【雪上試乗】SUVとは思えぬ好ハンドリング!アルファロメオは雪の上でも刺激的だった

■走りのためにアルミやカーボンを贅沢に使用

ステルヴィオは、アルファロメオが久しぶりに手掛け、“ジョルジオ”と名づけたエンジン縦置き用プラットフォームを用いて開発された第2弾です。第1弾は、セダンの「ジュリア」。ジュリアは4WDと後輪駆動の2タイプが設定されますが、SUVのステルヴィオは4WDのみ。

エンジンは、ガソリンの2リッター直4ターボ(280馬力/5250回転、40.8kgf-m/2250回転)と、同2.9リッターV6ターボ(510馬力/6500回転、61.2kgf-m/2500回転)、そして、先日追加されたばかりの2.2リッター直4ディーゼルターボ(210馬力/3500回転、47.9kgf-m/1750回転)の3種類があり、どれも8速ATと組み合わせられます。

今回、雪上で試乗したのはガソリンの直4ターボ版。オンロードではすべてのバージョンを試乗した経験がありますが、どのバージョンにも共通するのは、ウルトラクイックなハンドリング。ステアリングギヤ比が12:1と非常にクイックなのです。SUVにしては…というレベルではなく、乗用車の中でも最もクイックな部類に入ります。クイックというのはつまり、ステアリングを少し切っただけで、大きく舵が切れるということ。曲がりくねったワインディングロードでも、手を持ち替えることなくすべてのコーナーを曲がりきれてしまいます。

その分、直線が続く高速道路などでは、やや神経質に感じる面もありますが、それよりも刺激的なハンドリングで得られる運転の楽しさが勝ります。ステアリングギヤ比をクイックにしただけでは、爽快なハンドリングにはなりません。クイックなステアリングに合わせて足回りのチューニングを最適化しなければ、不自然な挙動になるだけ。その点、ステルヴィオは万全です。

フロント:ダブルウイッシュボーン式、リア:マルチリンク式のサスペンションは、スプリングとショックアブソーバーのチューニングが絶妙で、コーナーでロール(車体が傾くこと)自体はするものの、そのスピード(傾く速さ)が抑えられているため、乗員は車体が踏ん張っているようにしか感じません。足回りの出来の良さに加え、エンジンブロック、サスペンション、ボンネット、ドアパネル、リアゲートなどにふんだんにアルミ素材を用いることで、車体の軽量化と重量配分(前後重量配分50:50)に気が配られていることも、気持ち良いハンドリングの理由のはずです。プロペラシャフトに至っては、カーボンファイバー製。ステルヴィオ、端的にいってお金が掛かっています。

■カウンターステアで姿勢を戻す作業が楽しい!

クルマのハンドリング特性というのは、ドライ路面でもウエット路面でも雪上でも変わりません。ただし、滑りやすい路面になるほど低い速度でそのクルマが持つ特性が顕著になる、というだけです。

つまり雪上でも、ステルヴィオはステアリングを少し切っただけで大きく曲がります。一部の凍った区間では、シビアはステアリング操作を要求されます。前輪への荷重が不十分な状態で切りすぎると即座にアンダーステアが顔を出し、クルマは真っすぐ進むばかり。ならばとコーナー進入でしっかりと減速し、前輪に荷重を掛けてステアリングを切ると、今度はリアが外へ膨らみがちになります。即座にカウンターステアを当てて姿勢を戻す作業は、忙しく緊張を強いられる作業ですが、楽しいです。

ただし、横滑り防止装置が備わるため、アンダーステアもオーバーステアも、行き過ぎる前に修正されますから、明らかなオーバースピードなど、無茶をしない限りは安全です。ただSUVにもかかわらず、このようなクイックステアリングのハンドリングマシンに仕立ててしまったことに対する良心の呵責からか(!?)、横滑り防止装置は解除できないようになっています。

ステルヴィオの4WDは本質的にはオンロード向けで、せっかくのグッドハンドリングを邪魔しないようなシステムが採用されています。常に路面状況を監視し、前後のトルク配分を最適に保ちます。通常の路面状況では、駆動トルクは100%リアへと配分されますが、後輪のスリップを検知すると、最大50%のトルクをフロントへ配分することでトラクションを最大化します。結果として、雪道では後輪駆動車より明らかに、スタックの心配が減ります。また、下り坂でのスピードコントロールをクルマ任せにできる“ヒルディセントコントロール”が備わるため、下り坂ではステアリング操作に専念できます。

■アルファが仕立てればどんなクルマも楽しくなる!

ステルヴィオの試乗を通じ、オンロードで楽しいクルマは雪上でも楽しい、ということを再確認しました。大人5人が快適に過ごせるだけの乗員スペースと、525Lの容量を誇るラゲッジスペースのおかげで、走りを楽しんだその先の、アクティビティの幅も広がります。アルファロメオでスキー、ゴルフ、キャンプ…。ステルヴィオなら1年を通じ、家を出てから帰るまで、ずっと刺激的に過ごせること請け合いです。

それにしても、アルファロメオは昔も今も人気のブランドです。その理由はいろいろありますが、まず、1910年設立という長いヒストリーを持ちます。

一方、激しい浮き沈みも経験します。設立から第2次世界大戦までは、超高級スポーツカーを手掛けるメーカーでした。20世紀初頭に「T型フォード」を大量生産してアメリカに繁栄をもたらし、自動車王と呼ばれたあのヘンリー・フォードも、街でアルファロメオを見掛けたら、帽子を取って敬意を表したといわれます。またアルファロメオは、’30年代には当時モータースポーツのトップカテゴリーだったグランプリに参戦し、メルセデス・ベンツやアウトウニオンらとしのぎを削りました。ただその一方で経営は安定せず、’33年には国有化されます。

そして戦後、実用車を大量生産する普通の自動車メーカーとして再出発します。が、ブランドのDNAに組み込まれたスポーツカーへの情熱を抑え込むことはできず、徐々にスポーツカーを手掛けるようになります。ちなみに、’47年にフェラーリを設立したエンツォ・フェラーリは、アルファロメオのレーシングドライバーから独立し、自らのレーシングチームを興し、レース資金を稼ぐためにロードカーも手掛けるようになります。後年、F1でフェラーリがアルファロメオを破って優勝した際、エンツォは「私は親を殺してしまった」と発言したといわれています。

‘60年代以降、アルファロメオはスポーツカーレースを中心に、さまざまなモータースポーツへ参戦し始め、輝かしい戦績を残します。F1にも参戦します。ただ、やはり経営は下手で、’86年、イタリアはアルファロメオを手放し、フィアットへ売却します。この際、フォードもアルファの買収に名乗りを挙げていたそうです。’60年代には、フェラーリ買収に失敗し、アルファロメオも買うことができなかったフォードは、’70年にギアというカロツェリアを買うのですが、どんだけイタリアンブランドが欲しかったのでしょうか。にもかかわらず、結局、グレード名に用いる程度の活用しかしていません。

フィアット傘下になって以降のアルファロメオは、ほとんどが前輪駆動化され、“デラックスなフィアット”という位置づけに落ち着きますが、その間にも「155」「156」「147」といったヒットモデルを生み出しています。長々書き連ねましたが、いいたいことはひとつ。少量生産の超高級車から大量生産車になろうが、FF化されようが、買収されようが、そして、背の高いSUVだろうが、アルファロメオが手掛け、フロントマスクに例の盾をデザインすれば、走らせて楽しいクルマになるのは間違いないのです。

<SPECIFICATIONS>
☆ファーストエディション
ボディサイズ:L4690×W1905×H1680mm
車重:1810kg
駆動方式:4WD
エンジン:1995cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:280馬力/5250回転
最大トルク:40.8kgf-m/2250回転
価格:689万円

(文/塩見 智 写真/&GP編集部、FCAジャパン)


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