[Gear Maniax #143] 完成度に惚れる!あらゆる面で優秀なミリタリー系ライト

まず、最大の売りと言えるのが「デュアル・バッテリー」。デュアル、つまり異なる2種の電池が使用可能ということ。単三電池でも、CR123Aリチウム乾電池でも使えます。この2つの乾電池は全く性質が異なります。充電池も乾電池も使えるように、なんてものではなく、長さも太さも、そして電圧も違う電池をアダプターなしで使えることが素晴らしいのです。これまでにもアダプターやスペーサーを介することで異なる電池が使えるライトは存在しましたが、このサイズで、しかもミルスペックでそれが使えるライトは恐らくこのライトが史上初だと思います。

いついかなる時でもフラッシュライトにとって最も重要なのが電池です。車でいえば燃料であり、私たち人間であれば食べ物です。それがなければ動かないのです。懐中電灯にはさまざまな電池がバッテリーソースとして使われています。そして、異なる種類の乾電池や充電池を保管、運用することは意外とストレスであり、また換えの電池をすぐに調達できないことは実用上大変不便なことです。

まして、ミリタリーライトとなればなおさらでしょう。厳密な運用規定のようなものがライトにあるのか否かは分かりませんが、必ずしも補充が潤沢に得られない途上国や僻地での任に当たるような彼らにとって、電池の種類が何であるかはさほど重要ではないはずです。ライトが正常に点灯し、使えることが重要なのです。この2つの異なる乾電池が使えることは世界中どこでも調達できる可能性を示しています。

ボディはほぼすべて強化樹脂製。非常に軽量で丈夫です。手の平サイズのコンパクトなボディは、軽量であるがゆえに耐落下衝撃性にも優れます。メーカー公称のファクトシートでは3mの落下衝撃性能があり、防水性もIPX7と非常に優秀。ミリタリーライトだけにかなりタフな使われ方に耐えうる性能を有しています。

全体的に角ばったデザインながら、そぎ落とせる部分は徹底的に軽くし、ユーザーが装着する際の負担を最小限にする工夫が施されています。ライトユニット部など修理や補修が必要な部分へのアクセスは比較的簡単で、官給品らしいメンテナンス性の良さも兼ね備えています。

スイッチはライトユニット側面の黒いボタン。中心の黒いボタンを押すと点灯、再度押すと消灯します。点灯後、長押しすると4段階の自動調光を開始し、任意の明るさで指を離すとその明るさがメモリーされて、次回点灯時もそのモードで再点灯します。

光源となるLEDは4種搭載されており、メインの白色光の他、赤、青、IR(不可視赤外線)があります。各LEDに切り替える際は、スイッチボタンの付いている黒いダイヤルを引っ張りながら回し、任意のLEDに設定します。あまり他のライトにはないユニークな設定方法ですが、誤操作のない確実性を重視したものと思われます。白色以外のライトでも4段階の調光が可能です。

そして、運用するためのアクセサリーが2点付属します。1つはヘッドバンド、もう1つはヘルメットマウントです。

ヘッドバンドは頭部に付けて使うためのバンドとマウントのこと。ミリタリーライトではありますが、普通のヘッドランプのように使うことも可能です。ヘルメットマウントはミリタリータイプのヘルメット、具体的には米軍の使用するACHや自衛隊の88式などへの装着事例があります。装着箇所は即頭部付近。ヘルメットのリム部分に引っ掛けて使用します。

また、ヘッドバンドのマウントは、ゴムバンドから外せばそれ自体が1インチ帯のモールに装着できるマウントにもなります。モールを有するリュックやベストなどにライトを装着することもできます。チルト(角度)調整はクリップ部が担っており、180度無段階で調整可能です。非常に汎用性があり、かつユニーク。

▲メインの白色光は意外と鋭い中心光

リフレクターは浅く、小さな口径の鏡面仕様。薄くワイドな周辺光と鋭い中心光を照射します。明るさはCR123A使用時で55ルーメン。単三アルカリだと47ルーメン。さほど両者に大きな明るさの違いはありませんが、ランタイムに関しえていえば断然リチウム電池です。

リチウム乾電池であれば、アルカリの3倍ほどのランタイムになります。明るさが控えめなこともあり、ボディは全く熱くならず安定した明るさを照射し続けられます。ミリタリーライトで重要なのは明るさよりも「確実性」と「実用性」。短時間にハイルーメンを必要とするタクティカルライトと異なり、長時間の運用に耐えうるだけのスタミナを小さなバッテリーソースでまかなうには、無駄な明るさは不要というわけです。

▲メイン以外の光源の配光もスポット

赤や青のサブLEDの配光も、スポットで足元への照射で直径30cm程度のものです。必要なところだけに当てることで「目立ち難く」なります。このような点は一般の作業用で使われるようなヘッドランプと大きく異なる点です。通常であれば「広く明るく」照らすことが望まれますが、ミリタリーライトは「隠密性」が重要視されます。

▲驚くべき別売のアクセサリーキット「14902 サイドワインダー用 セイフティワンド」

さらにこのサイドワインダーシリーズには、ユニークなアクセサリーが別売されています。その1つがこのセーフティワンド。蓄光素材で作られたワンド(拡散用カバー)で、ランタンのようにして使える他、マーカーとしても優秀です。使い方は簡単、ただライトユニットの前面にはめるだけ。

ワンドは畜光素材なので消灯してもしばらくはその所在が分かるようになっています。本当の暗闇の中では充分に目立ちとても役立ちます。

明るさが控えめなライトだけにワンドを付けてもすごく明るいという訳ではありません。1人用のテント内で使うのがちょうどいい程度。個人装備のライトだけに野営の際に使えればいい程度? ソロキャンプが最近は流行っているらしいので、ヘッドランプとしても使えるこのライトなら、キャンプに持って行ってもいいかもしれません。そしてテント内ではワンドを付ければランタン代わりになる。高性能で合理的なアイテムは男心をくすぐるアイテムだと思います。

「実物」のしかも「使える」ミリタリーのアイテムをキャンプ用具に1つ加えるだけでもテンションが少し上がるのは私だけでしょうか? ぜひ、多くの人に使ってもらいたいライトの1つです。豊富なアクセサリーとデュアル・バッテリー。使用シーンを想像することができるライトというのは本当に良いライトだと思います。(アカリセンター価格:1万3780円)

 

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(文・写真/HATTA)

HATTAと申します。通販サイト・アカリセンターで取り扱っている世界中の懐中電灯やギア物を紹介しています。ブログも絶賛更新中!
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