますよ!注目の日本車】ホンダ新型「フィット」はスペックより心地よさを重視

■コンパクトカーの基準を打ち破り続ける歴代フィット

新型の詳細をお伝えする前に、まずはフィットというクルマについておさらいしておこう。

ライバルとしては、「ヴィッツ」の後継モデルとして新型フィットと同じタイミングでデビュー予定のトヨタ「ヤリス」や、日産自動車の人気車種で広い室内と荷室が自慢の「ノート」、走りに定評があって玄人ウケするスズキ「スイフト」、そして、エレガントな雰囲気が魅力の「マツダ2」などが挙げられる。いずれも全長4m前後のモデルで、狭い都市部や駐車場などでも扱いやすいコンパクトカーだ。

2001年にデビューした初代フィットは、衝撃的なモデルだった。当時のコンパクトカーは「安くて質素なクルマ」というのが一般的な印象だったが、初代フィットは、おしゃれなルックスに、当時のコンパクトカーの常識を打ち破る広くて使いやすい室内空間や荷室を内包。“積極的に乗りたい”存在として、瞬く間に人気モデルとなった。

デビュー翌年の2002年には、日本国内だけで25万790台をセールス。それまで33年間にわたってトヨタ「カローラ」が守り続けていた、年間販売台数ナンバーワンの座を奪い取った。フィットはデビューするやいなや、多くの人たちから愛されるクルマとなったのだ。

■従来とは異なる道を歩き始めた新型フィット

そんな初代の誕生から約20年。3度のモデルチェンジを経て4代目となった新型フィットでまず印象的なのは、新しいテイストを取り入れたデザインだ。

例えば2代目、3代目のモデルは、初代のデザインを進化・発展させたものに過ぎなかった。特に3代目フィットは、エッジを効かせたデザインで立派に見えることに注力していたように思える。しかし新型のルックスは、丸みを重視したシンプルでプレーンな仕立て。立派さよりも、より気軽に親しめるような印象であり、初代のそれに通じる雰囲気がある。

多くの車種が、モデルチェンジで大型化を図っているのに対し、新型フィットは5ナンバーサイズを保持。全長は、大型バンパーを装着する一部グレードを除き、3995mmと4mを割り込んでいる。

パワーユニットは、純粋なガソリンエンジン車とハイブリッド仕様を用意。前者は1.3リッターの自然吸気ユニットで、先代まで用意された1.5リッターエンジンは、少なくともデビュー当初は用意されない見込みだ。

一方、セールスの中心となるのは、1.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド仕様になる見込みだ。

従来までのハイブリッドは、エンジンの動力をメインとし、それをモーターがアシストする仕組みだったが、新型ではモーターの大型化により、メイン動力源をモーターへと刷新している。モーターの効率が悪くなる高速域こそ、エンジンパワーを直接、タイヤへ伝える仕組みだが、それ以外の領域においては、エンジンは発電機に徹し、そこで発電された電気でモーターを動かす構造となった。

その最大のメリットは、エネルギー効率が良くなること、つまり、燃費の向上だ。そのほか、普通のエンジン車では味わえない、電気自動車のような滑らかでスムーズな加速感も魅力といえるだろう。

新型フィットは、シンプルな「BASIC(ベーシック)」、快適性を高めた「HOME(ホーム)」、個性を強調した「NESS(ネス)」(車名とつなげると「フィット・ネス」となる)、独自の大型バンパーを装着し、流行りのクロスオーバーSUVスタイルとなる「CROSSTAR(クロスター)」、そして、上質仕様の「LUXE(リュクス)」といった具合に、グレード構成も一新。単に、装備内容による上下関係ではなく、スタイルの違いで位置づけを変えている点が新しい。

中央が「HOME」、他モデルは右手前から時計回りに「BASIC」、「NESS」、「CROSSTAR」、「LUXE」

一方、新型では、従来モデルで根強い人気のあったスポーティグレード「RS」が見当たらず、メカニズムとしても、MT車の設定がなくなった。見方によっては、新型フィットは従来のフィットやホンダ車とは異なる道を歩き始めた、といえる。

■ユーザーの満足度を第一に心地よさを重視して開発

写真は欧州仕様

異なる道といえば、新型フィットは開発における考え方も、これまでのモデルとは一線を画している。

一般的にクルマの開発は、数字との戦いだ。先代モデルよりも優れた数値や、ライバルに勝るスペックを得るために、開発者は神経をすり減らす。この数字を重視すること自体は決して悪いことではないが、時には数字ばかりがクローズアップされ、ユーザーの感覚的な満足度や商品性が置き去りにされてしまうことがある。そこで新型フィットは、数字よりも心地よさを重視した開発が行われている。

心地よさの追求が図られたポイントは、以下の4つ。

ひとつ目は“心地いい見晴らし”だ。その真骨頂といえるのは、断面がわずか55mmと、一般的なクルマの半分にも満たない極細のフロントピラーだ。このピラーの採用によってもたらされた前方視界は、他のクルマでは感じたことのない、圧倒的に開放的なもの。

例えるなら、広いガラスエリアが自慢で運転席も視界に入らない、小田急ロマンスカーの先頭車両のような雰囲気。もちろん、斜め前方の死角も減っているので、安全運転にも大きく貢献する。

ふたつ目は“座り心地のよさ”。シート生地の肌触りのよさにこだわったのはもちろんのこと、前席、後席ともに厚みのあるクッションを採用するなど、上級セダンに匹敵する座り心地を目指している。実際、その座り心地は、満足のいくものだった。

フィットは使い勝手を考慮し、用途に合わせた折り畳み方ができるリアシートを採用。もちろん新型にも導入されているが、それと厚いクッションとを両立することの難しさは、容易に想像がつく。新型はそうした困難を乗り換えて、後席でも快適な座り心地を実現しているのだ。

写真は欧州仕様

3つ目は“優れた乗り心地”。サスペンションのチューニングで快適な乗り味を実現しているのはもちろんのこと、モーターを中心に走る新しいハイブリッドシステムの走行フィールも、心地よさにつながると開発陣はアピールしている。

そして4つ目のポイントは“使い心地”。広いラゲッジスペースや、用途に合わせて折り畳み方を変えられるリアシートなど、フィット伝統の優れた使い勝手に加え、運転席と助手席との間にバッグなどを置ける“テーブルコンソール”の採用など、日常の移動シーンに便利な収納スペースも充実している。

このほか新型フィットは、“ホンダコネクト”と呼ばれる新世代コネクテッドシステムや、アクセルの誤操作時に駐車場の壁など障害物に反応してブレーキを掛ける“近距離衝突軽減ブレーキ”をホンダ車として初めて搭載。さらに、日本車の同クラスとしては初めて、渋滞時にドライバーのアクセル/ブレーキ操作なしに停止保持まで行う“ACC(アダプティブクルーズコントロール)”も採用している。

このように、トピック満載の新型フィットは、全方位的に“ユーザーを幸せにしてくれるクルマ”に仕上がったのではないだろうか。12月23日公開予定のPart.2では、気になる走りの実力をレポートしたい。

(文/工藤貴宏 写真/本田技研工業)


[関連記事]
【もうすぐ出ますよ!注目の日本車】名前も刷新!! トヨタ「ヤリス」は技術もデザインも新しい

話題のヤリスとフィットを迎え撃つ!「マツダ2」の真価は上質なデザイン&走りにあり

【スズキ スイフト試乗】100kg超ダイエットの恩恵大!欧州車的なルックスも◎


トップページヘ

この記事のタイトルとURLをコピーする