スカイアクティブ発展の火付け役が進化。マツダ新型「CX-5」はどこが変わる?

ニューCX-5は、これまでのイメージを上手に引き継ぎながら、見事にモダナイズしました。先代と同じ2700mmのホイールベースに、全長4545(先代比プラス5)mm、全幅1840mm、全高1690(同マイナス15)のボディを載せます。

…と聞くと、2世代目となる新型は、単に外観に変化を加えたコスメチックなスキンチェンジと思われるかもしれませんが、実はAピラーの付け根の位置を35mmも後退させて、ロングノーズなスタイルを強調しています。CX-5はエンジン横置きのFF(前輪駆動)モデルですが、FR(後輪駆動)を基調とする高級車ブランドのプロポーションに、一歩、踏み込んだカタチとなりました。

マツダ ニューCX-5 プロト

ヘッドランプやリアランプの天地を薄くシャープにし、さらにフロントグリルの位置を上げて、スポーティなフォルムを、視覚的に地上から高い位置に置きました。一方、ホイールのオフセットを変えて前後トレッドを拡大し、ウエストライン以下の力強さを増しています。腰高感を避け、ボディ全体でしっかり地面をつかんでいる姿としたわけです。

マツダ ニューCX-5 プロト

マツダ ニューCX-5 プロト

新しいプロポーションをより魅力的に見せるのが“ソウルレッドクリスタルメタリック”と名付けられた新色。マツダ車で人気色となっている“ソウルレッドプレミアムメタリック”をさらに鮮やかにし、深みを増したペイントです。先に発表された“マシーングレープレミアムメタリック”の技術を応用し、光の反射と吸収を巧みにコントロール。透明感のあるレッドを実現しました。

インテリアの質感アップも、ニューCX-5で大きく進化した点です。インストゥルメントパネル、ドアトリムなど、人の手が触れる場所には、可能な限りソフトなマテリアルが使われ、上質感を演出。ステッチには、あえて太めの糸を使った粗めのピッチを採用し、手作業の雰囲気を出しています。

マツダ ニューCX-5 プロト

また、12層もの印刷とコーティングを重ね「天然ウッドのような暖かみと、金属の持つ力強さを融合させた」と謳われるデコレーションパネルも注目ポイント。完成度の高い純粋な工業製品でありながら、工芸品の要素を加味する手法は、これまた“プレミアム”の領域に踏み込んだトライといえましょう。

マツダ ニューCX-5 プロト

マツダ得意の“人間中心”の設計思想は新型CX-5でも貫徹され、理想的なドライビングポジション、前方視界の良さ、そして、適度な囲まれ感のある乗員スペースと、外観の洗練度にふさわしい、質感高い室内となっています。

実用面では、4:2:4分割可倒式のリアシートに、2段階のリクライニング機能が備わりました。

マツダ ニューCX-5 プロト

ラゲッジスペースの容量は、505リッター(先代は500リッター)。荷室の床下収納も、10リッターから30リッターへと拡大しています。もちろん、グレードによってはパワーリフトゲートも設定されます。

マツダ ニューCX-5 プロト

エンジンは3種類。2.2リッターのディーゼルターボ(175馬力/42.8kg-m)と、2リッター(155馬力/20.0kg-m)と2.5リッター(FF:190馬力、4WD:184馬力/FF:25.6kg-m、4WD:25.0kg-m)の4気筒ガソリンエンジンが用意されます。

クリーンディーゼルたる“スカイアクティブ-D 2.2”ユニットには、すっかりお馴染みとなった“DE精密過給制御”(スロットル操作どおりの加速を実現)、“ナチュラル・サウンド・スムーザー”(3.5kHz付近のノック音を低減)、そして“ナチュラル・サウンド・周波数コントロール”(1.3、1.7、2.5kHz付近で派生するノック音を低減)といった新技術を漏れなく搭載。静粛性の高いディーゼルエンジンとしています。

マツダ ニューCX-5 プロト

トランスミッションは6速AT。駆動方式は、FF(前輪駆動)と“i-アクティブ AWD”こと新世代4WDシステムから選択可能です。

基本的なシャーシの骨格は従来モデルと共通ながら、各部が強化され、ステアリング操作はじめ“人馬一体感”が増しています。ハンドル操作とエンジントルクを連動させる“G-ベクタリングコントロール”が搭載されたことも見逃せません。

質感向上は、外観、内装にとどまらず、走りの面においても追求されました。特に、従来モデルで指摘されることの多かった「室内へのノイズの侵入」を押さえ込むことに注力。足まわり各部の共振を抑制し、室内への侵入経路を徹底的につぶしました。

撮影のためにクルマを移動させる際、従来型と新型のディーゼルモデルを比較する機会がありましたが、なるほど、新型は確かに静かになりました。ノイズの絶対的な音量は運転の状態にかかわりますが、耳に届く音が整理された印象です。具体的には、不快な音が減ったので、ノイズが気にならなくなりました。

マツダ ニューCX-5 プロト

最新モデルだけに、安全装備も充実しています。“i-アクティブセンス”と総称される先進のアクティブセーフティには、高機能なクルーズコントロールをはじめ、被害低減のための自動ブレーキシステム、交通標識認識システム、照射エリアをアクティブにコントロールするヘッドランプなどが含まれます。もちろん、万が一の際のパッシブセーフティ性能や、歩行者保護性能の引き上げも図られました。

マツダ新技術の“全部載せ”モデルとなった新型CX-5。これは、次の飛躍へのプラットフォームともなるわけです。ググッと男前になった新型SUV。路上でドライブする日が楽しみです!

<SPECIFICATIONS>
☆XD Lパッケージ(プロトタイプ)
ボディサイズ:L4545×W1840×H1690mm
車重:1690kg
駆動方式:4WD
エンジン:2188cc 直列4気筒 DOHC ディーゼルターボ
トランスミッション:6AT
最高出力:175馬力/4500回転
最大トルク:42.8kg-m/2000回転

(文&写真/ダン・アオキ)


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