【マツダ3海外試乗②】大胆な新世代デザインに注目!質感はライバルを超えた:河口まなぶの眼

■ボディサイドからキャラクターラインが姿を消した

近年のマツダ車のデザインは、すべてのラインナップに統一したデザイン言語が採り入れられており、時間とともに、それらを進化させてきたのは皆さんもご存じの通りだ。

特に外装デザインに関しては、第2世代となる現行の「CX-5」と、その後に登場した「CX-8」において、新世代商品へのシフトを具体化したデザインを採用。それと前後する形で、モーターショーなどに出品するコンセプトカーで新たな表現を提示し、エクステリアデザインが次の世代へと突入することを、事前にアピールしてきた。

そして今回の新型マツダ3では、デザインが完全に新世代化を果たしている。一見して分かる通り、新型マツダ3のエクステリアデザインからは、近年の各社のクルマで多数見られた、ボディサイドを走る派手なキャラクターラインが姿を消している。そして、サイドのボディパネルをインバースさせることで、時間の経過やクルマが置かれる場所、また、天気によって刻々と変わる太陽の光によって、表情が無限に変化する造形を採り入れている。こうした手法は、デザイン面で新世代商品を先取りしたCX-5やCX-8にも一部、採り入れられていたが、新型マツダ3ではそれをさらに一歩押し進めた格好だ。

中でも、変化が顕著なのは5ドアハッチバック。というのも、同時発表されたセダンでは、あまり目立たないものの、フロントフェンダーのショルダー部分にキャラクターラインが入っていて、これがボディサイドの前半分=フロントドアの前半部分にまで達している。これは、CX-5やCX-8と同じ手法だ。しかしハッチバックの場合、フロントフェンダーにキャラクターラインが入っておらず、サイドのボディパネル全体を大きな“面”で構成するという、大胆かつ、さらに一歩進んだデザイン手法を採り入れているのだ。

さらに、ハッチバックのディテールを見ていくと、印象的な太いリアピラーが圧倒的な存在感を生み出している。このリアピラーは、新世代デザインの特徴を物語る重要なエレメントであり、新型マツダ3のアイコンともいえる部分。

ほかにも、手を掛けた時に自然で滑らかな感触となるよう形状を追求したドアノブなど、細部まで徹底してこだわった結果、新型マツダ3のエクステリアは、随所において新世代商品の幕開けを感じさせる出来栄えとなっている。

■ウインカー作動音にさえ驚きを覚える高品質な室内

「あらゆる質感を飛躍的に高めた」という別府さんの言葉は、インテリアにおいて、より顕著だ。

新型マツダ3のインテリアにおけるハイライトは、パーティングと呼ばれるパーツとパーツとが組み合わさる部分を始めとする、視覚的なノイズが徹底的に排除されていること。つまり、運転席に座って前を向いた際、パーツの余計な合わせ目や、その部分の線というものが、ドライバーの視界にはほとんど入ってこないのである。例えば、ワイパーはドライバーの目から完全に見えないよう隠されているし、ダッシュボード上にあるスピーカーも、ドライバー側からは液晶パネルで隠れるよう配置してある。その結果、運転に集中できるパーフェクトな空間に仕上がっているのだ。

そして、ディテールを見ていくと、樹脂パーツ類の質感はもちろんのこと、メッキパーツのトーンや色合い、操作スイッチを動かした際の感触までもが、クルマ全体で統一されていることに感心させられた。中でも、ウインカーレバーの操作感が、従来のマツダ車とは異なる好フィールなものになっており、ウインカー作動音の響きすら、抑えの効いた、耳に心地いいものになっていた。筆者は、年に数百台のクルマに試乗しているが、まさかウインカーレバーの操作感や、その作動音に感動させられるとは! とても驚かされた瞬間だった。

一方、前回の記事でも触れた“理想のシート”に腰を下ろすと、自分がスッと新型マツダ3の室内空間に馴染んでいく感覚を得られる。これは、正しい姿勢で座れるということがもちろん大きいが、そのほかにも、オフセットされることなく配置されたハンドルや、しっかりドライバーに向けて配置されたメーターや操作スイッチ類のレイアウトによる影響も大きい。

つまり新型マツダ3は、見栄えを良くするための“デザインのためのデザイン”を行ってきたのではなく、ドライビング環境というクルマの基本骨格をしっかりと作り上げ、その上に、品質の高いディテールを構築しているのである。そのためインテリアは、質感が高いだけでなく、各パーツ類のレイアウトも相当練り込まれていて、それらが一体となることで、クルマとスッと一体になるかのような感覚をドライバーに与えてくれるのだ。

■先進性のアピール不足は唯一の弱点!?

このほか新型マツダ3では、コネクティビティシステムである“マツダコネクト”のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)が抜本的に見直され、より扱いやすくなっているのもポイント。操作ロジックが改められ、スイッチは左右方向と回転方向のみの作動とし、これに画面表示や各種動作をリンクさせている。

さらにインテリアで驚いたのが、標準装着されるオーディオから発せられるサウンドの、素晴らしい音質だった。ボディ骨格から静粛性を追求した新型マツダ3では、高い静粛性を実現した室内に、独自のレイアウトでスピーカーを配置している。これまでのカーオーディオシステムでは、スピーカーからの音がガラスやシート生地、インパネなど車内のさまざまな場所に反射した後、ドライバーの耳へと届いていたが、新型マツダ3では、音をいかにしてドライバーの耳へと直接届けるか? ということを徹底検討した結果、最新モデルとしては一般的な8スピーカーシステムでありながら、高級オーディオシステムに迫るクリアなサウンドを実現している。

このように、新型マツダ3のインテリアは、全くスキのない仕上がりとなっている。実際、マツダ3が属すCセグメントのライバルを見ても、日本車のスバル「インプレッサ」やトヨタ「カローラスポーツ」をはるかに凌駕する出来栄えであり、輸入車のフォルクスワーゲン「ゴルフ」と同等以上、メルセデス・ベンツの新型「Aクラス」にはハデさで負けるが、落ち着きという意味では上回る…といったレベルに達している。

まさに「パーフェクト!」と評したくなる新型マツダ3のインテリアだが、唯一、弱さを感じるのは、先進性という点だろう。例えば、全面に液晶パネルを配したメーターを採用するクルマが増えている昨今にあって、新型マツダ3はコストの影響なのか、メーター内に液晶パネルが採用されるのは、センター部分だけにとどまる。また、マツダコネクトの表示部であるコックピット中央の液晶パネルも、8.8インチサイズとライバルに敵わない。せっかくマツダコネクトのHMIを使いやすくしてきただけに、もっと先進的な感覚を盛り込んで欲しかった、というのが筆者の本音だ。

さらに最近では、曖昧な言葉にも対応してくれる、会話だけで操作できるナビゲーションシステムや各種設定機能を導入するクルマも登場しているだけに、そうした機能で後れをとっているのは非常に残念。音声で自在にナビやエアコンなどを操作できれば、それこそHMIとして新感覚の使いやすさを手に入れられるし、きっと高い安全性も担保させることができるからである。

確かに、新型マツダ3の室内の出来栄えには大いに驚かされた。しかし、そうしたスキのない造形や作り込みの良さに、もしも高い先進性が加わっていれば…。新型マツダ3は、まさにパーフェクトな1台になっていたことだろう。

(文/河口まなぶ 写真/マツダ)


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