Apple Watchが秘める可能性――チャレンジが日々の運動をもっと楽しくする

■ジムで測定したデータを持ち帰ることが可能に

従来、ジムのマシンで有酸素運動を行う場合には、Apple Watchに表示されるデータと、マシンに表示される結果にギャップがありました。また、マシンで測定したデータは個人で持ち帰って管理しづらいという課題も存在しました。

しかし、watchOS 4で追加される「GymKit(ジムキット)」によって、フィットネスマシンとの連携が可能になります。Apple Watchをマシンに近づけると、NFCを利用して、Bluetooth経由での接続が実現します。2段階の接続により、不要な自動接続が防がれる仕組みです。

Apple Watchからは心拍数、身長、体重などのデータが提供され、フィットネスマシンの画面に表示されます。また、フィットネスマシンからは、トレーニングの強度などが送られます。例えば、トレッドミルならランニングのペースや傾斜などのデータが共有されます。

消費カロリーの計算はApple Watch側で実行され、マシン側に共有され、表示されます。Apple Watchの画面を確認しなくても、フィットネスマシンの画面で全ての情報を確認できます。

接続が解除されると、マシン側のデータは全て削除されるので、個人情報が漏れる心配はありません。また、測定データはApple WatchからiPhoneに持ち帰り、「ヘルスケア」アプリ上で管理することができます。

ちなみに、機器については「テクノジム」「ライフ・フィットネス」「シュウィン」など、世界シェアトップクラスの7メーカーとパートナーシップが結ばれており、その他のメーカーとも順次交渉されていく模様。詳細については未だ明らかになっていません。

 

■テニスのサーブや野球のスイング分析にも

実はApple Watchをスポーツ用具と連動させることもできます。例えば「Zepp Tennis」では、テニスのサーブを分析できるアプリ。ラケットのグリップ部にセンサーを装着して使用します。11月頃には、センサー内蔵のラケットも登場する予定です。

検出できる項目は、サーブの回数、平均速度、平均の回転数、ラケットの真ん中に当たった回数など。watchOS 4では、センサーとApple Watchが直接データをやりとりできるので、iPhoneはカバンに入れたままで大丈夫です。

スポーツ競技ではなかなか客観的なデータが録りづらいものですが、こうしたデバイスを活用すれば、普段とは少し違うトレーニングも実現しそうですね。

 

■トレーナーがApple Watchを利用する事例

トレーナー側がApple Watchを使うという試みもあります。「PRAMA」というシステムでは、トレーナーがApple Watchを活用して、部屋の照明や音楽などを管理できます。

例えば、参加者は部屋の壁や床に配置されたマークを、ボールや足で触れていきます。反応や敏捷性を高めるドリルです。参加者はチェストストラップをApple Watchに接続して、データを連携できます。

また、トレーナーはApple Watchを用いて、部屋のシステムをコントロールするので、指導に集中しやすくなります。

PRAMAとApple Watchの連携はまだ開発段階で、今後正式版のリリースが検討されています。PRAMAは既に世界の70箇所で展開しており、日本でも渋谷の「ティップ.クロス TOKYO」というジムに導入されています。

* * *

「昔は運動していたけれど、最近はめっきりやらなくなった」、「最近お腹周りの脂肪が気になりだした」「とにかく運動するきっかけが欲しい」――そんな人は、試しにApple Watchを身に着けてみてはいかがでしょうか。

まずはゲーム感覚でリングを完成させていればOK。きっと、少しずつ活動的な習慣が身に付いていき、生活自体が変わっていくでしょう。

 


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(取材・文/井上 晃

いのうえあきら/ライター

いのうえあきら/ライター

スマートフォン関連の記事を中心に、スマートウォッチ、ウエアラブルデバイス、ロボットなど、多岐にわたる記事を雑誌やWebメディアへ寄稿。雑誌・ムックの編集にも携わる。モットーは「実際に触った・見た人だけが分かる情報を伝える」こと。編集プロダクション「ゴーズ」所属。

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